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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
港街編
16/52

いい大人じゃん

 イナーボー地方に訪れてから二日目――塾の初日――の朝。


 メグルはイナーボー魔法塾へ向かっていた。


 塾の戸を開けた瞬間、自分が場違いであることに気まずさを覚える。


 教室にたどり着いたメグルは席に座る。


 机には個人の荷物は置かれていない。おそらく座席は自由だろう。

 そう、メグルは判断した。


 塾生たちが次々と入ってくる。


 彼らも席に着くが、心の距離を表しているのか、二席ほど間隔を空けて座っていく。


 彼らは互いにおしゃべりをしていたが、しばらくすると皆静かになった。


 ブーリアンが教壇側の扉から入ってきた。


「みんな、おはよう。今日の授業を始める前に新入生の紹介がある。では、自己紹介してくれ」


 ブーリアンがメグルを指し示す。


「暁メグルです。遠い海の向こうの“日本”という国からやってきました。

 小さい島国なので、地図では省略されることが多い国です」


 このように説明したのは、ブーリアンから

「子供たちには“異世界から来た”ことは伏せて、遠い島国から来たことにしてくれ」

と指示されたからである。


「はいはーい。質問していいですか?」


 一人の少女が手を上げる。


「別に構わないが。それは本当に知りたいことか」


 ブーリアンが釘を刺す。


「お兄ちゃんって何歳?」


 少女がメグルに質問する。


「21歳だけど」


 周囲からざわめきが起こる。


「いい大人じゃん」

「でも、先生は大人になっても勉強は必要だって言ってたよ」


「ギリギリでストライクゾーンの範囲内ね」


 少女がほくそ笑む。


「ありがと……う? 年上が好みなんだね」


「でも、いい感じになるまでもう数年かかりそうね」


 と漏らしながら、ブーリアンにウィンクを贈る。


 少女の反応を見て、メグルは理解した。


 ――おそらく、ブーリアンの気を引くために質問したのだ。

 そして、“ギリギリ”というのは上限ではなく、下限のことだろう。


 その他の質問は出なかったので、ブーリアンは授業を始めた。


***


「それでは授業を始める。今日の授業は歴史だ」


 ブーリアンが教壇に立ち、説明を始める。


 この国では、七年前に戦争があった。


 今日では『第三次魔法戦争』と呼ばれている。


 魔法使いが複数人で行使する、広範囲を攻撃する魔法や、城壁ごと破壊する威力の魔法が多く用いられた戦いであった。


 この戦いにより、魔法使いの半数が犠牲になった。


 停戦後、生き残った上位の魔法使いによる協議が行われた。

 そこで『魔法使い反戦協定』が結ばれた。


 内容を要約すると――

 魔法使い同士で争いを起こすな。

 軍事に介入するな。


 そして、人を殺めるための魔法の使用は禁止となり、次の世代に教えることも禁止された。


 以上が、今回の授業の要約である。

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