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!『【完全記憶】の転生王子、10歳で天下を獲る 〜知識こそが現代の魔法だ〜』。  作者: Zacku


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3/10

第3話:引きこもりには「城」が必要だ

第2話での毒島(奴隷)の加入、いかがでしたでしょうか。

今回は、現代社会の裏側を支配するための「武器」を手に入れに行きます。

10歳の王子が、不登校の天才をどう口説くのか……お楽しみください!

「社長、本当にここでいいんですか……? 相手は数々の大企業をハッキングしたとされる、伝説の不登校児ですよ」

泥だらけのスーツ姿で、俺の重いランドセルを抱えた毒島が怯えた声を出す。

目の前にあるのは、築四十年のボロアパート。その一室から、異様な電子音と冷却ファンの回転音が漏れていた。

「ふん。伝説? 僕の前ではただの『ログインしていないプレイヤー』に過ぎないよ」

俺はノックもせずにドアを蹴り飛ばした(足が短いので、正確には踏みつけただけだが)。

「おい、氷室零ひむろ ぜろ! 出てこい! このアパートのサーバー、今から物理的にシャットダウンするぞ!」

「……は? 誰、あんた……ガキ?」

奥から現れたのは、目の下にどす黒いクマを作った、幽霊のような少年だった。

部屋の中は十二枚のモニターが怪しく光り、複雑なコードが滝のように流れている。現代の魔法使いの工房、といったところか。

「お前、こんな暗い部屋で一人、何をしている? 暇なのか?」

「暇じゃない……。僕は、このクソみたいな世界のシステムを書き換えてるんだ。……帰れよ、お坊ちゃん。ここは君みたいな幸せな奴が来る場所じゃない」

零が吐き捨てるように言い、キーボードを叩き始める。

俺は迷わず、そのキーボードの上にランドセルを叩きつけた。

「……ッ!? 何をする!」

「書き換え? 笑わせるな。お前がやっているのはただの『落書き』だ。本当の書き換えってのはな、現実を支配してから言うもんだぞ」

俺はランドセルのサイドポケットから、一本のLANケーブルを取り出した。

図書館で暗記した『最新ネットワーク脆弱性レポート』。そこには、この地域一帯の通信インフラが抱える「致命的な欠陥」が記されていた。

「零。お前が三ヶ月かかって突破できなかった九条財閥のファイアウォール。……五秒でこじ開けてやる。見ていろ」

俺は零の椅子を蹴り飛ばして座り、神速のタイピングでコードを打ち込む。

一度読んだプログラミング言語の辞書は、すべて脳内の『ライブラリ』に最適化されて保存されている。

「……え? 嘘だろ……。そこ、バックドアなんてなかったはず……」

「五年前の初期型システムに残された、開発者さえ忘れた『歴史』だ。お前は最新の技術に溺れて、過去を軽視しすぎたな」

画面に【ACCESS GRANTED】の文字が踊る。

零は呆然とモニターを見つめ、次に俺を見た。その瞳に、初めて「恐怖」ではない「光」が宿る。

「……お前、何者?」

「一条蓮。株式会社ワガママの社長だ。零、お前のその腕、僕の『わがまま』のために使え。お前が一生かけても手に入らない『最高の処理速度(権力)』を、僕が用意してやる」

「最高の、処理速度……」

「そうだ。僕に従えば、お前のキーボード一つで国を動かせるようにしてやる。お前には『暗い部屋』じゃなく、『王の右腕』がお似合いだ」

零の口角が、わずかに上がった。

「……いいよ。面白そうだし。でも、僕、学校は行かないからね」

「当たり前だ。あんな無駄な場所に天才はいらない。……さあ、最初の仕事だ。僕のこのランドセルに、世界経済をいつでも破滅させられる『核のボタン(ハッキング端末)』を仕込め。排気熱でカレーが温まる機能も忘れずにな」

「……何それ、最高にクールだね」

「ひ、ひいいい! 恐ろしい組織になってきた!」

毒島の叫びをよそに、現代の魔法使いが俺の軍門に降った。

これで、知略、実務(奴隷)、技術の三本柱が揃った。

「さて……次は、僕の『わがまま』を邪魔しにくる、あの高飛車なお嬢様にご挨拶といこうか」

俺の脳内ライブラリが、次の標的――九条財閥の令嬢のデータを弾き出した。

第3話、最強の技術職エンジニアが加入しました!

ランドセルがどんどん兵器化していく予感がしますね。

次回、いよいよライバル・九条院くじょう いんが登場します。

「わがまま」対「お嬢様の規律」。勝つのはどちらか?

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