第9話:九条財閥の逆襲 〜わがまま vs 帝王の論理〜
遊園地での襲撃を退けた蓮。
しかし、娘の院を「家臣」のように扱う蓮に、九条財閥の総帥・九条大蔵が本気で牙を剥きます。
「資本主義」という魔法に対し、蓮が放つ究極のカウンターとは?
「一条蓮。君の『株式会社ワガママ』を、本日付で1円で買収させてもらう」
放課後の校門前。待ち構えていたのは、数十台の黒塗りの高級車と、日本経済を裏で操る男、九条大蔵だった。
「……ふん。1円? 僕のランドセルの排気熱で温めたカレーよりも安いな」
俺は背中の『マークIII』を鳴らしながら、冷ややかに笑った。
だが、大蔵の包囲網は完璧だった。
「強気だな。だが、君の口座はすべて凍結した。取引先の工場も、君の『奴隷』とやらも、すでに我が九条の軍門に降っている。……毒島くん、こちらへ来なさい」
「ひ、ひいいい! 社長、すみません! 住宅ローンの全額肩代わりを条件に提示されたら、抗えませんでしたぁぁ!」
九条大蔵の背後で、毒島が情けなく土下座している。
「……なるほど。毒島、お前の忠誠心はハッピーセットのチーズ抜きよりも軽いんだな。……零はどうした?」
「ふふ、あの天才少年か。彼のサーバーには、現在、我が財閥が誇る世界最高峰のホワイトハッカー軍団が総攻撃を仕掛けている。今頃、モニターの前で泣いているだろう」
大蔵が勝利を確信したように、院の腕を掴んだ。
「院、帰りなさい。こんなガキの遊びに付き合うのは終わりだ」
「お、お父様……。でも、一条さんは……!」
涙を浮かべる院。しかし、俺はランドセルから一冊の「算数ノート」を取り出し、不敵に笑った。
「大蔵。お前の論理は正しい。……『金』で動かない人間はいない。……だが、一つだけ忘れているぞ。その『金』の価値を決めているのは誰だ?」
「……何?」
「零。……聞こえるか? 『プラン・デリート』を開始しろ」
その瞬間、大蔵の持つスマホが激しくバイブレーションを起こした。
さらに、街中の街頭ビジョン、銀行のATM、そして九条財閥本社の全モニターに、俺の――一条蓮の「わがままな笑顔」が映し出された。
『……速報です。現在、九条財閥の保有する全資産が、謎のハッキングにより一瞬で「ビットコイン」に変換され、成層圏にある未確認衛星へと送金されました……!』
「な……っ!? なんだと!? 私の財産が、宇宙に!?」
「大蔵……。図書館で読んだんだ。この国の旧態依然とした金融システムの『裏口』をね。お前がハッカー軍団に俺の家を攻めさせている間に、僕の衛星(ワガママ1号)は、お前のメインサーバーの脳幹を焼き切っておいた」
「き、貴様……正気か! 日本経済が崩壊するぞ!」
「崩壊? 違うな。僕が『再定義』するんだ。……院、お前の父親に伝えておけ。**『今日から僕が、お前のパパのパパだ』**とな」
「……は、はい……? パ、パパのパパ……?」
頬を赤く染める院の横で、九条大蔵はその場に膝をついた。
だが、歓喜に沸く間もなく、俺のランドセルが「ピー!」と、これまで聞いたことのない警告音を発した。
モニターの中の僕の顔が、突如としてノイズにまみれる。
そこに現れたのは、大蔵でも零でもない――前世で俺を殺した、あの冷酷な暗殺者の顔だった。
『……エドワード王子。……今度は、この世界の「市場」ごと、あなたを葬り去ってあげましょう』
「……来たか。前世の掃除、ここで済ませてやる」
第9話、ついに日本経済を掌握(?)してしまいました!
しかし、真の黒幕がついにその姿を現します。
次回、「最終章(第10話):『わがまま』な世界の終わりと始まり」。
衝撃の「どんでん返し」まであと一歩。お見逃しなく!




