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風景から魔力を  作者: hato-ryuji
港街編
15/52

はるばる何の用ですか

 メグルたちは高台から見えた灯台のある岬を目指し、港町に踏み入れた。


 宿を物色しながら、潮風の香る石畳を進む。


 メグルたちは岬にたどり着いた。


 二人は馬を繋ぎ、周囲を見渡す。


 真っ白の灯台。その右隣には、同じく真っ白の石造りの建物がある。


 灯台から少し左には、二件の建物が並んでいた。


 手前の建物には『イナーボー魔法塾』と看板が掛けられていた。


 耳を澄ますと、子供たちの声と、それに混じって男性の声が聞こえてくる。


 エデューがドアをノックする。


 建物内の音がやみ、ドアから青年が出てきた。


「イナーボー魔法塾のブーリアンです。なんのご用――」


 言いかけたところで、相手がエデューであると気づく。


「はるばる何の用ですか、エデュー師匠」


「せっかく立ち寄ったので、かつての弟子が元気にしてるかどうか、顔を見に行こうと思ってな。

 ついでに、一つ頼み事をしたいのだが」


「ついで……ね。どっちがメインの用事なんだか……」


 ブーリアンがメグルに目を移す。


「もしかして、頼み事はその連れについてですか?」


「察しがいいな」


「塾を切り上げてくる。少し待っててくれ。細かい話は中でしましょう」


 そう言ってブーリアンは塾に戻っていった。


 しばらくすると、子供たちが次々と出てきた。


「中にどうぞ」


 ブーリアンが戻ってきて二人に告げる。


「ようこそ『イナーボー魔法塾』へ」


***


 魔法塾内にあるブーリアンの仕事部屋で、二人の魔法使いは言い争いをしていた。


 その内容は、メグルを魔法塾に入れるかどうかだ。


「うちの塾生、見たでしょ? うちは児童が対象だ。そいつは年齢的に対象外ですよ」


 ブーリアンが反対する。


 メグルは先ほど目にした塾生たちを思い出す。確かに、みんな子供だった。


「入塾申請書の条件には、年齢については書いていないぞ」


 エデューは手に持った入塾申請書をひらひらさせながら反論する。

 ちなみに、入塾申請書はブーリアンの机に積まれていた未使用の中から、エデューが勝手に一枚拝借したものだ。


 ブーリアンはエデューの手にしている申請書の項目を指さす。


「年齢はひとまず良しとしますよ。『保証人』『契約者との関係』はどうするんですか。エデュー師匠」


「もちろん。保証人はエデュー・ジェザーヴィーヌ。契約者との関係は師匠だ」


「ほぼ他人……」


 ブーリアンはため息をつく。


「そもそも、君はどこの出身? 翻訳魔法をかけているようだけど」


 ブーリアンがメグルに質問する。


「おれは日本人で、こことは別の世界から来たんだと思います」


 メグルの返答を聞いて、ブーリアンがエデューの耳元でささやく。


「あんたが言わせていたり、正気を失ってるってわけじゃないよな?」


「いいや、彼が言っていることは本当だよ。

 そんなわけで、彼に身を守る術を教えてやってくれないか」


 ブーリアンが渋々承諾する。


「わかった。メグルの入塾を認めよう。明日の十時から開始だ。遅れるなよ」

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