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持つべきものは仲間だよね!!

 どのくらい時間が経ったのか分からないが、突然馬車が止まり、見張りのオウドが外に出たと思ったらパンを持ってきて目の前で美味しそうに食べ始めた。


「うーわ、拷問だぁ」


 こっちも腹減っているのに酷くない?

 ちなみに口枷は俺が動けるようになったので、抗議として壁に蹴りをずっと入れ続け、殴られても蹴られても息苦しいと口枷外すまで蹴り続けたら取ってくれた。

 やはり睡眠妨害は抗議に効くな。

 それに口枷取ったところでどうせ動けないからという感じだった。

 魔法使いだったら取ってくれなかったかもしれないから、弓職で良かった。


「ねぇねぇ俺の分は?」

「罪人にあるわけないだろ」

「空腹で死ぬぞ」

「レベル高いやつは一月食べなくても死にやしねぇーよ」

「さすがに死ぬよ」


 水すら飲めないのはきついです。


「水飲ませろおおおおおお!!」

「ちっ、うっせーなぁー。……口枷取らなきゃ良かったぜ……」


 さすがに水分補給だけはさせて貰ったが、空腹のままにあえなく馬車は発車した。

 悲しい。


「ねぇー、俺これからなにされんの?」

「さぁー?尋問という名の拷問か、人体実験か、処刑ショーだな。ショーの主役はお前だぞ」

「やったー!なんて言うわけないだろ。どっちに転がってもバッドエンドじゃないか」

「諦めろ。どちらにしてもお前の存在は教会にとっては煩わしいんだ。……傀儡は1つだけで良い」


 クグツ?なんだそれ?


「お喋りは終わりだ。俺は寝る。邪魔したら…分かってるな?」


 言いながらご飯と一緒に持ってきた警棒よりも痛そうな長めの棒を見せてきた。

 よほど睡眠妨害がキツかったらしい。


「へーい」


これでもう睡眠妨害による駄々コネは出来なくなってしまった。

仕方なく返事すると、満足そうに「ならよし」と言いながらオウドはごろんと寝転がる。

イビキを掻き始めたので、俺は早速行動を開始した。

 さーてと。


「…よっ…」


 こっそりと【縄脱け】【千里眼/見通し】【千里眼/見極め】【隠密】のスキルを複数発動。

 新しく増えた【縄脱け】と【隠密】スキル。

 これを空腹ながらにコソコソと練習して熟練度を上げている。


 熟練度は挑戦すればするだけ上がっていく。

 これをコツコツ一週間続ければ抜けられるんじゃないかなと予想している。

 その前に餓死しないか心配だけど、その前には流石に何か食べさせるだろう。

 先が長いが頑張ろう。








 ──コンコン……

 ウトウトとしていると聞こえる筈のない外からの音が聞こえた気がした。


「?」


 見張りのオウドは相変わらずイビキをかいている。

 こいつではない。じゃあ、何だと見回すと、信じられないものがあり得ない場所から現れた。


「……ケーイ、ケイ……」

「!!!!???」


 屋根からトクルの頭だけが通り抜けてきたのだ。

 トクルはぐるりと部屋を見回し、最後にディラを真っ直ぐに見る。

 まるで観察をされているかのように。

 こんなみっともない格好で恥ずかしいなと思考が明後日の方へ飛んでいると、トクルがノクターンの声で言葉を紡ぎだした。


「……『傾聴せよ…、木漏れ日…揺りかご…霧雨…鈴虫…、真綿の布にくるまれ運ぶ…鳥の雛…。夜のとばりが降りて…星の海に沈む…。エスメーン』…」


 グワワワンと頭を揺らすような強烈な睡魔が襲ってくる。

 これ、俺寝たらダメなやつじゃないの??

 そうは思うが抵抗できずにそのまま寝た。








「おい、起きろディラ」


 ほっぺをペシペシ叩かれて目が覚めた。

 目を開けると目の前には居るはずの無いクレイがいた。

 なんでこんな所にクレイが?

 いやいや違うなこれは現実じゃない。現実では俺は現在進行形でドナドナされているから、こんな夢も希望のない鉄の箱にクレイが居るはずがないのだ。

 ということはこれは夢だな、と、判断した。


「…おはようございます…。夢ですか?」

「アホなこといってないで、さっさと起きろ。ジルハ、鍵あったか?」


 クレイの後ろでオウドの服を剥いでいたジルハが鍵の束を見付けていた。


「ありました」

「よし。ったくなんだこの拘束。多すぎだろ…」


 鍵がクレイに渡され、何重にもされた拘束が外されていく。

 胸部を圧迫していた拘束も外されて、俺は久しぶりにしっかり空気が吸い込んだ。


「ありがとー。はぁー、まさに自由って感じ」

「アホなこと言ってないで逃げるぞ。早く来い」

「歩けますか?」


 立ち上がろうと足に力を込めたが、全然立ち上がれなかった。

 まだ薬の影響が残っているのか、それとも空腹すぎて力入らんのか体がいうことを聞かない。


「ごめん無理」

「世話が焼けるな。ジルハ手伝え」

「了解です」


 二人に肩を貸して貰い外に出ると、辺りは結構暗かった。

 夜になっていたらしい。


「おのれええええええ!!!」


 突然の大声に肩が跳ねる。

 何事かと思って見てみたら、アスティベラードがキレていた。

 よくもあやつにあんな(むご)い事をしてくれたな!!となにか色々怒鳴っているが、残念ながらアスティベラードの周りには倒れた奴しかいないので聞いているのは俺と皆だけである。

 ……というか死んでないよな?


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