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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
山地編
31/52

巌と牙

 男は、闇の中に語りかける。


「カンナラビの罠が起動したらしいな」


 脳内に、直接声が響いた。


 ――ああ。乗り越えることができれば、首都までたどり着くだろう。


「乗り越えられなかったとしたら?」


 ――ただ死ぬだけだ。


「わざわざ手間をかけて招いたのでは?」


 ――その程度の存在であれば、捨て置けばよいだろう。

 ――作物だって、すべての種が育つわけではないだろう。


***


「《トーモス・ミタマ》!」


 メグルが先制攻撃を放つ。

 火球が、ゴーレムのみぞおちに炸裂する――が、効いている様子はない。


「そのまま攻撃しても、効かないようだな」


 コッチネラが冷静に分析し、呪文を唱える。


「なら、関節を狙って……《トーモス・カルラ》!」


 炎が螺旋を描き、ゴーレムの肩関節を直撃する。

 その巨体が、一瞬動きを止めた。


「やった……?」


 メグルが呟く。


 だが次の瞬間、ゴーレムは腕をぐるぐると回し始めた。

 ダメージを確認するような挙動――見る限り、効果はなさそうだ。


「ふー……こうなると、答えは一つだな」


 コッチネラが構える。両手は、何かを握るような印。


「――最大火力で圧倒する。《トーモス・シン・アニマ》!」


 コッチネラの前方に、巨大な火の玉が出現する。

 その大きさは、合体したゴーレムと互角。


 火の玉は回転しながら、やがて巨大な虎の姿へと変貌した。


 炎の《虎》が、ゴーレムへ突進する。


 鋭い前脚でしがみつき、光り輝く牙を肩口へ突き立てる――が、牙は体表を滑り、傷つけるには至らない。


 一見、互角の押し合い。しかし――


 足元に目を凝らすと、《虎》は少しずつ後退していた。


 コッチネラの額に、じわりと汗がにじむ。


 《虎》はいったん跳び退き、ゴーレムの周囲を警戒しながら歩き始める。


 やがて、コッチネラたちと反対方向へ回り込んだその瞬間。


 ゴーレムが突進してきた。


 両者がぶつかる寸前、コッチネラが叫ぶ。


「逃げるぞ!」


「え、ちょっと――」


「正面対決じゃ、かなわない! いいから、ついてきな!」


 メグルの背中を叩き、コッチネラは走り出す。


 背後から、ゴーレムが地響きを立てながら追いかけてくる。


 その一歩は重く、だが大きい。ほぼ同じ速度で迫ってくる。


 二人は近くにあった洞窟へと逃げ込んだ。


***


 ボスゴーレムが、洞窟の入口を力任せに叩き続ける。


 その衝撃は、岩盤を伝って内部に響いた。


 しかし――


 とりあえず、すぐに洞窟が崩壊する気配はなかった。

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