第二話「イキってもいいですか?」
人からこんなに頼られたことなんて、だれも立候補しない学級委員の仕事をしたとき以来だ。
「では、スキルはまず、わたしに使ってもらえませんか?旅人様。」
リエルリさんが前に出る。もしも加害性のあるスキルだったら、ということを考慮したのだろう。僕はすぐ調子に乗ってしまうから、慎重な大人がいてくれるのはありがたい。
「分かりました。それでは、ベットのある場所に移動してもらえますか?」
「ええ。」
あまり人が多い村ではなさそうだが、それに合わせて村の敷地も小さめだ。
でも、
「住宅、結構多いんですね。」
「あ、それは宿です。」
と、淡々とヒュードさんが訂正する。
「え、でも、」
「宿です。ここにいる者たちの半数が、お客様です。さ、宿泊用の宿に到着しましたよ。」
なんだか複雑な事情がありそうだ。
そうこうかんがえてるうちに、個室にたどり着く。
「そ、それでは…」
やばい。スキルってどうやったいいんだろう。
ほいほい使えている、お気に入りの異世界転移モノ主人公たちの凄さが分かった。
「スキルつかいかたわかるー!?!?」
ドーナさんがしどろもどろしてる僕の手を後ろからわしづかみにする。
「みゃ!?」
本当に、距離が、近い!!この世界に来てから何度、ドーナちゃんに心を乱されているのだろう。
「アンタ、勘違いすんじゃないわよ。ドーナは、私たちにもいつもこうなんだから。」
ミアさんからの訂正。やっぱり。そうだと思った。ほんと、調子乗らないようにしよ。
「スキルはねー!心臓辺りに意識を集めて、それを使おうという確固たる意思を持って、心臓のポンプを通してその意志を手のひらに伝える、ようにするといいよ。」
急にすごくかっこよくなった!?かっこいい!
意識、意識、快眠を、この人に!!
「スキル、<快眠>!!!」
リエルリさんに緑のオーラみたいな物が出て、彼は眠りに落ちた。
「……いつもは私たちってぇー。寝るまで5時間くらいかかるよねぇー。」
「ま、マイラさん、5時間って、本当ですか?」
「んー?うん。夢でいっぱいの2時間くらいしかぁ、ねたことなーい。」
それは、寝たと言えるのか。15分の仮眠のほうが効果がありそうだぞ。
「ヒュードさん、状態異常の確認をお願いします。」
「なし、です!!状態異常の欄の<不眠>が、なくなっている!!」
「すっごーい!ほんとに、ほんとに神様じゃん!!大好き!!ミノルくん!!」
「へ、っへぇー。やるじゃないの。あっしも…」
「えー。わたし先ぃー」
「ミノルさん、いや、様。どうぞこれから、よろしくお願い致します。」
本当に、これは現実なのか。
僕が見知った、異世界転移ものじゃないか!
魔獣や魔王を倒さず、ただ寝かせるだけで……!
ここにいるのは、現実の人だ。でも、僕がここで求められていることも事実だ。
だから、ちょっとイキって、頑張ってみよう!!
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