謙信、絡まれる
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『セレンティア・サ・ガ』
~ゲーム世界のモブに転生したはずなのにどうしてもキャラと本編が逃がしてくれません~
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ギルドマスターの部屋から出ると、謙信は新しく出来たと言うカード売り場に顔を出してみる事にした。
新たに設けられたスペースは大きめに作られている。
様々なカードが所狭しと並べられており、価値や種類ごとに仕分けられて置かれていた。
価格を確認して見るが高い。
その多くが金貨以上の値がつけられている。
もう売る気なんてないだろと思いたくなるような価格設定である。
「これはアレだな。うん。買うもんじゃねーな」
ギルドマスターに相談してみた方が良いかも知れない。
『今は需要がないですからね。実質一人だけですし』
仕方ないと思いつつ、ギルドから出ると武器屋へ向かう事にした。
剣を調達して【R・運命のダイスⅠ】はカード装備に回そうと考えながら歩いていると、謙信の目の前に女の子が立ち塞がった。
誰だろうと思ったら彼女は昨日、第20階層で助けた少女であった。
元気そうで何よりである。
「こんにちは! 謙信さん! 昨日は本当にありがとうございました!」
「アリアか。調子はどう? 大丈夫か?」
「お陰様で大丈夫です。でも……あの……」
彼女が何か言いにくそうにしているので、自分から聞いた方がいいのか、黙って待った方がいいのか迷っていると路地裏から声を掛けられた。
「アリア……見つけたぜ」
「あんたも良く生き残ったわね。悪運だけは強いみたい。流石は聖女様ってところかしら?」
全員で4人いるが、皆、悪役顔だ。
男が2人、女が2人。
彼らを見て、アリアは謙信の陰に隠れて震えながら言った。
「あの……実は私、昨日クランの……この人達に置いてけぼりにされたんです……それでギルドに訴えに行こうかと――」
「アリア!」
言葉を遮るように大喝する男。
恐怖で縛ろうとするとは卑怯な奴だ。
「あーアンタ清々しい程のクズだな。こんなケースがあるとは聞いてたが、まさか本当にやってる奴がいるたーなぁ」
「何の事だ? 俺達はそこのアリアに用があるんだ。関係ないヤツは引っ込んでろ」
「関係あるんだよなぁ……」
「何だと……?」
昨日の地上への帰り道で、アリアは何も語らなかった。
第20階層で1人でいる時点でおかしいのに、もっとちゃんと事情を聞いておくべきだったのだ。
「アリア、俺が鈍くて悪かったな。すぐに警察に突き出してやるから任せて見てろ」
「けいさつ?」
アリアが茫然とし、4人が臨戦態勢を取る中、サフィの言葉が響き渡った。
『ファイッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
:あれ。また合成か?
:1日に何度もうpすんなしw
:まーた喧嘩か
:ダンジョンじゃないじゃないか
:敵は4人か。何したの?
:ホンマ狂気の男やな
いきなり配信が始まっている事に気付かずに謙信が静かに言い放つ。
「屋上へ行こうぜ……久しぶりに……キレちまったよ……」
「お、屋上……?」
「罠でもあるのか……?」
:いきなり金太郎キターーー!!
:画太郎先生何してんすか
:相手がビビり散らかしてて草
:こいつら何したんだ?
:極悪人よ
:アリアたんを見殺しにしたんやで?
