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異世界に転移させられたんだが俺のダンジョン攻略が異世界と地球で同時に実況ライブ配信されているようです  作者: 波 七海


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地下第53階層・階層守護者戦 ①

いつもお読み頂きありがとうございます。

本日は12時の1回更新です。

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ブクマをしてもらえれば更新された時分かりますし、評価して頂ければ作品が浮上できます。


こちらの作品もコンテスト参加中です。

面白いので一気に読んで頂ければ嬉しいです。


『セレンティア・サ・ガ』

~ゲーム世界のモブに転生したはずなのにどうしてもキャラと本編が逃がしてくれません~

https://ncode.syosetu.com/n3022kp/

「これが階層守護者の間……なのか……」


 巨大な両開きの鉄門の前で謙信が驚きに満ちた声を絞り出す。

 その他の者達も似たような感想を抱いたようで、感嘆の声、呆けたような声、声にならない声があちこちから聞こえてくる。


 通常は階層守護者の討伐後は普通の大部屋になるのだが、今回の10人は誰1人として挑んだことがなかったため、そんなことなど知る由もない。

 しかし攻略前は全く造りが違っているのだ。

 誰かがボス戦を盛り上げるために用意して舞台装置の1つなのである。


「皆、聞いて。入れば2度と出る事は叶わないわ。それこそ【強制脱出(エスケイプ)】なんかのカードがなければ逃げる事もできない。覚悟はいいわね?」


 〈熱血ギャンブラー自己中心派〉の盟主である片桐が仲間達に噛んで含めるように言い聞かせている。

 それ程に覚悟がいると言う事だ。

 勝てない魔物が階層守護者で逃げる事もできないのなら、待っているのは『死』のみである。


 皆が神妙な顔付きで頷く中、謙信は通常カードを入れたスロットから中身を取り出して確認していた。


「あーあったあった。俺持ってるよ。【強制脱出(エスケイプ)】カード。結構、魔物倒したからなぁ……」


 それを聞いて皆の覚悟が一瞬で霧散した。


「マジかよ! 早く言ってくれ……心臓に悪いぜ……」

「良かったぁぁぁ! これで死ぬ可能性は少なくなったのね!」


 皆が安堵したのはいいのだが、謙信はマズい事をしたなと考えていた。

 覚悟を持って死ぬ気で挑まねば階層制覇などできない。

 バラすのは戦ってからギリギリの状況ででも良かったし、無理やり謙信の独断で使う事もできたのだ。


『その通りかも知れませんね』


 相変わらず謙信の心の言葉に返事するサフィだが、やはり同意見なようだ。

 片桐は仲間の緩んだ空気を引き締めようと声掛けをしている。

 気が大きくなっているのは謙信がいる事も大きいだろう。

 あれ程の強大な力を使用できる『カード使い』の能力(ファクタス)を生で目撃したのだ。

 当然と言えば当然と言える。


「階層守護者って一般の魔物と違うんでしょうか?」


 険しい表情をしていた謙信を気遣ったのかアリアが彼に尋ねた。


「ああ、固有の魔物だって話だが……」


『まぁ魔物グラフィックの色だけ変えたバージョンだと思えば……あっ』



:色違いの魔物は固有種なのか参考になるぞ

:グラ使い回し発言キタww

:失 言 再 び

:ああ、そう言う事ね……

:こいついつもやらかしてんな

:何でも知ってんな。流石やで

:ガイアスダンジョンの53階層のボスは確かドラゴンだったはずだ

:わしも昔はドラゴンと戦ったもんじゃ

位階(レベル)どれくらいなんだろうな



「まぁ通常の魔物より強かったり、特殊能力を使って来たりするみたいだな。流石に位階は知らんが」

「へーそうなんだぁ。やっぱり硬いですかね?」


 謙信は何故この()は殴る前提で話をしているのだろうと疑問を抱いた。

 だが、あまりにも眩しい笑顔なのを見て口を噤んだ。


「じゃあ、準備はいいか? 信じる神には祈ったか? 初めての記録更新なんだろ? なら気合入れていくしかねーだろ」


 その言葉に〈熱血ギャンブラー自己中心派〉の面々が喊声を上げる。

 集中力が切れていなかったようでホッと胸を撫で下ろす謙信。


「アリアもあんまり無理するなよ?(人材(サーヴァント)を1人、アリアに付けるか……)」


「さぁ行くわよ!!」


 皆で扉に触れるとギギギと軋むような音と重厚な音が混じったような地響きを立てて扉は開かれた。

 同時に暗い部屋の中にボッボッボッボと蝋燭に火が灯されていく。

 まさにゲーム的な演出だ。


 闇の中で黒い影が蠢く。

 部屋全体に灯りが行き渡り、階層守護者の姿が明らかになる。


 その魔物は――メタルドラゴン


 銀色に輝いているメタリックな感じの巨大なドラゴンである。

 もちろん、謙信は初見だ。

 地球側の面々もそれは同じだろうが、テラーズの探索者なら見た事があるかも知れない。


 謙信が抱いた印象としては、硬そう、速そう、逃げそう、経験値多そう、であった。


『さーーーーーーー始まるぞーーーー!! 地下第53階層の階層守護者――それはメタルドラゴンだーーー!! その驚異的な物理防御と俊敏さに刮目せよーーーー!! ファイッ!!』


