長谷田ユウイチの悲しき日々(飲み会編)
とある大学生の哀しくもいじらしい半生を描いた物語です。
コメディーです。
気楽に読んでもらえれば幸いです。
僕の名前は長谷田ユウイチ。
見た目は下の上、性格は陰気。
エロサイトを見てたらワンクリック詐欺に騙された経験を持つ普通の大学生。
そんな僕の人生は、決して不幸では無かったけれど実に哀しいものだった
僕は大学二年生のとき、タバコを吸っていた時期があった。
吸っていたと言っても、煙を肺には入れずに口に含んで吐き出すだけ。
俗に言う「金魚」というヤツだ。
友人からは「タバコ吸ってる意味あるの?」とか「お金がもったいなくない?」とか色々言われた。確かに肺に煙を入れてはいないけれども、僕はタバコの煙を含んだ時の喉がひりつく感覚や煙を含む動作そのものが好きだった。
タバコをふかすという行動が僕を落ち着かせてくれていたのだ。
それでいいじゃないかと思う。
タバコの吸い方に正解が一つしかないなんて誰が決めたのか。
確かに本来の用途からは外れているだろう。
けれども、「正しく使えてないから、お前が今感じてる幸せは全部ホントウじゃないんだよ」なんて貧しい考えだと思わないだろうか。
一つの物事に対して一つの答えしか見出せないのは哀しいことだ。
カッコつけと言われたって構わない。実際にカッコがつけばそれはもう正解と言えるじゃないか。
そんなことを考えていたある日。僕は友人達と男女混合で飲み会に行く機会があった。飲み会は盛り上がり、和気あいあいとした空気が流れていた。飲み会も中盤になり、僕がおもむろにタバコを吸いだしたときである。
女A「あれ?長谷田君ってタバコ吸う人だっけ?」
僕 「ああ、これは…」
女B「え?ってか、もしかして金魚?」
女C「金魚って何ですか?」
女B「肺に煙を入れないでふかすだけの人のこと」
女C「え?それって意味なくないですか?」
僕 「あのね…」
女B「金魚とか無いわー超ダサいじゃん!」
女A「え?何で吸ってんの?カッコつけ?」
女C「私、タバコ吸う人ちょっと苦手です…」
僕 「………」
女B「そもそもさ、カッコついてないですから!」
女A「だよねー!何を頑張っちゃってんの?って感じ!」
女B「無理すんな!似合ってないぞ!」
女C「鏡で自分の顔見直して来いよ!このブサイクがぁ!」
僕 「!?」
女三人「キャハハハハハハハ!」
僕は、タバコを吸うのをやめた。
身体に良くないからね。