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復活のエクスカリバー

 

 腹ごしらえもすんだところでクレイが切り出す。


「さて、ここからどうするか、だな。教会に目をつけられた以上、ひとつの町で長く居座るのは難しいだろう」

「もう、ほんと申し訳ない」

「うるせえ謝んなニンジン」

「で、だ。フリーランサーという手もある。あれをしているのは遺跡巡りの冒険者とかだが、別に規定とかはない。物資が手に入りにくくなるが、代わりに足を掴まれにくく、経験値を上げるのにはもってこいだ。なにせ、このカウンターは依頼でしかカウントしない訳じゃない」

「へー、そうなんだ」


 全くの初耳である。

 なら、聖戦でモンスターを倒したとしてもその分溜まるのか。

 それはそれは良いことを聞いた。

 きっと思ったよりも早くレベルが上がるかもしれない。


「じゃあ、いく先々で倒していってもいいんですね」


 ジルハの問いに頷くクレイ。


「そうだ。どうせレベルを上げなきゃいけないんだ。むしろそっちの方が効率的だろ?」

「同意見だ」

「ワタシもです…」


 アスティベラードとノクターンも同意した。

 どうせ上がるのならやりやすい方がいいに決まってる。

 それに、恐らくだけどあの街には戻れないだろう。

 何せ教会が関わっているとなれば、誰も彼もが教会の味方になってしまう。つまりはみんな俺の敵だ。

 怖い怖い。


「お前は?」


 最後に振られたが、俺の答えはもちろん決まっていた。


「異議なーし」


 意義なんてあるわけない。命は大事にだ。

 みんなの意見が固まったところで、クレイがパン!と膝を叩く。


「しっ!じゃあ目的を決めないとな。いや、その前にっと」


 クレイが傍らに置いてあったガチガチに固められた箱を取り出した。

 一瞬なんだと思ったが、その箱から突き刺さる視線で思い出した。

エクスカリバーが監禁されている箱だ。


「中にある弓を出してやらねえとな」と言いながら、クレイの手には針金やら謎の工具が握られる。

 もしや、噂の鍵開けをするのか。

 ごくりと生唾を飲み込み期待していると、ドルチェットがめんどくさげに言う。


「本当に出来るのか?そんな道具で。自分の剣で切った方が早くないか?」


 そんなドルチェットの意見に俺は大反対した。


「この大きさの箱をドルチェットの大剣で切られたら確実に俺のエクスカリバーまっぷたつになっちゃうからダメ!!!」

「ディラと同意見だ。まぁ、待っとけ。すぐに解錠するから」


 そういうや、クレイは本当にすぐに鍵を開けていってしまった。

 やべえ、プロじゃんとクレイに対する尊敬度が上がった。

 その手慣れた様子を見てジルハが言う。


「…あの時もこんな風に鍵を開けられたのでは?」


 あれとは、俺の拘束もろもろである。

 その質問に対し、クレイはいいやと否定した。


「こいつに付けられていたのは特殊なもんだったから無理だ。それ、最後のひとつ」


 残った鍵もガチャンと音を立てて解錠された。

 箱を渡された俺はゆっくりと蓋を開けた。数日ぶりの相棒と再開だ。


「お久しぶり。エクスカリバー」


 エクスカリバーは何故か水に漬かっていた。しかも元の棒に戻って。

 この水はあの時言っていた聖水とやらか。見た感じはただの水だ。

 そんな状態のエクスカリバーだが、俺は焦らない。これの戻し方は何となく分かっていたからだ。

 だが、この形状を知らない仲間達は焦りの声を上げた。


「…弓は何処だ?」

「まさか!取り違えた!!?」


 特にドルチェットが焦り始めが、俺は落ち着かせるように「大丈夫大丈夫」と肯定した。


「いや、これであってるよ。なんで元の形状に戻っているのか不思議だけど」

「いやいや、どうみても弓じゃないだろ?」


 クレイも慌てているが、何故かアスティベラードとノクターンだけが冷静だった。

 水の中に手を入れ、黄金に輝く棒を手に取る。そして水から引き上げるとすぐさま変化が現れた。

 水から出した箇所からごく自然に変化していき、見慣れた弓へと姿を変えていったのだ。

 形状記憶合金とか、こんな感じなんだろうか。


 唖然とする一同のなかで、アスティベラードが小さく『これが例の無銘の神具か…』と感動した様子だった。もしやシャールフ伝にありました?これ。


「これ、他のにも変えられるのか?」


 ドルチェットが興奮気味に訊ねてきた。

 うーんと首をかしげる。そういえば試したことはない。


「今んところ弓だけかな。あ、でも弓でも俺の知っているヤツに変えるのはできるっぽい。こんな風に」


 使い勝手の良いライトボウから攻撃力特化のクロスボウに変化させると『すげえ!すげえ!』と子供のように喜び、『私にも見せろ』とアスティベラードにアンコールをねだられた。

 そんな二人をよそに、「オレも欲しい」「分かる」と、静かに羨ましがるクレイとジルハ。


 わいのわいのと記憶にある弓に次々変化させている途中で、重要なことを思い出した。


「あー、あのさ。先に村の様子見てきて良いかな?」


「村?」と聞き直すクレイ。


「あ、もしかしてなんかなってたらーって言ってたやつか?」

「そう。おばあちゃんが心配なんだよ」


 あとついでにマーリンガン。

 元凶であり共犯なわけなので、もし捕まっていたら大変なことになっているだろう。

 もちろん無事なのが一番なのだが、直に確認しないと心配でしかたがない。

 断られるかなと不安になっていたら、「いいぜ」とあっさり承諾してくれた。


「じゃあ、まずはそこにいこう。村の名前は?」


 ホッとしつつ、村の名前を言う。


「ナッツ村」



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