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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
港街編
18/52

実技の時間

 メグルが魔法塾に通い始めて三日目。


 教室内の生徒たちは、どこか浮足立っている様子だった。


「今日は実技の時間だ。みんな外に出るぞ!」


 ブーリアンが塾生たちに呼びかける。


 全員がぞろぞろと外に集まる。


「今回が初めての実技になる人はこっちに来てくれ。やり方を説明する。

 他の子たちは、各自で魔法組手をしていてくれ。何かあったら声をかけること」


 メグルと、他に二人の塾生がブーリアンの前に集まった。


「では、“打消し魔法”について説明しよう」


 ブーリアンの声が引き締まる。


「打消し魔法とは――

 相手が放ってきた魔法に、別の魔法をぶつけることでその効果を無力化する魔法全般を指す」


「口頭で説明するより、実際に見た方が理解しやすいだろう」


 そう言って、訓練中の塾生に呼びかける。


「ネグラ君。少し手伝ってくれないか?」


 塾生のネグラが呼びかけに応じてやって来た。


「先生、なんの用ですか?」


「打消し魔法を実際に見せたいので、先生に向かって“水”を撃ってくれないか」


「はい!」


 ネグラは返事すると、水鉄砲のような印を手で形作る。


 右手の親指を立て、中指から小指を握り、人差し指でブーリアンを指す。

 ――まるで拳銃だな、とメグルは思った。


 対するブーリアンは、五本の指を開き、水平に構える。

 ――こっちは扇の印か。


「いいですか?」


「いいぞ。打ってくれ」


「《スミル・シャガン》!」


 ネグラの指先から、水が勢いよく発射された。


 水量はないが勢いがある。ちょっと高めの水鉄砲、といった感じだ。


「《ナギ・ゼクー》」


 ブーリアンが手を仰ぎ、青白い靄が現れる。


 靄はネグラの水弾とぶつかり、混ざり合って霧散した。


「これが“打消し魔法”だ。

 あらゆる魔法をなかったことにする、最良の防御策だよ」


 ブーリアンが三人に向き直る。


「これから君たちにも実践してもらう」


「メグル君。魔法を使うために必要なものが三つある。なんだか分かるか?」


「印、呪文、魔力です」


「その通り。今回説明する《ナギ・ゼクー》は、打消し魔法の中でも最も基本的なものだ」


「印は、このように――」

 手を扇状に広げ、相手の呪文に対して払うように動かす。


 メグルたちは、その動きを真似する。


「魔力についてだが、《ナギ・ゼクー》は青属性の魔法だ。

 だから、思い浮かべる風景も青属性に対応した場所――

 つまり、海、川、湖など“水”に関する風景が必要だ」


 メグルは日本一周の旅で訪れた安居渓谷を思い浮かべた。

 澄んだ水、切り立つ崖、苔むした岩肌……。


「そして、呪文は《ナギ・ゼクー》だ。さあ、やってみろ」


「《ナギ・ゼクー》!」


 メグルが手を払いながら呪文を唱える。


 手元から青白い靄が一瞬だけ現れ、すぐに消えた。


「ちゃんと出ているみたいだな。よし、次は“相手の魔法”を打ち消してみろ」


 ネグラがメグルに目線で合図を送る。


「《スミル・シャガン》!」


 ネグラの指先から、水が再び発射される。


「《ナギ・ゼクー》!」


 メグルが対応して、打消し魔法を放つ。


 水弾と靄がぶつかり、互いに霧散する。


「やった――!」


「《スミル・シャガン》!」


 言葉と同時に、水がメグルの頬に跳ねる。


「隙あり」


 ネグラがしたり顔で言った。


「初めてにしては上出来だよ」


 ブーリアンがフォローを入れる。


「もう一度いくぞ」


 そのあとは何度も、打消し魔法の練習が繰り返された。

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