暴露させられました
アスティベラードを見ると、目をつぶって物語の余韻を味わっていた。
他のみんなも、ああ、これこれ。という感じで聞いている。
というか、というかよ。
なんでよりにもよって俺なんかをシャールフと同列にするの??さすがにハードル高すぎない??
「ちなみにこれ、実話?」
実際会ったけれど訊ねてみた。
「実話と言われている。何せシャールフが敵の女神を燃やし尽くしたといわれる跡があるからな。大きな谷が未だに燃えておるのだ。メラメラと」
「あー、自分それ知ってるぜ。シャールフの谷だろ?元々は深淵覗きの谷って言われていたところ」
「今は像が建ってるよね」
シャールフの。と、ジルハが付け足す。
ふーん、と納得していると、クレイが「それよりも」と、話題を変えた。
「今回の出来事、あの女が言っていた聖戦とやらが本物の可能性はありはするんだろうさ。だけどな、オレが不信感あるのは、お前が勇者ではないのに参加していたっていう点だ」
クレイが俺を指差す。
「本当に接点無いのかぁ??」
クレイの目にハッキリと『隠し事してんだろ?吐けやオラ』と書いてある。
他にも視線を感じてチラ見してみると、みんなの視線がこちらを向いていた。
えー、でもこれ関係あるの?友達ってだけだぞ?
それか一緒に召喚された件とか──
突然視界が黒くなった。
「うおっ!!??」
いつの間にか目の前にアスティベラードと黒いのが俺を覗き込んでいる。
あまりの美貌にドキドキするが、後ろの黒いのも一緒に覗き込んできているので恐怖でのドキドキもあって心臓が痛い。
「貴様、隠し事をしているのはバレバレだ。全て顔に出ておる。吐け、今すぐ」
「………」
こわいこわいこわいこわい。
冷や汗めっちゃ出てくる。
「それとも後ろのこやつに無理やり吐かされたいのか?」
後ろで黒いのの尻尾がユラユラ動いて指示を待っていた。
それを見ているドルチェットが一言。
「殺すなよ?」
「殺さぬわ。ちょっと痛いだけだ」
と、尻尾の先がこちらを向く。
あ、むり。
「実は勇者と一緒に召喚されました。そして勝手に勇者の武器引っこ抜きました」
潔くゲロった。
「なんですぐバレる嘘をつく!!」
分かってはいたが、クレイに怒られた。
なので、すかさず言い返した。
「だってメインストーリーに関わる気なんて全く無かったんだもん!」
まさかこんな形で関わるとは夢にも思っていなかった。
海で悠々と泳いでいたら、突然釣り上げられた魚の気分だよ!
そう言えばクレイ達は困惑していた。
「メインストーリー??」
「……あの、いわゆる勇者との旅ですかね」
今さら来いと言われても無理だけど。
しかも既に功太の仲間に嫌われているし。
きっと合流目前で総攻撃されて死ぬ。
そんな事を考えて一人ガクブルしていると、クレイが盛大な溜め息を吐き、ドルチェットは何故か爆笑、ジルハからは同情の視線を向けられ、ノクターンからはなんとも言えない困り顔の愛想笑い。
アスティベラードは何か考えているらしいけど、シャールフ関連のとばっちりが来ないといいな。
「……なるほどな。わかったわかった。はいみんな注目!!」
クレイが手を叩いて注目を集める。
「えー、ではこれより皆の意見を聞こうと思う。恐らくこいつ関連でこれより先めんどくさい事や危険な事が起こるだろう。オレはこいつを誘った責任があるから、まぁ乗り掛かった船?って感じで付いていこうと思うが、降りたい奴は降りていい」
いや、こいつやれやれって顔しているが内心面白そうとか思っているだろう。
腹を押さえてヒーヒー言っていたドルチェットが涙を拭う。
「こんな面白い事おりるわけないだろう!!なぁ?ジルハ?」
「はいはい。どーせこうなるだろうと思ってたよ」
ドルチェットとジルハが参加表明。
そしてそのままドルチェットは残り二人へと問い掛けた。
「アスティベラード達は?」
「は?」
何を言っておるんだ貴様、と、幻聴が聞こえるような顔を向けられた。
「参加するに決まっておろう。何当たり前なことを言っておるのだ」
「……………言うと思ってました…」
なんかごめんねノクターン、と、俺はノクターンに頭を下げた。
「でもいいの?旅は道連れとか言うけどさぁ…」
「くどい」
「はいすみません」
いいやもう。
アスティベラードの目が凄いキラキラしてるし。
なんでこうなっているのか聞くのが怖いから聞かない。
聞かぬが仏。
「じゃあ、肝心のパーティー本設定は明日だな。朝、あの噴水に集合だ。遅れるなよ?解散!!」
クレイの号令により、また改めて明日集合することにした。
「疲れた……怒濤の1日だった」
なにこの濃密な1日。
朝皆と依頼に行って、夕方居酒屋行ったら功太とボスみたいなのと戦って、そして全て暴露と。
3日分位のイベント集中して、ちょっと疲れた。
こんなに疲れたんだから何かしらの報酬が欲しいところだけど、そんなのあるわけ無いだろう。
何せゲームではないのだから。
「あ!カウンター付けてたらレベル上がってたかも知れなかったのに!!うわあああ…タイミング…」
きっと付けていたら物凄い経験値を貰えたに違いないのに。
とはいえ今さら悔やんだところでどうにもならない。
「まーいいや。明日、きちんと上がっていることを祈ろう」