:悪・即・斬
「カードよ来たれ! アリアに代わって俺がテメーらにお仕置きしてやる!」
周囲に何十枚ものカードが展開し一帯が虹色に輝く。
真夏の夜に降る星のように煌めきながら一枚のカードが目の前に出現した
カードの種類は――物攻強化カード【物攻強化Ⅰ】
「発動!」
謙信の体がオレンジ色に染まる。
「ま、カードなくても殺れそうだけどな。一応は見とくか」
謙信は一枚の異なるカードを腰に付けている別のスロットルから取り出すと、標的を指定して使用する。
取り敢えずは、攻撃職らしき男を調べる事にした。
「【鑑定】カード発動!!」
これは『カード使い』用のカードではなく、誰でも使用可能なカードである。
人間、魔物、アイテムなどの詳細情報を知る事が可能だ。
――――――――――――――――――――
◆◆◆ステータス◆◆◆
[種族]:人間族
[名前]:ミヤポン
[性別]:男
[年齢]:25歳
[称号]:探索者、夜の帝王
[加護]:‐
[身分]:探索者
[価値]:UC
[位階]:22
[職業]:重戦士
[熟練]:4
[指揮]:☆
[個技]:‐
[戦法]:‐
[技能]:【身体強化Ⅲ】【速攻Ⅱ】【神回避Ⅰ】
[才能]:【斧の才能Ⅱ】
[特性]:【短気Ⅱ】【気合Ⅱ】
[装備]:【UC・ロングソードⅠ】【C・鎖帷子Ⅰ】
[等級]:【中級者・D級】
[HP]:240/240
[MP]:101/101
[SP]:178/178
[物攻]:188+50
[物防]:199
[魔攻]:34
[魔防]:55
[精神]:102
[知性]:87
[俊敏]:134
[幸運]:88
◆◆◆能力◆◆◆
【従騎士Ⅱ】【戦技Ⅳ】【剣技Ⅲ】
◆◆◆職業設定◆◆◆
[攻撃設定]:通常攻撃
[固有設定]:『戦技』
[職能設定]:『剣技』
[反撃設定]:パリィ
[支援設定]:
[移動設定]:移動強化Ⅰ
[特殊設定]:‐
◆◆◆特殊ポイント◆◆◆
[AP]:100
[CP]:0
[TP]:2311
◆◆◆ランキング◆◆◆
[撃破数]:522
[日本ランキング]:∞
[世界ランキング]:∞
[異世界ランキング]:∞
――――――――――――――――――――
「ほーん。これで――」
『勝ったな! ガハハ! この程度で謙信様に挑もうなど100京万年速いねーーーーーーん!!』
:みやぽんwww
:このカードなら知ってるぞ!
:みゃーもりww
:はい負け
:夜 の 帝 王 ??
:オラァ! これでよく喧嘩売ったなァ!
:普通過ぎるな
:こいつがアリアちゃんを置き去りにしたんか?
:これはキレる
「あ、武器は【R・運命のダイスⅠ】しかないんだった……」
『下手こいたら死にますね』
謙信がサフィと話合っていると、馬鹿にされたと感じたのか、ミヤポンがダッシュで距離を詰めてくる。
「【R・剣豪王ジャムシード】、発動!」
面倒なので前衛は人材に任せて、謙信は後衛をボコろうと決めた。
蒼銀に煌めく魔法陣からの光の粒子と共に出現するジャムシード。
「あの前衛職を牽制してくれ! 殺すな。手足を斬り落とすとかはなしだ」
「御意!」
謙信に向けて斧をを振り下ろしてきたミヤポンにジャムシードが割って入り、その攻撃を受け流す。
その隙に一気に後ろの2人に向かって走り出し、攻撃を仕掛けようとする。
「【雷撃】」
魔法の発動と共に謙信が更に加速する。
魔導士風の男だったので使ってくるのは想定内だ。
あっさりと躱されたのを見て驚愕する魔導士。
謙信は一気に間合いを詰めると渾身の力を込めて、腹に一撃ぶち込んだ。
一瞬、宙に浮く程の衝撃を受けて彼はあっさり昏倒する。
『決まったーーーーー!! まさにワンパン! これはワンパンマーーーーン!!』
「ひいいい! 何よ!? 何なのよアンタはぁ!?」
一撃でやられてしまったのを見た女が悲鳴に近い声を上げる。
だが、そんな事はどうでもいい。
彼らがした事は外道であるのだから。
「ただの『カード使い』だ。それより覚悟はいいか? 神に祈ったか? 懺悔はしたのか? お前がやった事は許されない。例え神が許しても俺が許さない。絶対にだ!」
謙信が右手を振り上げると、漆黒の龍がその体の巻き付いてその右拳に宿る。
同時に湧いてくるドス黒い感情。
「(これはカオス種の時と同じ現象!? 現実か? 幻か?)」
その心に全てを喰い尽くせと囁いてくる。
その能力を喰らい尽くせと吹き込む。
『おーーーーーっと! 流石は謙信様ァ!! 女相手でも容赦はしなーーーーーーーい!!』
「〈サフィにも見えてないのか?〉」
謙信は狂気に惑わされそうになりながらも、何とか耐えて女に軽い一撃を喰らわした。
もちろん手加減はしている。
女に手を上げるのは本意ではないが、アリアがされた事に比べればこれ程軽い罰はない。右拳が脇腹にめり込み、女は家の壁に叩きつけられて突き抜ける。
ほとんど力を込めてもいないのにどうした事だと謙信は戸惑いを隠せない。
と言うかそもそも殴るつもりもなかったのだが、狂気に飲まれかけたせいで手が出てしまったのだ。
:容赦ねぇww
:鬼畜で草
:サイテーです。もう見ません
:仕方ないと思うがね
:どんな事があっても女性に手を上げちゃいかん!
:男女平等パンチきた!
