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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
首都編
37/52

テストルーム

 メグルたちは、魔術師協会の本部へと向かった。


 魔術師協会――それはこの国における魔法使いたちを管轄する組織であり、魔法の研究や教育、そして計測のための専用機器も取りそろえた専門機関である。


 エデューは協会の窓口に向かい、テストルームの空き状況を確認した。

 本日はすでに予約で埋まっていたが、明日なら使用可能とのことだった。


 ひとまず、その日は協会を後にすることにした。


***


 その晩、宿屋の一室にて。


 メグルは、図書館で出会った青年のことをエデューに話した。


「言い忘れてましたけど……図書館で、同じ境遇の人に会いました」


「別の世界に戻りたがっているやつか?」


「それは定かじゃないです。……たぶん、戻りたくないんだと思います」


 窓から差し込む街灯の光の中、メグルはつぶやく。


「でも、間違いなく……同じ国の出身です」


「すごい偶然だな。捜して、一緒に帰るつもりか?」


「そこまでは……でも、もし戻り方が分かったら、何らかの方法で伝えられたらいいなって」


「……ふむ。いい考えだ」


***


 翌日――。


 二人は魔術師協会に再び訪れ、テストルームの前に立っていた。


 しかし、ドアの向こうから何やら賑やかな物音が聞こえてくる。


 器具が動き回る金属音と、部屋中を歩き回る足音。

 どうやら誰かが先に入っているようだった。


「この時間帯は、私が予約入れたはずなんだがなぁ……」


 エデューが頭をかく。


 ドアをノックすると、中から陽気な声が返ってきた。


「ただいま、両手が満員さんでしてね~。どうぞ入ってください!」


 その声を聞いて、エデューが苦笑いする。


 知り合い、なんだろうか……。


 メグルがそう思っていると、エデューが扉を開けた。


「寂しいじゃないか。首都に来たのなら顔くらい見せてくれてもいいだろうに」


 そう言って振り向いたのは、一人の男だった。


 中背、がっしりとした体格に、白衣の裾をひるがえしている。


「知り合い……ですか?」


 メグルがエデューに小声で尋ねる。


「ああ、同期だよ」


「おいおい、“親友”だろうが!」


 男が明るく笑って否定する。


「まあ……友達ではあると思うが」


 エデューが気まずそうに答える。


 男はメグルに視線を向けた。


「初めまして。魔術師協会員のドーキンスだ。よろしく」


 その表情は、研究者らしい好奇心に満ちていた。

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