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ふたりの王女
ホワイトパール様とブラックパール様
ふたりの王女の物語
さてどんなお話を書こうとしたのか
純白のドレスの王女は清らかで
漆黒のドレスの王女はしたたかで
ブラックパール様の意地悪を乗り越えて
最後に微笑むのはホワイトパール様
光が影を剋するというのはよくある話だ
そんな結末が見えてしまい
つまらなくなって放り投げたのかもしれない
今のわたしならどんな物語を書くのだろう
雑多な経験を経て大人になると
ときには天邪鬼になったりもするし
見えなかったものが見えてきたりもする
気丈夫な白い王女とたおやかな黒い王女
美貌のふたりは手を組んで
敵国の王子を篭絡し
戦わずして国を盗る
ありきたりの日々に飽きて
あらぬ方向へと広がる想像
妄想のニューロンが
じわりじわりと
幻想の原野を広げてゆく
白と黒
光と影
その境界にあるもの
その裏側にあるもの
大人になるにつれ
物事は複雑になるけれど
相対するものはすべて一対であり
あるときはその表を
あるときは裏側を
見ているだけなのだと気づく
お絵描き帳に描かれた
ふたりの王女は
子どもなりの
自画像だったのかもしれない