:平然とやってのけるぅぅぅぅ!!
『K.O!! おーーーっと謙信様の狂気の笑みが! その顔を愉悦に染め上げているぅぅぅぅぅ!! まさに鬼!! 鬼畜の所業だーーーーー!!』
そんな喧騒の中で謙信は必死に込み上げる狂気を抑え込もうとしていた。
このままでは本当に殺しかねない。
殴るのは駄目だと判断した謙信は敢えてカードを使う事に決める。
「カード!!」
カードの種類は――魔法カード【凍結球弾】
「発動!」
『ここで魔法カードだーーーーーーーーー!! どこまで相手を追い込む気だぁぁぁぁぁ!! どうなっても知らんぞーーーー!!』
:ここでカードかよww
:オーバーキルすぎてヤバ
:はい死んだ
:これは特殊能力者対策課くるぞ
:犯人は謙信
:カードは鬼
:おいおい捕まるぞ
「(どいつもこいつも俺の気も知らねーで!!)」
凍てつく氷の球弾が戦士の1人の半身を氷漬けにする。
何とか全身氷漬けだけは避ける事ができてホッとする謙信。
「ジャムシード! 気絶させろ!」
「応!!」
最後の1人となったミヤポンはジャムシードの当身を受けてその場に倒れ伏した。
『最後の1人がお逝き遊ばしたーーー!! おんのれ!人間どもぉ!! 神が許しても天使が許さん!! 正義は我にありーーー!!』
サフィがノリノリで実況しているがそれを聞いている余裕など謙信にはなかった。
ここでようやくドス黒い感情の波が徐々に引いていくのが分かる。
荒い息が謙信の口から吐き出され、苦しさにその顔が歪む。
何とか呼吸を整えた謙信は大きく息を吐き出すとやっと状況を確認した。
そこには死屍累々(死んでないけど)の4人が倒れ伏している。
1人はジャムシードに気絶させられ、1人は謙信に殴り倒され、1人は殴り飛ばされて壁を突き破り、1人は半身氷漬け。
『謙信様。大丈夫ですか? 何か様子がおかしかったようですが』
「気付いてたのか……ヤバかった……殺しちまうところだった。後で話すから今はこいつらを回復させたい」
謙信はジャムシードを解放すると、カード化していた回復アイテムを飲ませていく。
幾ら謎の暴走があったからとは言え、明らかに過剰な攻撃だ。
普段の謙信なら絶対しないだろう。
と言うか拳の威力が半端なく上がっている気がする。
位階が上がったとかそう言うレベルの話ではない。
何とか4人を回復させると、謙信はやり過ぎた事を謝罪した。
しかしアリアに対してした事が許されない行為であるのも事実。
土下座させた結果、彼女は彼らを許す事にしたらしい。
度量の大きな娘だと謙信が感心する程である。
取り敢えず何とか丸く収まったので、後は自分の身に降りかかった明らかにおかしい現象について調べるだけだ。
すぐに宿に戻ろうとうすると、アリアに袖を掴まれた。
「何だ? どうした……? 一応はギルドに行っておいた方がいいと思うがついて行った方がいいか?」
「い、いえ……謙信さんが戦っている最中にとても苦しそうだったのが気になって……何か……こうドス黒いナニカを感じたと言うか……すみません。上手く言えないです」
アリアの発言に謙信が驚愕で目を見開いた。
サフィと彼女がいれば何とかなるかも知れないと希望が出てきたのだ。
「本当に!? 俺はそれに苦しんでたんだよ! アリアの職業は確か――」
「聖女です」
「宿で俺を見てくれんか? 何か調子が悪いんだよ……」
「わ、分かりました!! 大恩ある謙信さんのため! そして聖女として見過ごすわけにはいきません!」
急なお願いなのにもかかわらず、快諾してくれるアリアには感謝しかない。
その後、4人をギルドに引き渡して事情聴取を受けて宿に戻ったのは夜の21時を過ぎていた。流石に時間も時間なのでアリアに明日にしようかと言ったのだが、彼女は謙信を心配してくれたようで、同じ宿に移るとまで言ってくれた。
幸い彼女の荷物もそれ程多い訳でもなかったので、すぐに宿に移る。
結局、今日は休んで明日に見てもらう事になったが、謙信としては非常に助かったと安堵していた。
あの原因不明の感情の正体を早く知りたいところだ。
アレは危険だと謙信の脳が警告している。
寝る前にルーチンワークであるステータスの確認を行おうと「ステータス」と言葉にする謙信。
しかし表示された半透明のボードには予想だにしていない物が映っていた。
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明日も12時の1回更新です。
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