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楽しい盗賊団生活!!

 バルバロ盗賊団。

 この王都を中心に活動している大盗賊団である。

 手際よく素早くどんな獲物も逃がさない素敵な素敵なこの組織の下っ派にいるのがこの俺。

 小野寺朝陽。通称ディラでございます。

 ありがたいことになんと新入りして早くも一月が経とうとしていました。

 いやぁ、忙しいと時間が流れるのが早いこと早いこと。

 もうすっかりここの生活にも慣れ、仲間の印もありがたく(嘘)頂戴し、今じゃ立派な下っ端でございます。


「ディラこれも洗っとけ!!」

「へーい!!」

「ディラ!!お前また塩と砂糖間違えやがったな!!」

「へーい!!」

「また皿割ったのかディラ!!何枚目だ!!?」

「へーい!!」


 地獄である。

 なんで俺こんな地下アジトで雑用しているの?

 おっかしいなぁ。

 普通異世界召喚ってワクワクドキドキものじゃないの?なんで小間使いやってるの?


「ディラアアア!!!」

「へぇぇぇーい!!!!!」


 なんで俺毎日怒られてるん!!??


「ディラ。お前不器用にも程があるだろう」

「自分でもそう思います」


 廊下でスッ転んで一面小麦粉だらけにしてしまい掃除している最中、通りすがりのボス、バルバロにそう言われた。

 わざとじゃないんですよ。そんな目で見ないで。


「まぁ、人と言うものは得手不得手があるからな」


 どうやら本気で憐れまれているようだ。

 極悪組織のボスなのに部下に優しいなんて想定外なんですけど。


「よかったら仕事別のにするか?」

「いいんですか?」

「これ以上皿を割られたら堪らん」

「ほんとすいませんでした」


 そっちが理由かと納得した。

 でもわざとじゃないんですよ。割ったの。


「と言うことで此処に配属することにした」

「よろしくお願いします」


 配属されていたキッチンからボスに「アイツ使えない」通達で異動した先は。


「…………」

「…………」

「…………」


 郊外で人を襲う部署でした。

 揃いも揃って人相が悪く、配属されて早々ですが、異動届け提出したいです。


「コイツ恐ろしく不器用だから剣を持たせるな」


 そしてこんな事をボスが皆に通達。


(え、じゃあ俺ここで何をしろと?)


「何ができるんすか?こいつ」

「陽動には使える。足早いからな」


 まさかの陽動要員。


「ほぉー」


 なるほどと言いたげに皆が見てくる。

 やめて全然自信ないよ。


「よろしく頼んだぞ」


 そう言ってボスが去っていった。

 残された俺は気まずさのあまり固まっていた。

 そんななか、人殺してそうな顔をした奴が笑いながら俺の背中をばしんと叩いた。


「陽動か。いい働きを期待してるぞ」

「は、ははははは…。頑張ります…」


 絶対に背中に手形付いた。


「じゃあ早速だが、仕事だ」

「え、もう?」


 目の前に積まれた武器の数々を見せられた。

 うわぁと思いながら見ていると、その武器を指差し男が言う。


「これを馬車に詰め込め」

「…へーい」


 剣にメイスに斧に。

 なんだこれと分からないものも馬車に詰め込んでいく。

 本当に何やっているんだろう。


「終わったのか?」

「終わりましたー」


 もう全部乗せた。弾も。よくわからん武器も。


「じゃあ乗れ、出発するぞ」


 言われた通りに皆の乗っているところへ行こうとしたら、ばか野郎と頭を叩かれた。


「お前はここで武器が落ちないようにするんだよ」

「…なるほど」


 それなら俺でもできる。

 ロープでぐるぐる巻きにして固定し、荷台に乗り込んだ。

 うーん、乗り心地悪い。

 どうにかして座り心地を良くしたいとモゾモゾしていたら、「これ着とけ」と上着が投げ渡された。

 広げてみればTHE山賊みたいな服。


「…絶対俺似合わない」

「文句言うな。良いから着ろ」


 着ると、先輩方は揃いも揃ってお腹を押さえて大爆笑。


「ぶわははははは!!お前似合わないな!!」

「馬子にも衣装とか言うが、お前には反対の意味だな!」

「ひーっ!!腹痛てぇ!!」

「………」


 こいつらいつか殴る。

 何年先か分からないけど。


「おら、行くぞ。乗れ乗れ!」


 絶対に殴ると心に誓い、先輩に言われた通りに武器をまとめたロープを体全体で固定した。


「せいや!!」


 馬車が動き出して、坂道を登り始める。


「うおおおおおお!!!武器が落ちないようにするってこれのことかよ!!!」


 角度のせいで武器がずり落ちていくのを必死にロープ引っ張って食い止める。

 ようやく坂が終わり、天幕が明るくなった。


「……外だ」


 一月振りの外。

 思わず天幕を開け放って淀んだ空気を一蹴したいが、怒られるので我慢した。


「でも覗くぐらいならいいよねー」


 さっと見てさっと戻せばバレやしないと、指で隙間をあけて覗き見してみてすぐに静かに戻す。

 兵士が槍付きでウロウロしていた。

 あの日以来嫌いになりました。ファッキューである。


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