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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
首都編
50/52

来いよ腰抜け

 7日後、白楼砦――


 砦の中では、メグルとワタリが向き合う。

 エデューは砦の中に潜み、のぞき穴から2人の様子をうかがっていた。


「……あのおっさんはどうした?」

 ワタリが問いかける。


 メグルが口を出そうとしたときに――


「いや、どっちにしろ同じか。隠れていても、はい、隠れてスキをうかがっています。ですが気にせずどうぞ、なんていうわけないもんな」


「そっちの方は? ボスはどうなんだ? その辺から覗いているのか」


「さあな。本人がどこにいるのかは、俺にもわからない。

 わが主――ヨグルフにとっては距離など問題ないらしいがな。……ん、お前と話したいらしいぜ」


 二人の間の地面が、巨大な唇の形に歪む。


「話すのは初めてになるかな、暁メグル」


「……こちらこそ、どうも」


「私が君を『ここ』に呼んだのだ」


「そうですね。数日前に手紙を受け取りました」


「そうではない。この砦ではなく、この世界に君を呼び寄せたのだ。……私がな」


「この度は貴重な体験をさせていただき――って話じゃないですよね」


「こちらの世界に来る直前に思い浮かべたことを覚えているか?」


「『まずい、死ぬかも』……?」


「走馬灯だ。

 君の世界のランダムに選定し、1,000人を対象にする。

 1,000人に対して、走馬灯が走るような出来事を強制的に発生させ――」


「ちょっと待った」

 メグルは割り込む。

「2人を呼ぶために、998人も犠牲にするなんて……」


「殺してはないさ。

 この魔法は、あくまで肝を冷やすような経験をさせるだけだ。

 ――話を戻そう。1,000人の中で、一定基準以上の風景を思い浮かべた者を、こちらの世界に転送する。

 そういう魔法なんだよ。


 経緯についてはこのあたりで終わりにしよう。では――始めるがいい」


***


 メグル対ワタリ――二人の戦いは拮抗状態にあった。


 メグルは、右手は炎、左手で打消し。

 対してワタリは、右手に雷、左手に盾。


 メグルが一斉に攻撃を放ちながら後退し、建物に逃げ込んだ。


「ゲリラ作戦って訳か」

 ワタリが広間の真ん中を陣取る。

「いいぜ、どっからでも来てみな」


 メグルがワタリの斜め後ろに移動し、のぞき窓から攻撃を放つ。


 メグルの呪文の声、燃える炎の音、そして光が作り出す影。

 それらの情報を頼りに攻撃の方向を割り出し、ワタリは向き直る。


 そして盾の呪文で攻撃を防御。

 その後、雷の槍をメグルがいる建物の屋根に向かって投げつけた。


 メグルが瓦礫から逃れるために奥へ退く。


 深呼吸。

 思い浮かべるのは……盃状の岩山と太陽。

 コッチネラに譲ってもらった『固有魔法』――


「《トーモス・シン・アニマ》」

 メグルが呪文を唱える。


 現れ出た炎の鳥を、広間に移動させる。


 炎の鳥に、思いつく限りの風景を流し込む。

 翼開長10メートルまで拡大した。


「行け!」


 メグルの合図に応え、炎の鳥がワタリの方へ突進する。


 ワタリが雷で応戦するが、炎の鳥の勢いは衰える気配すらない。


 光の盾を斜めに構え、なんとか突進を受け流そうとする。


 着弾。

 炎の鳥は軌道を曲げ、大きく旋回する。


 光の盾は砕け、ワタリは地面に転がり込んだ。


「これがお前の切り札ってわけか……。

 だが、その燃料はいつまで持つんだ?」


 ワタリが砦の中に逃げ込む。


「おい、逃げるなよ!」

 メグルがワタリに問い詰める。


「……」


「どうした?

 真正面から戦うのが恐いのかよ」


「先に隠れたの、そっちだろうに……」


「そうか。だったら――」


 メグルが広間に躍り出る。


「ほら、来いよ腰抜け」

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