第2話 美紀
「美紀、なんで見捨てるのよ」
クラスの女子がそう言った。
私のチームに入ってる。
もういいよ。
私一人でいいから。
ほんっとにいらないんだけど。
でも、そんなこと言っても面倒になるだけだから言わないけど。
余計にこんがらがっちゃうじゃん。
そういうの、本当に嫌なんだよね。
「別に」
美紀の声が聞こえた。
さっきの女子の問いかけに対しての答えだろう。
私のこと、嫌いになったのかな?
別にいいけど。
私そういうの気にしないし。
あー、面倒くさい。
私はさっきの女子に加わって、女子たちがぎゃあぎゃあ言い合ってるのを遠目に見ていた。
そういうのに参加するほど、私はバカじゃない。
すると、美紀が私を睨んでいた。
多分、お前が起こした事件をお前が見物すんなよってとこかな。
別に何も言わないけど。
いちいちそんなこと言ってもまた面倒なことになるだけじゃん。
そういうのほんとにいらないから。
すると、さっきの女子たちが「ちょっと来て」って言ってきたから、私は女子の群れに加わった。
ここで無視すると、またまた面倒なことになる。
面倒なことは嫌いだ。
だから、素直に言うことを聞いておく。
「美紀最低じゃん! こっちには愛ちゃんもいるんだからねっ!」
愛っていうのは私の名前。
美紀はまた私を睨みつけながら、「あっそ」と、吐き捨てるように言った。
美紀、やっぱり私のこと嫌いになったのかな?
プリンくらいで大げさすぎるよ。
てか、もう先生来てるんだけど。
1時間目開始のチャイムなんて、もうとっくに鳴ってるのに、みんなまだプリンのことなんかで言い争ってる。
先生もあきれてるし。
注意してくれればいいのに。
役立たずな先生だなぁ。
まったくもう!
私は心の中で叫びながら、同時に女子と一緒にぎゃあぎゃあ言ってるフリもしていた。
こういうとき、私って器用だよね。
「美紀、ほんとに最低! 実留なんかの言葉信じるなんてっ!」
実留は嫌われ者だった。
なのに、美紀が実留を信じた理由が分かんない。
私は、ただただ疑問だった。