潮の香
村から旅立って五日後、メグルとエデューはイナーボー地方に来ていた。
イナーボー地方は、この国の最東端で、海に面している。
メグルたちのいる地点と海の間には高台があり、現在地からは海を望むことはできない。
だけど、風に乗る潮の香が、海がすぐそばにあることを伝えていた。
「ここからでも、潮の香がしますね」
メグルがエデューに話しかける。
「そうだな。ここの高台を超えれば、港町はすぐそこだ」
二人は高台の頂上にたどり着いた。
眼下には港町が広がっている。
「港町南東に、真っ白な灯台が見えるか。港町の南東に位置する岬に建っている灯台だ」
エデューが指さしながら告げる。
メグルがうなずくと、エデューは続けた。
「あそこに私の弟子だったブーリアンが住んでいる」
「確か、おれの部屋を以前使っていた人ですよね。今は灯台守なんですか?」
「本職ではないのだが、海が一望できる場所に住みたいとの理由で、敷地内に家を建てさせてもらったらしい。
本来の灯台守が動けないときは、代わりに仕事するときもあるようだ」
エデューは説明を続ける。
ブーリアンは三年前から、地元の子供たちに魔法塾を開いている。
塾の設備は灯台付近に新しく建築したらしい。
本来の灯台守が許しているのか、そんな疑問をメグルは持った。
エデューに質問すると、灯台守とは幼少期からの友人で、魔法塾も灯台守のアイデアから始まったとエデューは答えた。
そして、その魔法塾でメグルを訓練させる計画だと告げる。
「その話って、ブーリアンさんには伝えているんですか」
「多分大丈夫だろう。あいつも私の弟子だから、言うこと聞いてくれるだろ」
メグルはこれといった反論はせず、話を終わらせた。
多分、文句を言うが、なんやかんやで兄弟子は受け入れてくれるだろう。
そう期待した。




