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ガンガンいこうぜ!!!



「…螺旋の家、網目の家、逆さの獣に問われて、何を急ぐ、網を引かれて、纏わり付く粘りけ、泥の中に沈んだ。進めど壁、何度願う、もっと速くと…[カヤーフ・オットム]


すがり付く手を払う、脚を叱咤し、けれども砂の道。無情な雨に打たれ、天へと叫ぶ。時よ、遅れろ…[ウルシアグオーブ]」


 空間が弛み、体が軽くなる。おそらくこれは速度上昇。

もう一つもすぐに判明した。


「墨が…」


 バルブオクトパスの頭上から、正しくは腹上だが、そこから吐き出された墨が、まるでスローモーションのように遅くなっていた。

 いや、バルブオクトパス自体が遅い。

 なるほど、これは考えたな。

 これだと墨は止まっているも同然。


「はぁ…、はぁ…、あの、皆さん早めに何とかしてください…、長くは持ちません…」

「はーい、なんとかしまーす」


 ノクターンに急かされ、今のうちとバルブオクトパスへと近付き、千里眼で爆裂袋を探し出す。


「あった!」


 すぐさま矢を同じところに連射して力付くで装甲を破壊し、中の爆裂袋を破壊した。これでバルブオクトパスが自爆をすることはない。


「ディラ退け!ジルハいくぞ!」

「うん!」


 俺が場所を退き、ドルチェットとジルハに譲る。

 ドルチェットが大剣を振るうと、装甲なんて紙のように破壊され、バルブオクトパスの中身が露出する。

 ゼラチン状の物体の中で、宝石が浮遊している。


「宝石発見!」


 すぐさまジルハがそのゼラチン状の物体を切り裂き、宝石に刃を突き立てた。

 呆気なく宝石が砕け散り、それと同時にノクターンの魔法が切れた。


「あ」


 避ける間もなく盛大に墨を被った。







 1分後、異常状態が解けて初めて見たのは、墨のなかに横たわるバルブオクトパスだった。

 真っ白に脱色していて、端の方から光になって消えていく。

 そして残されたのはいつものビグ・マネーバだ。


「ふぅ、試験完了っと!」







いつの間にかドルチェットが【高熱剣】というスキルを手に入れていたらしい。あの時の焦げ臭い理由が判明した。


 それぞれレベルの上がりをチェックする。


 アスティベラードがクレイ、ドルチェットと同じく上限入りを果たし、ジルハとノクターンがそれに続く感じだ。

 新たなスキルもどんどん増え、連携が更に良くなっている。

 ノクターンもいつの間にか知らない魔法を習得しており、今回は出番が回避の時にノクターンを担いで逃げるくらいしか無かったが、パペットの操りも上手くなっている。その内ノクターンも攻撃に加わるかもしれない。


ニコニコと皆の話を聞いていたマーリンガンが冗談めかしてこう言った。


「どうするかい?なんなら次は50いっちゃう?」

「行く!」


 ドルチェットが即答した。もう少し考える時間を与えてほしかった。

 そうして、少しの休憩の後、今度はレベル50の試験へ向かうことになったのだった。





 

「どりああああああ!!!!」


 ドルチェットの一刀両断にて、レベル50。通称ゴーちゃんはダメージ最多で崩れた。

 サメの顔をした凶悪なキリンのような見た目のモンスターで、遥か頭上からボウリングボールのような氷塊を投下してきたり、かと思えば地面から半透明の壁を生やして妨害してきたり、それを蹴りで砕いて破片をものすごい速度で飛ばしてきたりするとんでもない奴だったが、いつの間にか頭上にも盾を発生させることの出来るようになったクレイと、火炎系スキルを発現させたドルチェットにはあまりにも相性がよすぎた。

 俺は冷凍ビームを放つ箇所を矢で破壊したくらいで、あとは皆が全部やってくれた。


 成長速度が半端無いなと思うこの頃。

 それともマーリンガンのマネージメント力が高いのか。


「あー、疲れたー!」


「これで次の聖戦は安泰だな」

「そうやって油断するのがドルチェットの悪い癖だよ」

「む」


「その人形の名前は付けたのか?」

「え、いいえ…」

「付けてみてはどうか?愛着がわくぞ」

「……考えてみます…」


 みんなの顔色も明るい。

 ならば、自分も嫌がってないで挑戦しなければと俺は思い至った。

 掌に収まるビグ・マネーバは、俺の苦手な相手だって忠実に再現してくれるだろう。


「よし」







 昼食を作っているマーリンガンの元へ行き、相談する。


「ねえ、マーリンガン」

「ん?」


 振り返るマーリンガンの手にはお玉が握られている。

 シチューを作っていた。

 口の中の唾液を飲み込み訊ねてみた。


「ちょっと全力でやってみたいんどけど、洞窟大丈夫かな?」

「もしかして、君のところのレベルアップ試験をしたいのかい?」

「そう。みんな格上の相手と頑張ってるし、俺も頑張らないとなーって思って」

「なるほど。これを作ったら魔法を張り倒すよ。少し手伝ってくれるかい?」

「いいよー!」


 二人で大鍋にシチューを完成させてから洞窟へと向かう。

 中に入り、ぐるりと洞窟を見回し、マーリンガンが地面へと手を着く。

 すると、そこから光の波紋が広がり、夥しい魔法陣が展開されて馴染んでいく。

 ガシャンと、まるで鍵が閉まるかのような音を響かせてマーリンガン特製の防御魔法が完成した。


「これでオーケー」

「ありがとう」

「外に何か必要なものは?」

「今のところは大丈夫かな」

「そうか。じゃあごゆっくりー」


 マーリンガンは退室、洞窟には俺とビグ・マネーバしかいない。

 軽くストレッチをして気合いをいれた。


「さて!やるか!」


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