第3話 実留
「実留、美紀になんかしたでしょっ!? 美紀もバカじゃないの!? そっちにいるやつも!」
誰か、女子が叫んだ。
多分、さっきの人だと思う。
思うんだけど……。
「そうだよ! 美紀サイテー!」
「実留のバカ! サイテー!」
色んな言葉が飛び交う中、私はこっそりその輪を抜けた。
これ以上あんな所にいたら、私までおかしくなっちゃうよ。
どうしてくれるんだよ、私もあんな奴らみたいになっちゃったら。
「みんな、プリンくらいでバカみたい――――――」
つい、本音が出てしまった。
てか、本当に、プリンが原因なんだよね?
でも、みんなの今までの不満とかもあったんだろうな。
それに、美紀の裏切りも……。
本当に美紀、どうしちゃったんだろう。
私を裏切るのはともかく、実留の方に行くなんて。
あ、でもそれは、私の方か実留の方しかないからかな。
実留の方がまだまし、って感じかな。
実留も実留だと思うけど。
「愛ちゃん! どこ行ってたのっ!? みんな探してたよ!?」
わたしはいつの間にか教室に着いていた。
そこには、さっき叫んでいた子がいた。
その子の他には誰もいなかった。
本当に私を探してた?
いや、まさかそんな。
「探してただなんて、そんなわけないでしょ……」
「本当だって! みんな、心配してたよ?」
じゃあ、この子は何で教室にいるんだ?
あ、きっと私が教室に帰ってきた時の保険だろうな。
てか、私一回も人を見かけなかったんだけど?
いくらなんでも30人以上で人ひとり探してたら見つかるでしょ。
ま、実際教室で見つかってるわけだけど。
私はどこをどう通ってここに辿り着いたんだろう?
まぁ、何も考えずにただただ歩いてたからなー。
てか、適当に歩いてる方が逆にすごいんじゃない?
って、そんなことどうでもいいか。
うんうん。
「と、とりあえず、愛ちゃん、いてよかった……」
その子はほっとしたように胸を撫で下ろして、その場にぺたんと座り込んだ。
え……マジで?
この子……何!?
怖いくらい……って、それ言っちゃあだめだよね。