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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
首都編
43/52

答えられますよね

 メグル、エデュー、ドーキンスの三人は、協会内の部屋に集まっていた。


「――お前さんの“血”に、興味を持ってたってわけか。あの男は」


 エデューの言葉に、メグルが頷く。


「この首都、どうやら安全とは言えないようだな」


 ドーキンスが呟いた。


「すぐにここを発とう。……いや、闇に紛れるのは逆に危ない。明日、朝一で出るぞ」


 エデューが判断を下す。


「ヤツ……姿を自由に変えられるようです。この作戦は、三人だけの秘密にしておきましょう」


「賛成だ」


 三人は、それぞれに準備を済ませ、翌日に備えて床についた。


***


 翌朝7時。

 街の城門が開く時刻、旅人と商人たちで溢れかえる市街地の通りを、三人は歩いていた。


 エデューが先頭、すぐ後ろにメグル、そして少し距離を取ってドーキンスが後方を歩く。


「君たちの様子を少し後ろから見張っている。何かあればすぐに対処する」


 ドーキンスがそう言って、さらに数歩離れた。


 雑踏の中を、警戒しながらも自然に歩く。門が見えてきた、その時――


「メグル、こっちだ」


 背後から突然、肩を叩かれた。


 振り返ると、そこにはドーキンスの姿があった。


「裏門に案内する。混雑を避けるための抜け道だ。エデューにはすでに伝えてある。すぐに合流できる」


 そう言って、脇道へと手招きする。


 メグルは一瞬立ち止まり、その目でドーキンスの瞳をじっと見つめた。


「……名前。おれ、自分の名前がちょっと苦手なんです。……理由、覚えてますか?」


「……今聞くことか? 急がないと――」


「いいえ。今だからこそ聞いてるんです。答えられますよね、ドーキンスさん」


 男の目線が逸れる。


 ――“響きが女の子みたいで、もっと男っぽい名前が良かったんですけどね”


「古風で年寄りくさいのが嫌だった、だっけ?」


「……違うよ。“女々しい”だよ、偽物!」


 メグルが印を組む。


 その瞬間、ドーキンスの顔がぐにゃりと崩れた。代わりに現れたのは――


 フィンを殺したあの男、グリクス・イシュメールだった。


「さすがに……二度目は騙されなかったか」


 グリクスも呪文の構えを取る。


 そして、魔法が激突した。


***


 メグルの魔法が放たれる。しかし、グリクスが即座に打ち消す。


 そこに――


「グリクス・イシュメール……!」


 エデューが戻ってきた。


「誰ですか、そいつ」


 メグルが問う。


「ティア1の魔法使いだ。……さて、何の目的でメグルを狙う」


 エデューがグリクスを睨みつける。


「知りたいなら、力づくで聞くことだな」


 グリクスが呪文を叫ぶ。


「《トーモス・カルラ》!」


 螺旋の炎がエデューを襲う。


「《テラス・カーキネン》!」


 光の壁が、激突する炎を防ぐ。


「十字に挟みこむぞ」


 エデューが小声でメグルに囁く。


 メグルは即座に移動。斜めから射線を作る。


 三人の攻防が始まった。


 攻撃、打消し、防御、再配置――。


 だが、いずれも決定打には至らなかった。


 やがて、グリクスがじわじわと後退を始める。


 火炎魔法を連射しながら、戦線を後方へずらしていく。


 その動きに応じて、メグルとエデューも追撃する。


「落ち着いて。退かせてどうする気だ……?」


 エデューが呟いた、直後――


 頭上から爆音が響いた。


 グリクスが狙ったのは、上にあった見張り台。


 打ち込まれた魔法により、瓦礫が崩れ落ちてくる。


「危ない!」


 エデューがメグルを突き飛ばす。


 次の瞬間――


 大量の瓦礫が降り注ぎ、二人の間を隔てた。


 視界が、音が、すべてが一瞬にして断ち切られた。

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