わからせられました
なんで!!?まさかの衝撃波でやられた!!?
バシュンと、体からキラキラとしたエフェクトが放出され、変な脱力感が消えた。
「あ、デバフが切れた。……ていうか、ええー…、まじかぁー……」
本当に俺以外全滅してしまった。
ボッチ寂しい。
それにしてもこの攻撃で居なくなられるのはなぁー、と、ちょっとだけ頭を抱えたが、みんなのステータスを思い出して納得せざるを得なかった。
「まぁ、そうか。よくよく考えたら10以上の差があるもんな。仕方ない仕方ない」
復活できるから安心だなとか思っていたら、マネーバがウゴウゴ動いて形を変えた。
そう言えばマーリンガンがペナルティがあるとか言ってたっけか。
何が出るんだろうなと眺めていると、出来上がったのは今もっとも会いたくない大嫌いな奴でした。
『バロロローーイ!!』
ゆるキャラみたいな容姿の癖に攻撃方法が嫌いな鞭と槍が合体したもので、倒すのに苦戦を強いられた奴だ。
「…………………」
無意識にポケットに手を伸ばしたけどポケットの中にポーション類は一切無かった。当たり前である。ここはゲームではない。
「ええー。待ってよ。こんな物資不足の状態でやらないといけないの?」
「ムチウチニナレーーーーイイイ!!!」
「もうこいつとはやりあいたくなかったのにいいいいい!!!!」
ギリギリで競り勝ち、ヨロヨロとしながら洞窟の外へと戻ってきた。
なんで87に上がるときに倒した相手ともう一度やりあわないといけないんだよ。と、恨み言を心の中で呟きながら。
スキル乱用しすぎて頭超いたい。
「…ただいまぁ……」
外に出るとマーリンガンが笑顔で出迎えてくれた。
「本当に倒しちゃったね。全部見てたけど君んところのモンスターえげつなくない?」
「俺的にはあなたがえげつなくない?です」
絶対サドだよなと思いながら見回すと、みんな揃ってガタガタしてた。
「嘘だろ、防いだのに衝撃が貫通してきたぞ…」
「……」
「…………折れてない」
「………」
「……死んでしまいます…」
クレイは未だに信じられないって顔しているし、ジルハは初手で使い物にならなくてショックでしゃがみこんで蹲り、ドルチェットは大剣で防ごうとしたときに折られたらしく、今は元に戻っている剣を入念にチェックし、アスティベラードは無言でうつむき、ノクターンは顔から色が消えている。
とりあえず感想を聞いてみることにした。
「これがレベル30だけど、どう?」
むりむりむりと手を振るクレイ達。
聖戦時のサナーマフォンは主に俺と功太が相手をしていたから被害は最小だった。しかし、次はそういかないかもしれない。
「ねぇ、普通に個別にレベル上げした方が良いと思うんだよ俺」
「そう?仕方ないなぁ。じゃあメニュー変更しようか」
俺の提案の元、記憶からそれぞれの武器属性においてレベル上げに有効だと言われるモンスターをマネーバ(ビグ・マネーバよりも小型)で作り出した。
クレイにはスピード重視のガンラゥバット。
ピョンピョンと素早く跳ね回りながら、口から銃の弾のようなものを発射するめんどくさいモンスターだ。
それをクレイは盾で防ぎながら倒すというもの。
ドルチェットはゴーンタートル。
別名岩亀と言われるモンスターで、その名の通り体が石で出来ていて、やたらに斬ってもこっちの武器が破壊される厄介なやつ。
ドルチェットは攻撃力の強化と太刀筋の調整。
ジルハはシャドウダイブ。
俺も相手にしていてイライラするタイプのモンスターで、好きな所に影を発生させてまるでもぐら叩きをしている気分にさせてくる別名殴り殺したいモグラ。
何がムカつくってこいつこっちの足元にも影で落とし穴作ってくるし、ランダムで麻痺の咆哮放ってきて目眩を起こさせるんだ。
ムカつくよね。
ノクターンは少し特殊なものにした。
ノーマル・マリオネットに補助魔法を掛けまくってそれでホーンヴォルフを倒すというもの。
直接戦えない補助魔術師は本を読んで詠唱と式を覚え、それを人形に反映させて戦わせるというもの。
マリオネットの種類は剣士にしておいた。
そしてアスティベラードだけど。
「…む」
「うーん…」
マーリンガンとにらめっこ。ではなく考え込んでしまっていた。
理由は。
「普通の呪獣使いなら訓練の仕方が検討つくけど、アスティベラードの場合はどうしたら良いのかわからない」
とのこと。
「何が違うの?」と訊ねると、マーリンガンが腕を組んで体を左右に揺らしながら説明する。
「それがね、色々押さえ込んでしまっているし、封印もされているんだよね。どうしようかなーって感じ」
「封印ってどういうこと?」
「ああ、普通のじゃなくね。簡単に言えば、自分でね、押さえ込んでいる感じ。普通ならこんなヤバいのくっ付けれてたらあっという間に飲まれてしまうんだけど、素質かな?わざと手を抜いていて、長いことそれしているから本気の出し方がわからなくなっている感じ」
「ふーん」
ということは、クロイノは本来ならもっと強いはずってことか。
む、とアスティベラードが頬を膨らませる。
マーリンガンの言うことが全く理解できなかったからだ。
「貴様の言っていることは意味がわからない」
「ほら、完全に無自覚なんだよ。無自覚ほど直すのが難しいんだ」
頭だけ出ているクロイノが首を傾けている。
可愛いな。
「とにかく、むやみに封印解くのも危なさそうだから自力で思い出して貰うしかないんだけど、時間かかるかもだからさ──」
ほい、と、ビグ・マネーバを渡された。しかも今度はレベル87指定をされているもの。
「──君は自分の訓練しててよ」
「またアイツと戦うの?嫌だー!」
「なんなら君が負けまくっているあの子でも出したら?88(はっぱ)ちゃんだっけ?」
「オーケー!行ってきます!!」
アイツと戦うよりはマシだ。




