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そりゃ確かに俺が適任だけど



 洞窟内部は真っ暗だった。

 はじめの数メートルは明るいが、それより先はなにも見えない程にくらい。スキルで【夜目】を発動させてみたが、見えはするけれどこの状態で戦闘になれば無傷ではいかなさそうだった。

 夜目スキルのある俺でさえこれなのだから、皆なんか黒一色だもんな。

 そういえば使える魔道具があった気がすると、俺は鞄へと手を突っ込んだ。


「ノクターン灯りを」

「ちょっと待って」


 ノクターンに指示を出そうとしたクレイを止めた。なんだ?という視線が向けられた時、目的の道具を見つけて引っ張り出した。


「ジャジャーン」


 気分は某猫型ロボットだが、俺とマーリンガン以外は知らないだろう。

 でも一応やる。何故なら気分が上がるから。


光音叉(ひかりおんさ)ぁー」


 鞄から名前を言いながら魔道具を掲げる。

 音叉のような見た目の魔道具だ。違う点はといえば土台が付いてなくて持ち運びが出来る形状なのと、やたらと豪華な見た目。

 これを付属の棒で振動させることによって効果が発揮される。


「なんだそれ」

「まぁ待たれよ」


 急かすドルチェットを制しながら、俺は付属の棒を光音叉に当てて振動させた。

 本来ならば音が鳴るはずだけど、これは鳴らない。

 何故なら音を鳴らすためのモノではないからだ。


「そろそろかな」


 五秒待ってから今度は壁に魔道具を当てて振動させると、そこから波紋のように壁が淡い光を放ち始めた。


「おおー!!」

「なんだそれは!!」


 アスティベラードが凄い勢いで食い付いてきた。

 驚いた。こんなにも興味を持ってくれるとは。


「これ使うと道全体が明るくなるから攻撃対象にされづらいんだ。それに火じゃないから窒息の恐れがない?みたいな。とりあえずこれを下げて置けば、これ中心にしてずっと明るいよ」


 と、俺はマーリンガン直伝の説明を伝えた。

 前にこれを作っている時に質問をしたことがある。魔法でも良いじゃんと言ったら、光っている間はずっと魔力消費しているからこっちのがお得なのだと教えてもらったのだ。

 確かにただ歩き回るだけなのに大切な魔力をジリジリとはいえ垂れ流しにしておくのは勿体ないなと納得した記憶がある。

 その説明にアスティベラードは「ほう?」と言いながらまじまじと光音叉を観察し始めた。


「毎回思いますけどディラさんいくつ魔道具持ってるんですか?」

「さぁ?前は30個くらいだったけど、その後勝手にマーリンガンが色々入れたみたいだからいくつあるのかわからない」


 ジルハの質問に、光音叉を紐でベルトに下げながら答えた。

 魔道具取り出す時は、何々に使う魔道具あるかな?と思いながら探すと出てくるから、全部把握するには思い当たる魔道具全部を考えながら出さないといけないからやりたくないというのが正直な気持ちである。

 それに、多分マーリンガンだからとんでもない数を突っ込んでいる可能性がある。せめてリストだけでも渡してくれていたら良かったんだけどな。


「じゃあディラ、地図を出してくれるか?」

「んー」


 鞄からマーリンガンに渡された地図を取り出してクレイに渡すと、「ん?」と変な声をあげていた。

 なんだろうか。

 そう思っているとクレイが困惑したような顔で俺を手招きした。


「おいディラ、こんなのあったか?」

「どれ?」

「この逆三角の」


 クレイに示された場所、場所というか地図には昨日は無かった赤い三角形の記号が付け足されていた。

 その地図の三角形はちょうどこの迷宮のスタート地点に表示されており、俺は猛烈な既視感を覚えた。


「無かった気がする、けど…」


 なんか見たことある気がする。

 ある気がするじゃない。待ってくれ、これもしかして。

 俺は確認をしてみることにした。


「ちょっと貸して」


 クレイから渡された地図を手に、少し歩いてみる。すると地図の中の三角形も一緒に移動した。

 さらにその場で回転してみる。それに合わせて三角形も同じように回転した。更に後退すると矢印も同じく後退。


「カーナビじゃん!?」

「かーなび?」

「クレイ大丈夫だよこれ。この三角形が俺達の場所を教えてくれるから迷うこともないよ」

「へぇー、そんな便利な機能あるんだな」


 さてはマーリンガン、俺の記憶を元に作ったな。

 なんて良い仕事をするんだ。今回ばかりはグッジョブだ。

 問題も解決したので地図をクレイに戻そうとすると、クレイがやんわりと拒否した。


「それじゃあ地図をみるのはディラに任せるか」

「なんで?」

「そのカーナビってやつを知ってるんだろ?だったら知ってる人が案内した方が確実だし」

「それはそうだ」


 クレイの言い分に納得した。

 ということで、俺が地図を持って案内する係になったのだった。





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