私の好きな人は親友です。
注意!本編未完結。結末に関係あり。
園沢 実果
これが、私の名前。
私はいたって普通の、どこにでもいるような女子高生だ、って思っている。
親友からは毎日「可愛い」だとか「お人形さんみたい」とか言われているから、容姿は人よりいい、みたい。
私みたいなタイプって、少女マンガとかでありがちな可憐ないじめられっ子だったり、むしろ派閥をしきっちゃったりしてるいじめっ子だったりと、両極端だと私は思うの。
残念ながら、実際の私はマンガみたいじゃなくて、みんなと仲良し。
ああ、自己紹介はこのくらいにしておきましょうか。
高崎 悠也
生物学上、動物界後生動物亜界脊索動物門羊膜亜門哺乳綱真獣亜綱正獣下綱霊長目真猿亜目狭鼻猿下目ヒト上科ヒト科ヒト下科ホモ属サピエンス種サピエンス亜種・・・に属する種の性別は男。
私は男が大嫌いだけど、(なぜって私が男と関わって何かいいことが起こったことが一回も無い、むしろ男がでしゃばってくると女の子たちが私から離れていくのよ)特にコイツは嫌い。
背が高くて、一見優男で、草食系メガネ男子で、ムダに整った顔立ちで、女の子たちを誑かしている・・・とにかく、コイツは嫌い。
あー吐き気がする。
男、っていう単語がまずこの世から無くなればいいって私は思うのね。
そして最後に、 小沢 明
明は私の親友なのよ。
高校に入ってから、クラスと部活が一緒で行動することが多かったから、必然的にそうなったの。
明は至って普通の女の子。
いつもポニーテールで(白くてうっとりするようなうなじをむき出してて)、(目が離せなくなるくらい)表情豊かで、いちいち私に可愛いとか(その蕩けた笑顔が可愛いだって何回言えば分かるのかな)言ってくるけど、普通の女の子。
そして、私の好きな女の子。
明は、今現在悠也くん(反吐が出そう)と付き合ってる。
本当全くもって、どんなに考えたって、天と地が引っくり返ったって信じられないけれど、付き合っている。
何故止めなかったのか、というと。
明が、私に嬉しそうに経過を報告してくるの。
頬を上気させて、潤んだ瞳で、好きな子にどうしようって見つめられたら、どうして止められると思う?
笑顔で、大丈夫、明なら大丈夫って励ましてあげるってのが女ってもんでしょう。
そしてしばらくしてから、明が半泣きで私の胸に飛び込んできて、言ったの。
「私、付き合うことに、なった、よ!」
どうしてその笑顔を失くすなんて考えられる?
私は、ただ、よかったねと口角を無理やり上げた。
しばらく経ってから、悠也くんからメールが来た。
本文にはこう書かれていた。
「実果ちゃん、明のことで、ちょっといい?」
この頃ちょうど悠也くんが部活で忙しいとかで明が連絡とれないって愚痴るのを毎日教室で聞いていた。
そして本文を見て、一瞬、明と連絡をとったのか不安になった。
この男は大嫌いではあるが、明の笑顔はこの男の言動ひとつにかかっている。
いいよ、と短文で返すと、じゃあ今日の夜、飯奢るから付き合って。とすぐ反応が返ってきた。
このときには、もう気づいていたのかも知れない。
「ごめんごめん、遅くなっちゃった。」
「大丈夫ですよお。どこ行きます?」
「んーじゃあ、いつも俺が行ってるとこでいい?」
「はい。」
実際に会うと、部活で忙しく全く連絡が取れないにしては、頻繁に会っていたときの悠也との差はあまり感じられなかった。
追い込みの時期でもっと衰弱しているのかと思っていたが、思ったよりも元気そうで、残念だ。
というか私に割いている時間があるんだったら、明にメールのひとつでも返してやればいいのに。
明がこの男に一喜一憂するのは遺憾であるが、明の笑顔が一番だ。
「いやー、先輩がさー、・・・」
「最近バイトも忙しくなってきちゃってさ、・・・」
「そういえば、この間公開された新作の映画のことなんだけどさー」
「あ、の。」
「ん?なに、どしたの、みかちゃん。」
みかちゃんと呼ぶその声が、馴れ馴れしく、耳障りに囁かれた。
実果は七部丈の上着の服の下に鳥肌が総立ちするのを感じたが、なんとか抑える。
今はこの男に対する嫌悪とか憎悪の前に、明の方が大事だ。
「明のことで、お話があるっていったから、来たんですけど。」
「あー・・・・それね。」
面倒臭いことを思い出したとでもいう風に顔を歪めた悠也が、言葉をつむぐ。
「もう、あいつ、飽きちゃった。てか、あいつ知ってた?メール一日に絶対3通くるんだぜ!今なにしてる?今どこ?誰と遊んでるの?・・・重いし。あいつのこと、ほんとに親友だと思ってる?やめといたほうがいいぜ、あんなやつ。・・・・・・だからさ、実果ちゃん。」
にやついた汚い顔が実果に近づけられる。
顔を背けたくなる衝動をどうにか押し込め、続く言葉を待った。
「だからさ、俺と遊ぼうよ、みかちゃん」
本当に・・・・・下種な野郎だ。
喉元まで吐き気がこみ上げる。肩に回された手の温かみが気持ち悪い。
やっぱりこんな下種な野郎は、明とは似合わない。絶対良くない。
だから、私は、
「・・・・・・実は、前から私、悠也さんのこと・・・」
明のために。
明、
明、
大好きだよ。
まだ本編完結していないのに、番外編的なものを出すっていう。
茜クオリティですから、はい。ずっと書きたかったGLちょい暗めのものかけました。
フィーリングで書いてるので、結末に関係あるのかないのか・・・。