『うおおおおおお!!』


 自己中心派の前衛達が一心不乱に突撃していく。


「あードラゴンブレスとか来るんじゃないですかねぇ」


 謙信が声の主の方に思わず目をやると、そこには【SR・モーニングスター】を手にしたアリアがいた。一緒に突っ込んで行ったものだと思っていた謙信が面食らう。


「確かにな……取り敢えずカード!!」


 カードの種類は――物攻強化(バフ)カード


発動(トリガー)!」


 硬い相手に物理攻撃力の強化は良いかも知れない。

 すぐに発動し、次に移る。


「来い!!」


 カードの種類は――魔物(モンスター)カード【R・オーガ】


発動(トリガー)!」


 魔法陣の中からオーガが出現し、謙信がすぐさま命令を下す。


「あのドラゴンを殴り倒して来い!」


 オーガは一吠えして突撃していく。

 あれは以前に弱らせた時に試しにカード化してみた魔物である。


 本来ならカードセットに魔物カードなど入れるはずがないのだが、最近になって実はカードセットに新たにカードを追加すると所持カードの中からランダムで勝手にセットされるのでは?と言う疑惑が出てきたのだ。

 強いカードをセットしているはずなのに中々引く事ができなかった過去があるので恐らく有り得そうだ。

 それにサフィも黙って何も言わなくなったので怪しんでいる。

 カードセットは戦闘以外の時にカードを追加する時のみ、開放されるので確認するのはその時を置いて他にない。


 その結果、今の結論に至ったと言う訳である。


 つまりデジタルは信用できないと言うことだ。

 謙信は東京五輪の時の柔道団体戦の決勝ルーレットの結果は操作されたものだと信じていた。

 陰謀論? 知らんよそんなもん。


 おっとそんな事はどうでも良い。

 我に返った謙信が再びカードを引く。


「カードよ!」


 カードの種類は――魔法カード【火神轟撃(イラ・マグナ)


『キターーーーーーーーーー!! 暗黒導士でも使いこなす事が殆どできない第5位階の火魔法だーーーーーー!! これを使えたら英雄を遥かに超える存在だぞーーーーーー!! だがこれが効くとは言ってなーーーーーーい!!』


発動(トリガー)!」


 何かサフィの余計なひと言が聞こえたような気がしたが迷わずぶっ放す謙信。


 前線ではメタルドラゴンの強烈な体当たり攻撃による強い衝撃で仲間達が吹っ飛ばされている。

 そこへ追い打ちのドラゴンブレスだ。

 付与術士が防御魔法を掛けているようだが、効果はどうか分からない。


:はえー第5位階とか

:こんな魔法なのだな

:初めて見るぞ

:効かないとかバラしてて草なんだ

:これもう伝説だろwww

:見てて良かった定期

:おーすげぇ

:第5位階の使い手など会った事もないぞ……

:謙信さん、マジぱねーな

:本当にあったのかよ

:誰か暗黒導士のヤツいねーの?



 【轟渦爆炎(ブレイズ)】とは違い広範囲に火炎を撒き散らすものではないが、それは今まで見た事のない魔法だった。


 メタルドラゴンの周囲に火が灯ったかと思うと巨大な火柱が天を衝き、その全身を飲み込んでしまった。荒れ狂う極炎。凄まじいまでの火柱が大地にメタルドラゴンを縫い止めている。範囲は限定的だが、その炎はミスリル以上の硬度を誇るアダマンタイトすら溶け出すと説明にある程だ。


 前衛の者達は体が変質していくメタルドラゴンの様子を間近で見る事となった。


「すげぇぇぇ!! これダメージ入ってるぞ!!」


「硬いけど、限界はあるのね! 殴り続けましょう!」


 皆興奮して騒いでいるが、謙信としては手応えを感じない。


人材召喚(サモン・サーヴァント)、『R・剣豪王ジャムシード』、『SSR・剣王アルトリア』」


 2つの魔法陣が蒼銀に光り輝き人材が姿を現すと、謙信はすぐに命令を下す。


「敵は硬い! とにかく削ってくれ! 後は前衛がヤバそうな時は頼んだ!」

「御意」

「承知」


 一気に間合いを詰めた2人が剣と刀で思いきりぶん殴る。

 あれ程に簡単に斬り裂いていたアルトリアの剣でも斬る事ができないとは驚きだ。


『ほーーーーーーーら言ったでしょおおおおおお!? 僕はッ!! メタルドラゴンがッ泣くまでッ!! 殴るのをやめないッ!!』


「カード!」


 カードの種類は――召喚獣(インカーティオ)カード【SR・キュベレー】


『キターーーーーーーーーー!! 神々の使いし獅子たる咆哮を聞けえええええええ!! 白銀の獅子がメタルドラゴンに襲い掛かるぞーーーーーーーーー!!』


発動(トリガー)!」


 魔法陣から妖しく光り輝いたかと思うと、神々しいまでの光を纏いし者が、これまた光の獅子を3体解き放った。それらはドラゴンブレスで前衛達を薙ぎ払っていたメタルドラゴンに殺到し吸い込まれるように消えたかと思うと苦しげな声で絶叫する。


「ギュエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!」


:キュゥべえかと思ったw

:効いてて草

:効いてて草

:よく分からん召喚獣だな。幻獣か?

:効いてて草

:自己中心派が全然目立ってなくて草

:流石のわしも初見ぞい

:幻獣か、幻獣は幻界から来るってのは本当なのか?

:そう言えば草って何なんだ草

:もう謙信だけで良くない?



 その刻――闇が生まれた――

ありがとうございました。

また読みにいらしてください。

明日も12時の1回更新です。

※ストックがありません。更新できない場合がありますのでご注意ください。


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モチベーションのアップにも繋がりますのでよろしくお願い致します。

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