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迷宮潜りは得意です

 鼻歌歌って進む進む。

 昔ブリオンで素材集めのために長期間迷宮に潜ってた時がある。その時の経験で罠のパターンがある程度わかるからか、スキルも無いのに俺は“罠のありそうな場所”を見付けるのが上手くなっていた。


「お!」


 早速懐かしい違和感に足を止めて近くの壁を見た。

 これは、あるな。

 突然歩みを止めた俺にクレイが「どうした?」と訊ねてくる。


「罠かも」

「どうしてわかる?」

「うーん、勘なんだけど…。見てあそこ」


 俺が指差した方向の壁にはレンガとレンガの間に小さな穴が幾つか空いており、その地面には謎の黒い染みがある。

 想像したくはないけれど、あれは血痕やその他もろもろの混ざった染みだろう。

 ブリオンではそういう変な所がリアルに再現されていたから、多分当たっている。

 骨とかは見当たらないのが不思議だけど、確証があった。


「恐らくあの穴から槍か細い刺が飛び出してくるんだと思う」

「発生条件は?」

「さぁ?自分のところだと普通に魔法陣踏んだら出てきたよ。でもこれは、そうなのかわからない」


 予測は出来るけど解除は出来ないのだ。

 なんせ俺は弓職であって、罠師でも盗賊でも無いのだ。罠解除のスキルなんか持ってない。

 ちなみに千里眼の透視を持っていたとしても、多分妨害の魔法かなにかで見えなかったんだろうなとは思う。

 迷宮の罠ってそういうチート封じをたくさん仕掛ける傾向があるから。


 さてどうしたもんかと思っていると、後ろから「ふむ!」とアスティベラードが並ぶ。


「ではノクターンの出番だな。やるのだノクターン」

「は、はい…」


 なんだろうかと指名されたノクターンを見ると、ノクターンはわたわたと近くに来て詠唱を始めた。


「て…、手探り、まさぐり、闇の中…。指先辿る光の道…。霧を払い姿を見せよ…。[レーカム・トニオープ]」


 とん、と、杖で地面を着くと光る波紋が四方に広がり、通過した場所から無かったはずの魔法陣が現れた。

 それにドルチェットが感心する。


「おお!すげーな!なんだこの魔法!」

「ふふん、凄かろう。この魔法は隠された魔法陣の罠や関連魔法陣の位置を教えてくれるのだ!光っていられるのはほんの僅かであるが、それだけでもありがたい。場所がわかるからな!」


 ドルチェットに褒められてノクターンが恥ずかしげにだけど嬉しそうにしていた。


「へぇー、便利だなぁ」


 こういう魔法もあるんだなと俺も感心した。

 さて、これで迂闊に魔法陣を踏むことはなくなった。あとは物理によるスイッチが無いかの確認だけど。

 そう思った時、スッとロエテムが進んでいく。


「ロエテム?」

「『お任せください』」


 パネルを掲げてロエテムはスタスタと躊躇無く進んでいった。

 勇気があるな。いや、そういえば本来の役目だった。

 パペットは通常こういう囮として使う物だったのを思い出した。ロエテムがあまりにも人間過ぎて忘れていた。


 しばらくロエテムが魔法陣の近くをうろつくけれど、特に変化はない。


「『魔法陣踏んだら作動するみたいですね!』」


 ロエテムがそう書いたパネルを掲げた。

 俺達よりも重いロエテムがそう言うならそうなんだろう。


「じゃあ行くか」

「だね」


 念の為、クレイが罠の発射口に盾を構えて待機し、その後ろを通過していった。

 迷宮探索において罠は一番の脅威だけど、このパーティーなら難なく突破していけそうだ。


 そんな感じでずんずん進み、異音や異臭がすればジルハが気付いて罠を探し、アスティベラードやロエテムではどうしようもない罠であればクロイノが潜って罠を壊し、何て事無いやり過ごせる罠であればクレイの盾で無力化した。


 時折サソリだとか毒蛇なんかに遭遇したけど、全然余裕だった。まさにイージーモード。こんなに簡単で良いのかと思いもしたが、変に体力を使うよりはマシだなと思い直した。





 そうしてようやく例の記号のある場所へと辿り着いた。


「ここだ」


 廊下に突如現れた扉。迷宮の廊下に馴染む木の扉で、左右には何故かリスの彫刻がされていた。


「じゃあ開けるよ」


 罠に気を付けながら扉を開くと、そこには全く普通の部屋があった。

 棚一つ無く、装飾も何もない。あるのはレンガの壁と床、そして燭台だけだ。

 ただ廊下に比べて妙に暗い。なんでだろうか。


「……、なんだかただの空き部屋みたいだね」


 そう感想を漏らすと、クレイも後ろから部屋を覗き込んできた。


「むしろ普通の部屋過ぎて不安だな。地図はここで合ってるんだよな?」


 もう一度地図を確認してみるけれど間違いはない。此処で当たっていた。


「ここで良いっぽいんだけど…」

「ジルハ、一応音の確認できるか?ノクターンは魔法陣感知を!」

「はい!」

「はい…」


 クレイの指示に従いジルハが音の確認をするが異常は無し。続いてノクターンが魔法陣看破の詠唱をする。

 すると、部屋全体にうすぼんやりとやけに複雑な魔法陣が浮かび上がった。

 罠では無さそうだけど。


「ロエテム!」


 了解しましたとロエテムが部屋に入るが何も無し。

 どうやら罠では無いようだ。しかし入ったところで何もないのは、一体どうすれば良いのか。

 少なくともブリオンでは分かりやすくワープの魔法陣が床にあったけれど。


「いや…、まさかこれ全部がワープの魔法陣!?でっか!??」

「初めて見るが、やっぱりヤバい魔法なんだな」

「私にも見せよ!」


 アスティベラードが隙間から潜り込んで部屋の魔法陣をまじまじと観察した。

 普通観察するのはノクターンじゃないのか?



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