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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
農村編
9/52

よろしくお願いします

 メグルは周囲を確認しながら路地を走る。


 建物の死角から、こちらに近づいてくる靴音が聞こえてきた。


 メグルは衝撃呪文を放つ準備をする。


 建物の影から刃が光る。


「思いのほか、やんちゃじゃないか」


 メグルの真後ろから男の声がした。


 回り込まれた?


「《カイナ・オウ》!」


 メグルは即座に背後の男へ衝撃魔法を放つ。


「《テラス・カーキネン》」


 それと同時に男も呪文を唱える。


 メグルと男との間に光の壁が出現する。壁の角度は、メグルから見て斜め上に面を向けている。


 メグルが放った衝撃波は光の壁を反射し、メグルの頭上に位置する建物の煙突を砕き割った。


 メグルの頭上に、四散したレンガが落下してくる。


「《カイナ・ティング》!」


 男が別の呪文を唱えると、煙突だったレンガが空中で静止する。


「さて、ほんのちょっとばかりお仕置きが必要だな」


 光の壁が光の粒子となって、空に拡散していく。


 現れたのはエデューだった。


 エデューが薄ら笑いを浮かべながら、メグルの額に卵を握ったかのような軽く握った拳を突き付ける。


 メグルは反射的に目をつぶった。


 ……、……。


 コツン。


「でこぴん……!?」


 メグルが目を見開く。


「だから言っただろ。『ほんのちょっと』お仕置きが必要だと」


 エデューが笑いながら答える。


「あ、そうだった。ここから離れるぞ。そろそろ魔法が途切れる」


 メグルたちは、レンガが浮遊している地帯から歩み出た。


 その数秒後、レンガは重力に従って地面に落下した。


***


 ふと気が付くと、周りには人だかりが出来ていた。


 いぶかしげにメグルを見つめる。


「すまない、うちの弟子が迷惑をかけた」


 エデューが周りの人たちに説明を始める。


「正当防衛のつもりだったが、上手く加減ができなかったらしい。基本的には優しいやつなんだ。

 さっきの衝撃魔法の威力を見たか? かなりの威力だ。彼には素質がある」


 周りの人たちは一応は、納得したようだった。


 メグルの扱いについてはエデューに一任する、という形になった。


「さてと」


 エデューがメグルに向き直る。


「答えを聞きそびれていたな。どうだ? 私の弟子になるか?」


 エデューが握手のための手を差し伸べる。


「さっきから弟子になる前提で話を進めてましたよね」


 メグルは握手に応じる。


 でも、さっきの説明がなかったとしても、おれは同じことを答えただろう。


「よろしくお願いします。エデュー師匠」

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