マーリンガンのざっくり聖戦おさらい
その答えにマーリンガンは嬉しそうに微笑む。
「覚悟はあるみたいだね。なら、そんな君達に僕から頼みごとだ」
マーリンガンは袖から小袋を取り出した。
中には碁石のような物が沢山入っていて、ずっしりしている。
何なのだろうか。
「それを行く先々で転がしてくれるとありがたい。なんなら一掴み無造作にばら蒔いてくれたって構わない」
「なんなのこれ」
「それを今教えたら面白く無いじゃないか」
「ふーん。わかった」
その石をベルトに取り付けているポーチの中に入れた。
「あとはこれ」
更に折り畳まれた紙も渡される。
開いてみると地図のメモ書きだった。
「ケセドに着いたら、この“ヨッド”という人物を訪ねるといい。きっと助けになる」
「忘れないようにする」
「是非ともそうしてくれ」
本日、再び旅立ちます。
昨夜改めて聖戦の知識等々をさらっと復習した。
聖戦は約10回行われる。
聖戦は亜空間で行われ、その規模は一部地域から徐々に広がって最終的には世界丸ごとが戦場になる。
聖戦中は時間の流れが変わる。
巻き込まれた一般人は亜空間で死ねばそのまま死ぬ。
勿論参加資格のある者も同じ。
聖戦には各自一体ボスが存在していて、これを倒さないと聖戦が終わらないし広がり続け、一定の時間、または聖戦亜空間の規模によっては次のボスが出現するとか。
参加資格は神具に選ばれた“勇者”と、その勇者の仲間と認められたもののみ。
故に、パーティー解消すれば、その人は今後再び仲間になるまで聖戦への参加資格は剥奪される。
巻き込まれた場合はその限りではないが、聖戦参加で得られる恩恵はない。
聖戦への参加資格を持つ仲間は、その恩恵として聖戦に参加するごとに上限が突破されて高みへ上ることが出来る。
この場合の上限突破の支援はギルドではなく聖戦システム自体から与えられる。
仲間から外れるとそこからレベルは止まり、場合によっては聖戦開始時のレベルにまで落ちるものもいるそう。培った経験と技術は残っているらしいけど。
「あと、これはシャールフでは載ってなかった情報だ。別の話には載っているとは思うけど、それとは別物として扱われているから教えておくよ」
この世界には神具が四つある。
一つは俺の持つこのエクスカリバー。
もう一つは功太の持つあの剣。
とすると残りはあと2つ存在している。
それぞれに守り人がおり、厳重に守り、しかるべき時に資格者に挑戦させるのが仕事。
マーリンガンの場合面白半分で薦めたからこんなことになってしまった訳だけど。話を戻そう。
それぞれの神具は見た目は全て金属の棒で、資格者の手に渡って初めて姿を変える。
マーリンガンは四つをこう呼び分けた。
『ソード』『カップ』『ワンド』『ペンタクル』
だいたいこの四つの性質に分かれ、同じ武器にはならない。
何故四つあるのかについては諸説あるけれど、生存率を上げるための策というのが濃厚だ。
「君のおともだちは恐らくソードだね。今はまだ覚醒してないけど、そのうち凄く強くなるよ。もしかしたら君より強くなるかもね」
「ほお!」
マーリンガンの言葉で功太の姿を思い浮かべる。確かに剣だった。
じゃあ自分は何だろう。
マーリンガンに訊ねたんだけど、そこは「その内分かるよ」と流された。
この情報はみんなも初耳だったようで真剣に聞いていた。
その他の質問をいくつかして、あとはコクマー、隣の地域での安全なルートを教えてもらった。
今回のお見送りは事情が事情なので小規模にしてもらった。
おばーちゃんとマーリンガンと農家のおっちゃん。
おばーちゃんからはお手製のカラシ団子を貰い、おっちゃんからは人参を貰った。それを新しく新調したバッグの中に放り込む。
「それではお世話になりました」と、クレイがマーリンガンに頭を下げた。
「うん気を付けて」
「マーリンガンもギックリに気を付けて」
「変なところで爺扱いをするなバカ者。お前こそ仲間に迷惑かけるなよ」
「へーい」
軽くマーリンガンに釘を刺された。心配しているのに。
おばあちゃん達とマーリンガンに手を振って出発した。
ガチャガチャと後ろから全身鎧の人形が仲間に加わり、新たな旅がスタートした。俺はノクターンの後ろを付いてくる鎧を見上げ、ノクターンに訊ねてみた。
「ノクターンさん?」
「はい…、なんでしょうか…?」
ここ最近のノクターンの顔が明るい。はじめの頃よりも自信に満ち溢れていた。
「後ろの人形に名前とかあるんですか?」
「名前…ですか…」
ノクターンは人形を見て、はい、と返答。
「ロエテムと…」
「ロエテムってどういう意味?」
「夜空の切り込み…、流れ星の事です…」
「綺麗な名前だね」
「ありがとうございます…」
流れ星か。凄い似合っているな。
実際ロエテムの装備、というか体は深い紺色で、薄い白でラメのような模様や流れ星のような模様もある。
きっと夜こんなのが奇襲してきたら俺であってもすぐに気付くのは難しそうだ。
ロエテムを褒めていたら、アスティベラードが張り合ってきた。
「私のトクルも素敵な意味であるぞ」
「どんな意味?」
アスティベラードは肩のトクルを撫でる。
「双子の女神の名前だ。素敵であろう」
結構お洒落な名前だった。
「凄いね」
「であろう!」
嬉しそうなアスティベラードの肩にいるトクルがドヤ顔。
鳥顔なのに器用だった。
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