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あるべきところに収まりました

 色々な事が重なったせいで、目の前に仲間がいたことに俺は安堵した。

 心境は、なぁーんださっきのは夢だったのかぁ!だ。

 あまりの嬉しさに両腕を広げてみんなのもとへ駆け寄る。


「みんなぁぁあああーーーーんんん!!!」


 てっきりみんなも同じ心境だと思ったのに、ドルチェットに思い切り頭をひっぱたかれた。


「どこ行ってんだお前!!?」

「いったぁい!!?」


 予想外の痛みに叩かれた箇所を手で押さえてうずくまった。

 さすがは日々大剣を振り回しているドルチェットさん。すごく痛いです。いやまじで痛いんですけど。

 ぐおおおお…と唸る頭上でジルハとロエテムが鼻息を荒くしているドルチェットを宥めてくれていた。


「どうどう、ドルチェットどうどう」

 ガチャガチャガチャ

「もう一発殴らせろ!!止めんなお前らァ!」


 ロエテムの鎧って結構音がするな。普段はあんまり気にしなかったけど、隠密行動の時とか見つかりやすそう。

 痛みに絶えながらそんなことを思っていたら、俺の目の前にアスティベラードが屈んだ。


「ふむ、これはドルチェットが正しいな。反省せよ」


 だいたい俺の味方だったアスティベラードにこう言われたってことは、今回悪いのは俺らしい。

 事故だったんだけどな。

「んで?」と、お次はクレイがアスティベラードの隣に屈んでくる。


「どこ行ってんだお前。ちなみにさっきまでオレ達お前が轢かれたんじゃないかと思って走り回って探していたんだが?」


 ん?と笑顔で頬を左右に引っ張られて上下に振られた。相当お怒りのようだ。

 痛いけど、こんなに心配されていたとは思わなかった。

 しかし、そうか。みんなからしたら突然消えたってことは轢かれて持っていかれたと思うのは仕方無いよな。


 やられるがままになっている俺を見て、ノクターンが恐る恐るクレイに声をかける。


「あの…、このままでは喋れないのでは…?」

「それもそうか」


 ノクターンの言葉でクレイはようやく俺の頬を離してくれた。ひりひりする頬を撫でながら俺は弁明した。


「事故だったんだよぉ。俺が入った部屋がワープ部屋だったらしくてさ、逃げ切れなかったんだ…」

「ワープ部屋??」


 聞き返すクレイに俺はうんうんと頷いた。

 みんなはそれぞれ顔を見合わせた。ドルチェットも「ワープ部屋」の言葉で怒りが飛んでいったらしい。

 クレイがポリポリと頭を掻き、ため息を吐いた。


「まじかよ。ていうか、地図に書いてないワープもあるのか」

「そうみたい」

「そんで?今はどこら辺に居るんだ?地図持ってるんだから位置くらいわかんだろ?」

「それなんだけど…」


 俺は鞄から地図引っ張りだし、クレイに見せた。

 そこには前見たのとほぼ同じ訳のわからない場所に表示されたマークだった。

 もっとも色は何故か灰色になっていたけれど。


「おまけみたいな場所に表示されちゃってて。ほら」


 ほら、と訳のわからないところにある灰色のマークを指差す。

 それを見たクレイは首をかしげた。


「なんだこの表記の場所、お前外なの?」

「ちゃんと中に居るよ。ただしみんなよりもずーっと地下っぽいけど」

「なんで解る??」


 アスティベラードが訊ねてきた。


「俺のスキル使ってみんなの位置を確認したんだよ。一応それ専用のがあったから」

「お前のスキルすごい数あるな」

「頑張って集めたからね」


 結構頑張って集めたスキルを褒められたのは嬉しい。


「ならすぐに会えるんじゃないか?」


 クレイの言葉に俺は首を横に振った。

 すぐは絶対に無理だった。直線だったら人間ロケットなりでなんとかなったかもしれないけど、迷宮は無理だ。


「いや、それがさぁ。50キロ以上離れてんだよ…」


 俺の言葉で止まる会話。

 しばらく経って、クレイが呆れたような顔をした。


「まさか一回のワープでそんなに離れるとはな…」

「ねー。ビックリだよね。というわけで、俺が持ってても仕方がないから地図と光音叉交換してくれる?」

「別にいいけど、これこそ必要無くないか?」


 そう言いながらもクレイはベルトの光音叉を渡してくれた。

 その代わり俺は持っていた地図を渡した。これで必要な物が必要な人の手に渡った。


「それが必要なんだよ。ありがとう。まぁ、最悪撃ち抜きながら頑張って直線移動してみるよ」


 ジルハの「ワイルド過ぎる」という小さな突っ込みが聞こえた。


 交換完了したことで俺は安心した。これで戻ったとしても。手探りで移動しなくてすむ。

 とりあえずまた光を食べられるまでは明るいだろう。

 まぁ、絶体絶命なのは変わらないけど、そこは追々考えよう。

 それよりもみんなに会えてよかった。


「ところで話は変わるけどよ」


 と、ドルチェットが話の流れをぶった切る。


「鐘の音がなってニンジンが現れたって事は、つまりはまた聖戦が始まったって事で良いんだよな。こんなにのんびりしてて良いのか?」

「あ」


 そうだった。やけにのんびりしていたけど、今は聖戦中。気を抜いてはいけないんだった。


「それじゃあ、ディラ頼めるか?」

「うーい」


 クレイの指示に従って意識を集中させてみると、今回のボスの場所が表示された。

 そういえばこの表記のされ方はパーティーマークに似ている。それと同じならば思ったよりも遠くはない。


「どうだ?」

「うーん。直線距離で約3キロ圏内かな」

「直線か」


 迷わずに進めれば一時間前後で着けるはず。

 迷わなければ…


「とりあえず行こうか!」


 気を取り直して出発した。


 ボスの居場所を確認しながら走る。

 千里眼は俺から見た景色でしか場所を把握できないから、行き止まりにぶつかったりするけど、こればかりは仕方無い。

 迷宮での聖戦ならせめてボスまでのマップを表記してくれれば良いのに気が利かないなぁと不満を漏らす。たどり着けなかったらどうするんだ。

 そんな俺の心境を知らないクレイが一言。


「お前の千里眼って、万能って訳じゃねーのな」

「まじ、サーセン」


 千里眼の【透視】【地形把握】があれば楽なんだけど、こればかりは仕方がない。レアモノなんだ。


 その時、ポンと目の前に文字が浮かんだ。

 まるで簡易メッセージのようにだ。そこにはこう書かれていた。貴方の呪いは視力喪失です。だ。何これ。

 カウントが視界の端に表示されているのを見て、嫌な予感がした。


「ディラ!ちょっと止まれ!!」


 クレイが俺にストップを掛けた。

 最近俺の嫌な予感は当たりすぎる。






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