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馬、爆誕!!!

 どうにかして“そういう感じにしたい”と考えたのはこれだった。

 

 何度も小さな模型で確認してたけれど、ちゃんと組み立ててみるとちゃんと馬に見えるようで良かった。

 関節部分とかは布を張っても良いけど、それだといざって時に取り外せない。

 いっそのことボタンか何かで取り外せれば楽だなーとか考えてみるけれども良い案が浮かばない。

 何か無いだろうか?

 

「にしても、馬の完成度高いな。もしや馬が好きなのか?」

 

 アスティベラードにそう聞かれ、ディラは鞄からデッサンした馬を見せた。

 

「これ見て作ったからね。毎日通い詰めて観察した甲斐があったよー!」

 

 そのデッサンを見てクレイが一言。

 

「お前、イラストも結構うまいのな」

「いや、そこまでではないと思う」

 

 こんなんでのぼせ上がったら叩かれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん良い感じ!」

 

 馬は三日ほどで完成した。

 近くはさすがにバレるけど、遠目ではすぐにバレないように、出来る限りの試行錯誤をしてみた。これで大丈夫だろう。

 

 適当に完成した馬の胴体をロープで木に吊ったまま関節を動かしてみる。

 連結部分の方向を考えて取り付けたから動きはスムーズ。引っ掛かりはない。

 

「多分、これで普通の馬と大差なく動けると思うけど…」

 

 何せちょこちょことあの放牧場へ行って馬の観察をしていた。それはもう俺の気配を感じると犬主さんが飛び出してくるくらいには観察していた。

 

「んーーー……」

 

 カチャカチャ動かし、一旦手を離す。そして、腕を組み「ふむ」と考えた。

 せっかくここまで見た目が馬っぽいのだから、馬らしい装備も着けてやった方が良いのではないか。

 

「よし、そうしよう」

 

 ということで古具屋、いわゆるリサイクルショップで安くなった馬具一式買ってみた。

 早速ロープをほどいて装着し、再び吊り下げる。

 少しだけ離れてから馬を見て頷いた。

 

「なかなか良いんでない?」

 

 我ながら良い出来だ。

 

 

 

 

 

 

 

 皆が依頼が終わったらしく森へとやって来た。

 

「じゃじゃーん!見てよこれ!」

 

 完成した馬を見て皆が、うわー、凄いな!と口々に称賛されて得意気になった。人間、誉められると嬉しいものである。

 その中でも特にロエテムが馬を見てパチパチと嬉しそうに拍手をしているのが嬉しかった。

 なんとなくお友だちを作ったような感じだった。

 というより、なんだか最近ロエテムの動きがより人間らしくなっている気がするのは、気のせいだろうかと俺は首を捻る。

 きっとノクターンのスキルのレベルが上がったのだろう。

 

 それではロエテムの隣で恐る恐る指先で馬を触っているノクターンにバトンタッチをしようではないか。

 

「じゃあ、ノクターンよろしく」

「あ……、はい…」


 俺の仕事は終わった。仕上げはノクターンの仕事だ。

 

 

 

 

 

 

 木から下ろした馬人形にノクターンは手を触れて魔力を込める。

 不思議な模様がノクターンの手から広がっていき馬を包み込んだ。

 

「……、さぁ、立ち上がりなさい…」

 

 そんな詠唱かも怪しい言葉をノクターンが紡ぐと模様が消え、すくっと馬が立ち上がって、首を振った。

 動きが完全に馬だった。

 あまりにもあっさり動かしたノクターンに俺は驚いていると、後ろからアスティベラードの誇らしげな声が響く。

 

「さすがはノクターンよ。【霊蔵入れ】を早速使いこなしておるではないか!」

 

 なにそのスキル。初耳なんですけど。

 ブリオンでも聞いたことのないスキルに詳しく教えて貰いたいとウズウズしていると、ノクターンがホッと安堵の息を吐いた。

 

「ふぅ…、上手くいって良かったです…」

「ありがとうノクターン」

「いえ、ディラさんがきちんと形を定めて下さったお陰で入れやすかったです」

 

 そういうものなのだろうか。

 

「あ。そういえば馬車のお金は貯まったの?」

 

 するとクレイが渋い顔をした。

 

「実はもう少しだけ貯まらなくて…」

「あと一日待とうか?」

「それが大型の依頼がもう無いんだ」

「……あー」

 

 クレイの説明で納得した。実は大金を稼げる依頼はそう何度もない。

 むしろ三件もあったのが幸運なのだ。

 

「じゃあ、町移動する?」

 

 細々とした依頼では時間が掛かりすぎてしまう。

 だからそういう選択肢を取るだろうと思ったのだが、いや、とクレイが首を横に振った。

 

「ん?じゃあどうするの?お金足りないんでしょ?」

「それがな、アスティベラードが…」

「アスティベラード??」

 

 待ってましたとばかりにアスティベラードが一気に距離を積めてきた。

 

「馬車代の足りぬ分は私が補填する」

「でもアスティベラードさん、良いの?負担が一人だけに集中しちゃうけど」

「構わぬ。元々いずれかで使おうと思ってたものゆえ、惜しくもない。しかし──」

 

 アスティベラードが俺を見る。

 

「どうしてもお礼をしたいというのなら、受け取らんわけでもない。アクセサリーならなおのこと」

 

 これ、遠巻きに催促されているな。

 

「マーリンガンに聞いたが、ピアスも作れるとか」

「はい!かっこいいのを作らせていただきます!!」

 


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