最終章:『わがまま』な世界の終わりと始まり
ついに、この物語も終わりを迎えます。
「株式会社ワガママ」の天下統一。
その果てに蓮が辿り着いた、あまりにも「わがまま」な真実とは?
最後までお付き合いください!
「……毒か。よほど、僕のことが怖かったと見える」
モニターの中に映る前世の暗殺者が、冷酷な笑みを浮かべる。
俺は背中の『マークIII』をフル稼働させ、成層圏の衛星から極大レーザーを照準させた。
「エドワード王子。この世界の経済、法律、すべてを掌握したつもりでしょうが……。所詮、ここはあなたの『空想』に過ぎないのですよ」
「……何だと?」
その瞬間、世界の端からボロボロと「テクスチャ」が剥がれ落ち始めた。
青い空が消え、真っ白な空間が露出する。九条大蔵も、膝をつく毒島も、ノイズを吐いて消えていく。
「一条さん! 一条さん、消えたくありませんわ!」
泣き叫ぶ院の手を掴もうとしたが、彼女の体もまた、砂のように崩れていった。
「……何だ、これは! 零! サクラ! 応答しろ!」
通信は途絶えた。
俺は自分のランドセルを開けた。そこには改造機材も、衛星リンクの端末も入っていない。
一冊の、古い絵本が入っていた。
タイトルは『わがまま王子の天下統一』。
著者の欄には、現代日本での俺の父の名前が記されていた。
突如、頭上に優しく、しかし現実的な声が響く。
「……蓮くん、もう5時間だよ。閉館の時間だ」
目を開けると、そこはいつもの静かな図書館だった。
窓の外には夕焼けが広がり、机の上には読み耽っていた数冊の専門書と、例の絵本が置かれている。
俺は10歳の少年、一条蓮。
魔法も、浮遊するランドセルも、株式会社ワガママも存在しない。
俺はただの、体が弱く、友達のいない「本を読みすぎる少年」だった。
サクラも院も、この数日間、図書館で見かけただけの面識のない少女たちだ。
「……なんだ。全部、僕の空想だったのか」
俺は力なく立ち上がった。
だが、ふと自分の右手を見ると、そこには夢の中で王位の証として押した『王冠のスタンプ』が、現実の肌にうっすらと残っていた。
そして、何より――。
脳内には、5時間で読み耽った『経営学』『商法』『プログラミング理論』のすべてが、【完全記憶】として、一言一句違わず刻まれている。
「……ふん。全部が夢だったとしても、この『知識』だけは本物(僕のもの)だ」
俺はランドセルを背負い直し、図書館を出た。
そこには、夢で見たのと全く同じ、経営難で泣いているサクラ(現実)と、その工場を買い叩こうとしている毒島(現実)の姿があった。
俺は不敵に笑い、歩み寄る。
「おい、そこの不潔な大人。……その魔法、僕が書き換えてやる」
毒島が驚愕の表情で俺を見る。
サクラが涙を拭い、不思議そうな顔で僕を見つめる。
「君、名前は……?」
「一条蓮。……いや、株式会社ワガママの社長だ。今日から、お前の工場の主になってやる」
夕日に照らされた俺のランドセルが、一瞬だけ、本物の黄金の王冠のように輝いた。
空想は終わった。
だが、ここからが本当の「わがまま」の始まりだ。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!
「夢オチ」と見せかけて、実は「夢で得た知識」を武器に、現実でゼロから天下を獲りにいく……そんなプロローグとしての完結です。
蓮の本当の戦いは、ここから始まります!
もしよろしければ、最後に評価【☆☆☆☆☆】と感想をいただけると、作者の「わがまま」が満たされます!




