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進撃のロエテム


 さて、状況を整理しよう。

 現在聖戦中であるが、今のところ遭遇しているのがゴーストのみということは、今回はゴースト関連だと伺える。

 というわけで、ゲームに於けるゴーストの弱点を挙げてみると聖水、炎、塩、太陽の光が定番だ。

 それがこの世界でも同じなのか分からないけど、とりあえず先程のやり取りで“光”が苦手なのは分かった。

 アスティベラードの声は良く分からないけど、対抗できない訳ではないのが安心した。


「ひとまずみんなの有効と思えるものをそれぞれ出してくれ。誰が何を持っているかによって、役割が分かってくるからな」


 そういうわけで、何故かゴーストに詳しいノクターンとアスティベラードの指示のもと、有効と思われる物が判明した。


 ノクターンは光の魔法(環境のせいか、光っていられる時間が短くなっている)と、魔除けの魔法。

 アスティベラードの声(これも不明だけど、どうやら“威圧”のスキルっぽい)。

 ドルチェットの大剣の炎、くらい。

 俺の光音叉は有効なのかは分からないからこれも試さないといけない。


「それにしてもゴーストが眩しそうにしてたね」

「訊くところによりますと…、光が苦手なのは何も見えなくなるのと体を構成する“何か”がほどけ易くなるからとか…」

「へぇー」


 それは良いことを聞いた。

 じゃあ最悪、強烈な光を常に放っていればゴーストは手出しが出来なくなるって事か。

 ここら辺はブリオンとは違うな。


「ところで魔除けってのはどのくらいの効果なんだ?光くらいの効果はあるのか?」


 クレイの質問にノクターンが答えた。


「魔除けの魔法は、レベルにもよりますが…、その…、ゴーストが顔をしかめて意図的に避けるくらいの効き目です…」

「なんか思ってたのと違うな」


 つまりは人間でいえば、電車内で正露丸ぶちまけた効果くらいって事だろうか。あれ?結構イヤだな。

 そんな事を思っているとドルチェットが訊ねてきた。


「お前、なんか無いのか?魔法具とかありそうだろ?」

「うーん…」


 とりあえず鞄を探ってみるものの、出てきたのはいつぞやの方位宝針。

 再びの説明になるが、これは一定距離内で設定した対象を避けるというもの。

 試しに起動して対象をゴーストにしたら凄い勢いで回転し始め、遂には真上を指して硬直してしまった。

 ゴーストを避けるためにはこの天井を突き破っていかなければならないらしいが、そうするとボスの元へは行けない。

 それを見たドルチェット。


「壊れてんじゃねーのか?」

「多分、囲まれてるって事だと思う」


 さっきのだって逃げただけだから、きっと見えないけれど壁の向こうには居るんだろう。

 色々検討した結果、結局無難なものに落ち着いた。


「とすると、使えるのはやっぱりノクターンの魔法とアスティベラード、そしてドルチェットの炎か。ボス戦前にあんまり魔力を使わせたくなかったんだが…」


 申し訳なさそうなクレイに向けて、ロエテムがス…、と静かに手を挙げた。


「どうした?」


 クレイにロエテムは任せろとばかりに胸をこぶしで叩いた。

 なんだろうかと思えば、胸に何やら開ける部分を示しているらしい。

 そして、もう一つの手で俺を指した。


「開けるの?あ、もしかしてマーリンガン?」


 ロエテムが頷くので、ベルトを外して開けてみる事にした。どうやらマーリンガンの隠し機能があるらしい。

 そこでノクターンがなにやら思い出した。


「そういえば…ロエテムの内部に魔除けの魔法具を設置しているみたいです…」

「魔法具?」


 そんなの聞いてないけどな。

 どれどれとロエテムを開けると、内部には煌めく綺麗な石が針金で作った魔法具で固定されてた。


「魔法具だ。見たことの無い石があるけど、なにこれ?」


 ノクターンが隙間から覗き見て、珍しく驚いた。


「これは…、ムンラ石です…!」

「なにそれ」

「なんだと!」


 凄い勢いでアスティベラードが横入りしてきて、石を確認するや「おお…!これは上物だ…!」と感嘆している。


「その、ムンライシってのは何なの?」

「ムンラ石はサラー石と対をなす悪魔除けです…。特にこのムンラ石は霊の類いに効くものと聞いています…」

「へぇー、すごー」


 こんなの設置しているのなら、初めから教えてくれれば良いのに。


「さすがはマーリンガンだな。用意周到だ」

「他にもあるんじゃないか?」


 ドルチェットに促されてもう少し確認すると、たしかに他にも色々なものを積んでいた。

 これは後でマーリンガンに色々聞かなくちゃいけない。


「ところでこれはどうやって起動させるんだろう?やり方分かる?」

「ムンラ石は光を反射させて魔除けをするのが一般的ですが…」

「光かぁー。ひかりー?……これかな?」


 魔法具近くにあるこれ見よがしのスイッチをオンにすると、魔法具がモーターのような音をさせて光始める。

 さてどうなるのかと見守っていれば、ロエテム内部で光が反射して、みるみるうちに光量が増加した。

 しまいにはどういう原理なのかロエテムの鎧のあちこちから細い光がまるでミラーボールのように飛び出した。

 ミラーボールロエテムの誕生である。


「うおっ!?」

「まぶし!」


 鎧の中で光が乱反射した光が放出している。

 この鎧は特殊構造をしているらしく、通常の数倍明るくて眩しい。


 ポーズをキメるなポーズを。

 みんなが眩しそうにしていると少し光量を下げてくれた。

 どうやらロエテムの意思で強さを調整できるらしい。


「あ」


 偶然たまたま壁をすり抜けてきたゴーストが、ロエテムのビームによって蒸発した。


「すっげえええええ!!」

「よし!このまま突き進むぞ!!」

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