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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
港街編
22/52

燃えたのは誰のせい?

 ブーリアンは、単独で襲撃者たちの方へと歩を進めた。


 構えたのは手刀。

「《ナギ・イナス》」


 呪文とともに、両手が青白い光に包まれる。


 左足を前に出し、半身で構える。

 火炎が飛ぶ――手の甲でそれを受け流す。


 一寸の隙もない。

 最小限の動作と魔力で、火炎の軌道をほんのわずか逸らしていく。


 受け流された魔法は打ち消されたわけではない。

 ただし、ブーリアンは振り返らず、攻めに転じる。


 襲撃者たちの間に割って入り、背中側に“味方”がいる配置を作った。


「ほら、やってみろよ」


 火炎魔法の射線上に、仲間が並ぶ。


 リーダーの男が顔をしかめ、最大出力で火炎を放った。


 ブーリアンはそれを滑らせるように逸らす。


 ――火炎は、そのままリーダーの“手下”の一人へ。


 男は火だるまになった。


「この野郎……! 目にもの見せてやる!」


 男は右手を突き出し、宙を掴む。

 あたかも地面から伸びた太い柱――ちょうど人の首の位置にあるそれを、鷲掴みにするような仕草だった。


 ブーリアンはそれを見て、何を唱えようとしているか察する。


「……まだ出し惜しみすんのか? “お前は”知ってるはずだろ」


 その魔法は――《ホフル・カウシュ》。


 黒魔法の一種。

 対象の首を絞めて、息の根を止める魔法。

 現在は反戦協定により、使用が禁じられている。


 ブーリアンは一歩踏み込み、右手を握りしめる。


 リーダーとの距離を詰め、直接触れられる間合いへ。


 リーダーの口が動く。


「《ホフル――」

 その言葉を遮るように、ブーリアンが呪文を放つ。


「《シンギ・ケッカイ》」


 ブーリアンの親指が、リーダーの眉間に突き当たる。


 鍵を回すように、手首を捻る。


 リーダーの身体がびくりと跳ね、全身が痙攣した。


 そのまま、のろのろと仲間の方へ手を伸ばす。


「《トーモス・イフキ》……」


 震える声で放たれたのは――火炎魔法。


 直撃を受けた襲撃者の一人が、炎に包まれた。


 それを見て、仲間たちは混乱する。


「おい、お前何して――」


「《トーモス・イフキ》」


 再び放たれた火炎。


 ――同士討ち。


 次々と、仲間たちが、仲間の魔法で焼かれていく。

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