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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
首都編
35/52

首都ミカドニア

 カンナラビ地方のコッチネラの元を出発して、五日が経った。


 メグルとエデューがいるのは、首都ミカドニアを中心に広がる平野部――ミカドニア地方だ。


 遠く、霞むように首都を取り巻く巨大な城壁が見える。


***


 その日の夕方。

 メグルが魔法の自主練をしていると、エデューが声をかけてきた。


「どうだ、調子は」


「……切り替え? が、うまくいかない感じです。

 青と赤、それぞれに専念することはできるんですけど」


「自分でそこに気づいたのか。なら話は早いな」


 そう言うと、エデューはメグルに一つの戦闘スタイルを教え始めた。


 その名は《カウンターバーン》。

 メグルにかけられている翻訳魔法では、そう訳されていた。


 特徴は――両手を使った分業制。


 左手で徹底的な《打消し》。

 右手で相手の隙を突く《火力》。


 攻防の切り替えではなく、同時運用による“即応性”を重視した型である。


「つまり、左右で分けるんですね」


「そうだ。慣れれば、“防ぎながら攻める”という行動が、反射的にできるようになる」


 メグルは早速、《カウンターバーン》の訓練を開始した。


***


 やがて、メグルたちは首都ミカドニアに到着した。


 巨大な城門が、昼の光を受けて開かれている。


 行き交う人々の数に、メグルは思わず息を呑んだ。


「相変わらず、すごい人だかりだな。眩暈がしてきそうだ……」


 エデューがこぼす。


「田舎の方が好きなんですね」


「ああ。静かな方が、物事をよく考えられる」


 人混みを避けるように、エデューは建物の陰になった広場のベンチに腰を下ろす。

 鞄から地図を取り出し、広げた。


「えーと、図書館がここで……今の場所は――」


「たぶん、ここですね」


 メグルが指差したのは、地図の一角に書かれた『日溜まり市』の文字だった。


「ここが『日溜まり市』か」


 エデューが辺りを見回す。

 近くには、比較的新しい四階建ての建物が建っている。


 どうやらその建物が、日溜まりを日陰に変えてしまっていたらしい。


「五年ぶりだと、街もずいぶん変わるものだな」


 二人は腰を上げ、図書館へ向かって歩き始めた。


 その途中、道案内の看板を見つける。


 そこには、こう書かれていた。


『下生え市(旧:日溜まり市)』


「……名前まで変わってるんですね」


 メグルがつぶやく。

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