第6話:爆風の共闘 〜最強の二人(と奴隷)〜
ついに敵の本拠地、給食センターへ乗り込んだ蓮たち。
プロの武装集団を相手に、10歳の王子が「ランドセルの排気」だけでどう立ち向かうのか。
そして毒島に与えられた、あまりにも切ない武器とは……?
給食センターの屋上。そこは、黒ずくめの男たちが巨大な寸胴鍋を囲む、異様な光景となっていた。
「……あれが『操り人形』の薬か。悪趣味な調味料だな」
俺は浮遊するランドセルの熱風に耐えながら、男たちを見下ろした。
「一条さん、あの方たち、銃を持っていますわよ!? どうやって突入しますの?」
院が俺の腰にしがみつきながら叫ぶ。
「ふん、策ならある。毒島、行け!」
「ひいいい! 私だけ生身じゃないですかぁ!」
俺はランドセルの出力を操作し、毒島を屋上へ「投下」した。
同時に、零に通信を入れる。
「零、フルパワー(最大排気)だ! 奴らの視界を熱風で焼き払え!」
「了解……オーバードライブ・パージ!」
零がエンターキーを叩いた瞬間、俺の背後から火炎放射器のごとき猛烈な熱風が噴き出した。
「ゴォォォォォォォ!!」
「ぐわっ!? なんだこの熱風は! 前が見えん!」
「熱い熱い熱い! 誰だ、給食センターで火事を起こしたのは!」
混乱する武装集団。その隙を突き、俺は院に指示を飛ばす。
「院、左から三番目の男の膝を蹴れ! そこは九条流古武術の唯一の死角だ!」
「なぜそれを知っていますの!? ……えいっ!」
院の鋭い蹴りが男の膝を砕く。俺はさらに指示を続ける。
「毒島、お前は今だ! 奴らの股間にハッピーセットのオマケ(硬質プラスチック製)を投げつけろ!」
「と、取っておきの恐竜フィギュア、受けてみろぉぉぉ!」
「ぎゃああああ!?」
急所を硬いプラスチックで強打された男たちが、次々と悶絶して倒れていく。
図書館で読んだ『人体解剖図』と『プラスチックの硬度比率』。そのデータに狂いはない。
だが、敵のリーダー格が寸胴鍋のレバーに手をかけた。
「……こうなれば、薬を街の配水管に流してやる!」
「させないよ。……零、最後だ。ランドセルの全エネルギーを『熱変換』して放出しろ」
「社長、それやったら……ランドセル、爆発するよ?」
「構わん。わがままの代償としては安いものだ。院、僕から離れるなよ!」
俺は院を抱き寄せ、ランドセルの緊急排気弁を全開にした。
「ドォォォォォォォン!!」
凄まじい爆風と熱風が屋上を包み込む。
その威力は敵全員を吹き飛ばし、毒薬の入った鍋を蒸発させるほどだった。
……数分後。
煙が晴れた屋上で、俺たちはボロボロになりながら立っていた。
背中のランドセルは無残に弾け飛び、煙を上げている。
「……ふん。案外、使えるじゃないか。九条の娘」
「……あなたこそ。そのバカげたランドセル、少しだけ頼もしかったですわ」
二人が少しだけ微笑み合った瞬間。
「……あ、あの、社長。私、爆風でスーツが炭になったんですけど。あとハッピーセットも紛失しました」
「黙れ毒島。お前が盾になったおかげで、僕の服に汚れ一つついていない。褒めてやる」
勝利の余韻に浸る俺たちの足元に、爆発したランドセルの「破片」が落ちていた。
そこには、見覚えのある……前世で俺の心臓を貫いた暗殺者の紋章が刻まれた、通信チップが隠されていた。
「……見つけたぞ。今度は、逃がさない」
第6話、決着!
ランドセルは犠牲になりましたが、宿敵への手がかりを掴みました。
次回、「第7話:新ランドセル開発(宇宙工学編)」。
爆発の反省を活かした「衛星リンク型」の登場です。お楽しみに!




