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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
首都編
46/52

生かすか殺すか

 メグルが大きく息を吐き、後ろを振り返る。


「エデューさん、大丈夫ですか?」


「ああ……なんとかな。ありがとう」


 エデューは、心の中でそっと呟く。これで、アプレンも浮かばれるだろう、と。


 だが、そこで異変に気づく。


「おい、後ろだ!」


 エデューが叫ぶ。

 メグルが振り返り、立ち上がろうとするグリクスを踏みつけた。


「もう、寝ててくれよ……」


 呟きながら、さらに力を込める。


「腕を縛って、口を塞げ。

 魔法を一発でも撃たせたら危険すぎる」


 エデューがロープを取り出す。


 その時だった。

 路地の奥から、軽い口調の声が響く。


「おいおい、ずいぶんな惨状だな」


 メグルが顔を上げると、そこには――あの青年がいた。


 図書館で会った、妙に自然な喋り方をする“同郷の人間”。


「かくかくしかじかあって、このおっさんに襲われて……」

 メグルが言いかけたところで、青年が遮る。


「お前じゃない。言ってんのは、そっちの“おっさん”だよ」


 青年――ワタリが顎でグリクスを指す。


 その瞬間、ワタリの足元から黒い触手が伸び、グリクスをずるずると引き寄せていく。


「ワタリ……! そいつらを殺せ……!」


 呻き声を上げるグリクス。


「頭でも打って、指令忘れましたか?

 ボスの命令は“生け捕り”ですってば」


 ワタリが呆れたようにため息をつく。

 そして、虚空へ向かって語りかける。


「で? こいつ、どうします?」


「えっ……?」


 メグルが応じようとするが――


「だから、お前じゃないって言ってるだろ。少し黙ってろ」


 怒鳴ると、ワタリは目を閉じる。


 ――《声》が脳内に響いた。


 ――そいつはもういらない。だが、野放しにするのも危険だ。

 ――グリクスは、私の“潜伏場所”を知る数少ない人物だからな。

 ――ゆえに、グリクスの“口”を封じろ。


「了解、舌抜きですね」


 ワタリがナイフを取り出す。


「ボスはあんたのおしゃべりが不安みたいでね。だから……」


 ワタリがナイフを振り上げた、その時。


 ――違う。


 《声》が脳髄を貫くように響いた。

 ワタリは思わず耳を塞ぐ。


「いきなり大声出さないでくださいよ……頭が割れるって」


 ――すまない。指示が分かりにくかったようだな。言い直そう。

 ――グリクスを、殺せ。


 ワタリが手を鎌の形に構えた。


「《ホ――」

 呪文を唱えようとした瞬間。


 ――なら私が代わりに行おう。

 《ホフル・トーモス・ヴァーゼル》


 グリクスの胸元が赤く明滅する。


 ――今のグリクスは“爆弾”だ。

 ――超新星のように命を散らし、首都ごと巻き込む炎になる。

 ――命を奪れば爆発は止められる。

 ――残り、10秒。


 《声》が秒読みを始める。


 ――9秒……

 ――8秒……

 ……

 ――3秒……

 ――2秒……


「《ホフル・スアバク》!」


 ワタリが呪文を唱える。


 鎌の形にした両手で、グリクスを袈裟斬りにする。


 刹那、グリクスの身体は砂へと崩れ落ちた。


 衣服と、砂。

 あの時と同じ光景――


「フィンさんと……同じだ……」


 呆然とつぶやくメグル。


 ――なんだ。やればできるではないか。


 《声》が響く。


 ――では、“本来の任務”に戻れ。

 ――暁メグルを確保しろ。

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