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ゲームオーバー??



 裏口の扉が開き、スキンの集団がギルドから出ていく。

 いつもとは明らかに違う出来事に、野次馬がなんだなんだ?と集まる中、俺はまるで手荒に扱っても良い荷物のように厳重な鋼鉄馬車に放り入れられた。

 やめてくれよ。痛覚はあるんだぞ。


 しかし、そんな視線での訴えなんか通じるはずもない。仕方がないので視線だけで周囲の観察をした。

 馬車といってもただの鉄の箱だった。椅子なんてない。

 なるほど、あくまでも人間扱いはしてくれないらしい。


 ボルガが隅の方に置いてある箱を持ってやって来る。

 何だろうと見ていると、引くぐらいの数の拘束具が次々に取り出された。

 なにこの人拘束マニアなの?


「さて、念には念を入れよ、だ」


 薬で全く動けないのに手足を鉄の板や鎖で拘束され、更に絶対に暴れないように馬車の鎖にも繋がれた。

 え?念には念をってのは分かるけど、ここまでする?

 心配性過ぎない??

 虎とかライオンみたいな猛獣とか思われてるの??

 ドン引きしながらボルガを見ると、その後ろの部下も若干引いたような顔をしていた。

 良かった。

 そうだよね。さすがにこれはやりすぎだよね。

 しかしボルガは本気だった。


「ガンウッドによればこいつは口から光線を吐いたらしいからな」


 なんの話!?吐かないよ!!そんなスキル持ってないよ!!

 そう突っ込みを入れたかったが、喋れない。


「レベル80近い奴だとこれでも破る奴もいるというし」


 マジで!?俺87だけど出来なかったよ!!

 と、突っ込みの途中で思い出した。知り合いに同レベルでいとも簡単に拘束スキルを解除する狂人がいた。最もその人はジョブがトリックスターだからこういうの専門なのだけど。

 あらかた拘束をし終えたボルガの満足そうな顔むかつく。


「念には念をだ。視線で人を混乱させる事も踏まえて血もギリギリまで抜いておきたいが、いいよな」


 やめろと視線で再び訴えたが、ボルガがでかい注射器を取り出して構えた。

 いやあああ!!本気で止めて!!注射器嫌いです!!!


 そんな俺の訴えが通じたのか、部下がボルガを制止しようとしてくれた。


「さすがにそれでは死にます。尋問する前に死なれても命令違反です」

「分かっとる。分かっとるがな、ほら、念には念をな」

「……」


 念には念を入れよが過剰すぎて引くわ。


 部下の制止を振り切って、普通にぶっすりと注射器を刺され、血を抜かれた。

 こいついつか仕返ししてやる。

 貧血でクラクラする頭で決意した。


「最後に馬車の方に結界を張り巡らす。オウド、絶対に取り逃がさないようにな。しっかり見張っとけ」


 さう言い残したボルガが馬車から出ていき、バタンと扉が閉められた。

 中にいるのは二人だけ。

 ディラと、見張り役のスキン、オウドだ。

 最初のスキンの方。

 オウドは職員の服を既に脱いでいて、教会関係者らしい服へと変わっていた。胸元で輝くエンブレムが憎らしい。


 外でガチャガチャ鍵を閉める音がして、外の音が一切聞こえなくなった。

 結界の効果とかいうやつだろう。

 ゴットンと大きく部屋が揺れて、馬車が進んでいく。


 ゲームオーバーってか?

 せっかく仲間もできたしこれから楽しもうって思ってたのに。


「ふぅー……」


 全く残念過ぎる。

 せいぜい殺されないよう祈るばかりだ。絶望的だけど。

 そう思いながら溜め息を付いた。


「へぇ、もうため息吐けるほど回復したのか。その毒は一日ひたすら呼吸に専念しないといけなくなるほどの強力な麻痺毒だが、さすがは規格外の化け物というわけか」


 突然話し始めたぞ、この見張り。

 さては暇なんだな?


「尤も俺は殺すつもりでその三倍入れたがな。生きてるなんて予想外だ」


 とんだ暴露話である。

 お前さっき殺したら命令違反とか言ってたじゃんかよ。

 俺のそんな心の声など知らないオウドはよっこいせといきなり横になって、寛ぎ始めた。

 マイペースかお前。見張りだろお前。


「はぁー、疲れたぜー。お前喋れるようになっても喚くなよ。どうせ外に音は漏れやしないんだ、無駄なことはするなよ」


 サボタージュする気満々である。


「さて、寝るか。これだけが楽しみなんだよ…。…………グォォー…」


 秒で寝た。しかもイビキまでかくほどの爆睡。

 しばらくイビキをかくオウドを眺めていたが、何となく声出るかなと試してみることにした。


「………、……ぅ …んーー……」


 ようやく音が出せるようになったが、まだ喋れるほどではない。

 でもこれならすぐに薬が切れて話せるようになるはず。

 次に俺は視線を滑らせて黒いのを探した。

 黒いのは見えない。居る居ないのかも分からない。

 此処が全体的に薄暗いせいなのか、それとも本当にいないのかの判断もつかないので、代わりに違うことを確認してみた。


「……!」


 指先が動くようになっていた。

 腕が動くようになるまでしばらく待ち、ためしに拘束が取れないかやってみたが、音がめっちゃ鳴ってしまい、オウドに煩い寝れないだろう!と警棒みたいなので凄い殴られたから諦めた。

 別の案を考えよう。


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