第4話:学級委員長は金と給食で買え
ついに最強のライバル、九条財閥の令嬢が登場します。
「正義」を掲げるお嬢様を、蓮が「わがまま」でどうなぎ倒すのか。
ランドセルの異音にもご注目ください!
「皆さん! 私が当選した暁には、校内のゴミ拾いを徹底し、誰もが笑顔になれる学園生活を約束しますわ!」
体育館の壇上で、転校生・**九条 院**が輝くような笑顔で演説していた。
日本最大、九条財閥の令嬢。その圧倒的なオーラと「正論」に、クラスの男子たちは骨抜き状態だ。
パチパチパチ、と乾いた拍手を送りながら、最後尾に座る俺は毒島に命じた。
「毒島、今の演説を録音したか。後で零に解析させろ。『ゴミ拾い』という単語の裏にある偽善の周波数を特定するんだ」
「……社長、単なる小学生の選挙なんですけどね」
毒島はスーツ姿で俺のランドセルを持ちながら、目立たないように冷や汗を拭った。
そして、俺の番が来た。
俺が壇上に上がると、背負っているランドセルから**「フォォォォォォーン!」**という、F1カーのような凄まじい排気音が響き渡った。
「……一条くん、その音は何かな?」
担任の先生が困惑して尋ねる。
「先生、僕の知性がオーバーヒートしているだけです。気にしないでください。それより——」
俺は全校生徒を見下ろし、不敵に微笑んだ。
「九条さんは『ゴミ拾い』と言ったが、僕は違う。僕に投票した者には、来週からの給食メニューを好きなものに変更する権利を認めよう。具体的には、月曜から金曜まで毎日揚げパンとハーゲンダッツだ。あと、牛乳は希望者に限ってコーラに変更する」
「なっ……!?」
会場がザワつく。九条院が顔を真っ赤にして立ち上がった。
「一条さん! そんなの卑劣な買収ですわ! そもそも給食のメニューを勝手に変えるなんて不可能ですわよ!」
「不可能? 院さん、君の家の九条財閥は、この市の給食センターの筆頭株主じゃなかったか?」
俺はランドセルのサイドポケットから、零が調査した極秘資料を取り出した。
「先ほど、僕の秘書(毒島)を通じて、君のお父上に提案をしておいた。『娘の学校での評判を保ちたいなら、献立表を書き換えろ』とな。……あ、今、毒島のスマホに承認の通知が来たぞ」
毒島が震える手でスマホを掲げる。そこには九条財閥トップからの**『了承。好きにさせろ』**の文字。
「……というわけで、僕が当選すれば月曜は揚げパンだ。九条さんに投票すれば、いつも通りパサパサのコッペパンが待っている。……さあ、選べ。自由か、規律(ゴミ拾い)か」
「「「「蓮さまぁぁぁぁぁぁ!!」」」」
男子も女子も、食欲という本能には勝てなかった。圧倒的な「一条コール」が体育館を揺らす。
「くっ……おのれ一条蓮……! こんな屈辱、一生忘れませんわ!」
院が涙目で睨みつけるが、俺はそれを無視して、ランドセルから漏れる熱風を涼しげに浴びていた。
「毒島、零に連絡しろ。当選確定だ。……お祝いに、今夜はマクドナルドを貸し切れ。ハッピーセットの在庫を全部買い占めるぞ。もちろん、お前の自腹だ」
「ひいいい! 私、もう借金取りに追われてるんですけどおお!」
10歳児の選挙とは思えない政治力を見せつけた蓮。
しかし、九条院の背後にはさらに大きな影が……?
次回、「第5話:浮遊するランドセルと、お嬢様のわがまま」。
お楽しみに!面白いと思ったら評価・感想お待ちしております!




