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例外君です



「はーい!おつかれさん!!思ったよりも早かったねぇー!」


 洞窟を抜けるとマーリンガンが鍋をつくって待っていた。

 めちゃくちゃうまそう。

 ジュルリと溢れてくる唾液を飲み込んで、俺はフラフラと鍋に近付く。が、すぐにクレイに引っ張り戻された。


「待て待て。みんな座ってからだ」

「ママン?」

「張っ倒すぞお前」


 さあ食べろとマーリンガンが器に具をよそい、みんな座ったところで食べ始めた。

 あまりの美味さに匙が止まらない。みんなで無我夢中で食べていると、途中で匙を止めたクレイがマーリンガンに質問をした。


「マーリンガンさん」

「なんだいクレイくん?」

「ひとつ質問なんですが」


 なんだろう?

 咀嚼を止めずに耳をそば立てる。


「俺達レベルリセットしたとはいっても次の上限が40で止まるんですけど、次の聖戦までに間に合いますか?」


 そうなのだ。実はレベルリセットというのは一回では終わらない。

 一度リセットして上限突破しても、次の上限の壁が待ち構えている。

 目安でしかないこの世界での不思議の一つだ。

 だけど、話を聞く限り、上限にぶつかった人は本当にそこで成長が止まったようにステータスが変化しなくなるのだ。


「またレベルリセットして上限50まで引き上げたとしても次の敵ってもっとレベルが高いんですよね?どうやっても間に合わない気が…」

「それ自分も思ったぜ。レベルリセットした瞬間聖戦にいくことになったらどうすんだ?完全に足手まといに逆戻りだ」


 ドルチェットの懸念もその通りだ。

 せっかくここまで強くなったのに、肝心な時に役に立たないんじゃ意味がない。レベルリセットをした人は、その分成長速度が上がるといっても限度があるのだ。

 ノクターンが嫌そうに人形を抱き締める。

 その楔人形好きだね。まぁ、自分の唯一の攻撃手段だもんね。


 しかしマーリンガンはそんなの問題の“も”の時にも入らないと言いたげな顔で、何故か俺の隣に腰掛けた。そして、


「ああ、その点は心配要らない。ここに既に例外君もいるわけだし」


 と、俺の頭をマーリンガンがポンポン叩く。

 するとクレイが、そういえば、と訊ねてきた。

 

「こいつの上限ってどうなってんだ?そのまま50突破ってことは上限は90とかなのか?」


 みんなの視線が集まってきた。

 そもそも此処とブリオンとではシステム事態が違う。記憶を覗いて知っているマーリンガンにはともかく、みんなには説明をすることにした。


「うーん。ていうかそもそもシステムが違うし。此処みたいに経験値積んでもレベルが勝手に上がらない。ステータス割り振りポイントが増えるだけだし。あ、でもスキルは上がる」


 みんな理解出来ないようで、頭の上にハテナが浮かぶ。


「? どういうことだ?」と痺れを切らしたアスティベラードが訊ねた。


 俺は空になった器を置く。


「上のレベルに上がる度に試験があるんだ。レベル1からずっと」

「レベル1から!?」


 ドルチェットが驚きの声を上げた。


「そうそう。敵自体は別にレベル制限ないし、どんだけ格上とやっても良かったから反発無かったんだけど、一定レベルごとに能力解放とか、土地解放とかあったんだ」


 ざっくりと、レベル10で【スキル】出現。レベル20で武器制限解放。レベル50で【スキル】数制限解放。レベル70で禁域進入禁止解除。ってな感じだ。

 【スキル】数制限解除が一番嬉しかった。

 なんせブリテニアスオンラインにはスキルコレクターでも集めきれないほどの【スキル】があって、それによってまるでアニメの主人公のようなことができたりする。

 最も使いこなす為に左手にコマンド打ち込むためのキーボード必須だったのは笑うけど。


 俺は公開されている【千里眼】シリーズのだいたいを持っている。もちろん特定条件下出現の知らないのは持っていないけれど、それでも役に立つものばかりだ。欲をいえば【千里眼/観測】も欲しかった。

 アレ持っているとイベントの先読みとかできたのに。モンスターの次のモーションを知らせる未来視も欲しかったな。


 本当に全然違うんだなとドルチェットが思わず言葉を溢した。


「じゃあその試験が突破できないとレベルアップできないのか?」

「そそ。しかも自分の苦手属性で、同レベルでやらさせるんだけど、めんどくせーよ」


 おかげさまで俺は未だに上のレベルに上がれない。

 どうしても体力を削りきれないのだ。

 先輩の意見を聞きたいものだけど、此処までのレベルになるとそれぞれ相手にしているモンスターが違うので参考にならない。


「大変だなお前んところ」

「まぁね」


 クレイに同情された。

 でも楽しいんだよこれが。


「でも、それとこいつと何が関係があるんだ?」

「その事なんだけどね、実は聖戦に参加した時点で君達には“上限がない”状態になっているんだ」


 マーリンガンの意外な言葉に驚いた。


「いわゆる特典みたいなものでさ、その試験が聖戦が代わりとなって担っていると言っても良い。参加すれはするだけステータスは上がるし、スキルも獲得できる」


 まさか聖戦にそんなメリットがあるなんて知らなかった。


「といってもだ。負ければ死ぬし、不参加になる、仲間から抜ければその上限撤廃の特典は消えて通常のレベルリセットで上げる方法に戻る。僕から言わせれば別に良いもんではないよ。危険だしね。あ、ちなみに僕は違うよ。僕はちょっとした荒業で頑張ったからさ」


 きっと違法なこととかサクッとしてるんだろうなーと、俺はマーリンガンを見る。

 視線を感じたマーリンガンがこちらを見て、何故かウインクをしてきた。

 じじいのウインク嬉しくない。


「とりあえずレベル40くらいまでは此処で面倒をみられるから十分に訓練していくと良い」


 


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