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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
首都編
48/52

必要最低限の死者数

 メグルが目を覚ますと、そこはベッドの上だった。


「おはよう。お寝坊さん」


 聞き覚えのある声が、メグルに呼びかける。


 声の方を向くと、ドーキンスとエデューが腰掛けていた。


「ドーキンスさん……。俺、なんで寝てるんでしたっけ……?

 確か、グリクスと戦って……なんとか撃退して。

 そのあと、ワタリが来て。戦ったところまでは覚えてるけど……」


「――お前さんはワタリと戦って、彼の攻撃を食らい、気を失った」


 エデューが説明する。


「そのあとは――」


「――僕が協会の仲間を連れて現場に向かった」


 ドーキンスが続ける。


「あの青年は君を連れ去ろうとしていたが、君を抱えたままでは僕らを退けることができないと判断し、逃走に切り替えた。

 もちろん捕えようとしたが、彼の反撃にあい失敗した。


 彼の苛烈……というよりも、ゴリ押しによる攻撃は厄介だった。


 逃走が目的だったため、被害者は出なかったが――

 倒す目的で仕掛けてきたら、死者が出てもおかしくなかっただろう」


「死者……」


 メグルがつぶやく。


「死者? あ、そうだ!

 なんでドーキンスさん、生きてるんですか。

 あいつ――グリクスに……」


「そうだな。それについて話そう――」


***


 メグルたちと分かれていたとき、ドーキンスは見張りをしていた。


 その際に、グリクスから奇襲を受け、路地裏に引きずり込まれた。


 目的は、メグルを拉致する際に障害となるドーキンスを排除すること。

 そして、彼の容姿を奪い取るためだった。


 グリクスがドーキンスの顔を鷲掴みにし、呪文を唱える。


「《ダツ―・サーバウ》」


 グリクスの顔が徐々に変形し、やがてドーキンスと同じ顔になる。


「このような呪文が存在していること自体は、一部の人間は知っているようだが……

 実際にお目にかかるのは初めてだろう」


 と、グリクスが語る。


「姿はそっくりだが、声は似てないな」


 ドーキンスが答える。


「そんなはずはない。

 口調はともかく、声質から変身がバレたことはない。


 ……そんなことはどうでもいい。

 お前にはここで死んでもらう。

 ドーキンスが二人いては困るからな」


「俺が始末しておきますよ」


 グリクスの後ろから、ワタリが現れた。


「早く行った方がいい。逃げられますよ」


 グリクスが去っていった。


「なぁ」


 ドーキンスがワタリに問いかける。


「本当に僕を始末するつもりなのか」


「すぐにわかるさ」


「最後に一つ聞きたい。

 僕はあんな声しているのか?」


「そうだよ。おっさん」


 その言葉を最後に、ドーキンスの記憶は途切れている。


 意識を取り戻したときには、ロープでぐるぐる巻きにされ、その場に倒れていた。


 大声を上げ、周囲の人に助けを借り、ロープを解いてもらった。


 その後は、協会の人間に声を掛けながら、メグルたちを探して回った。


***


「――で、騒ぎを聞きつけて行ってみると、エデューは倒れているし、

 メグルはワタリに連行されそうになっているし……。


 まぁ、相手が撤退を選んだから、割と穏便に済んだわけだが」


「よっと」


 メグルが立ち上がる。


「寝すぎて体がだるいので、ちょっと歩いてきます」

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