戦闘終了しました!!!
「出来た!!朝陽スイッチ!!」
「オーケー!!みんな早く下がって!!」
みんなが言う通りに下がると、剣を手に駆けてきた功太とすれ違う。
剣が青白く発光。
ビリビリと魔力らしきものの圧が溢れ出している。
ぐっと踏み込んだ功太が【身体能力向上】【筋力増加】【大跳躍】スキルによって大きく跳躍した。
剣を肩に担ぎ、狙いを定めて剣を振る。
「あああああああああーッッ!!!!」
功太の剣から発せられる光が、振るのに合わせて伸び、攻撃有効範囲が確定。
巨大なサナーマフォンに斜めの線が入る。
一瞬の間を置いて、そこが連鎖的に大爆発を起こした。
功太の最強にして広範囲スキル【蒼き湖の女神】だ。
攻撃範囲指定した箇所のエネミー反応の内部から青色の爆発を起こすというとんでもない大技だ。
サナーマフォンが凄まじい悲鳴をあげる。
頭を左右へ激しく振り、そのダメージの大きさがうかがえる。
だけど、まだ倒れそうにない。
「ん?」
功太の攻撃による爆発の余波を受けて顔の羽が破損したらしく、顔が隙間から見える。
目の位置に目はなく、額に水色の大きな光を放つ宝石が見えた。
すると千里眼が勝手に発動して宝石をマーキング。
視界には見慣れたターゲットマーカーが宝石を示した。
もしかしてあれが弱点か??
「朝陽!!」
「!」
攻撃後、着地した功太が腰を低くしてとあるモーションを取っていた。
それは剣によるスキル【人間ロケット】を開始するモーションだ。
【人間ロケット】とは武器を使って相手を高く打ち上げるのに特化したスキル。
それを功太が取っているということは、俺が止めを刺せ、と言っているようなもの。
「よっしゃ!」
すぐさま功太の方へと駆け、タイミングを合わせて振り初めた功太の剣へと飛び乗った。
次の瞬間、俺は高く打ち上げられていた。
目の前にはサナーマフォンの顔。ここからだと額の宝石が良く見える。
矢をつがえ、切れ掛けている【攻撃力増大】を再発動して狙いを定めた。
「俺達の勝ちだ!」
撃ち抜いた宝石が真っ二つに割れた。
黒板を引っ掻いたような不快な悲鳴を上げて、サナーマフォンの体がひび割れて崩れ始める。
地面へと着地して見上げると、サナーマフォンの残骸は熔けて煙のようになって消えていった。
「終わった?」
空を見回してもハルピーもタワレアルもいない。
千里眼を使っても反応がない。
本当に終わったようだ。
パチパチと拍手の音が聞こえる。
『おめでとうございます。ちゃんと勝ったな?
だが初戦は勝って貰わなきゃ困るがな』
まるで空間から浮き上がるようにクリフォトが現れた。
思わず警戒すると、クリフォトはめんどくさそうに言った。
『そんなに警戒しなくても良い、もうこれで終わりだ…。
ふむ…』
クリフォトは俺達とは関係のない明後日の方向を見た。
『……残りは様子見…ってところだな?まぁ、良いわ』
他にも誰か居るのか?
千里眼を発動して確認でもしてみようか。
『お前の力も見れたことだ、参加を認めよう』
「!」
スキルを発動しようとして意識が薄くなったせいか。
いつの間にかクリフォトがすぐ近くに居た。
驚きのあまり固まってしまった。
『では、資格を与える。光栄に思えよ』
笑顔のクリフォトが言いながら、俺の肩に手を置いた。
肩に手を置かれた瞬間、胸から刃物が突き出した。
「……え?」
意味が分からなかった。
なんで胸から刃物が突き出して来たんだ?
ごぷっと、喉奥から暖かい液体が溢れ、口から零れた。
誰かの叫び声が耳に響くが、確認する間もなく意識が暗転した。
気が付くと真っ白い空間に突っ立っていた。
「へ?」
え!?と慌てて周りを見渡した。
されどどんなに目を凝らしても白い空間が広がるばかり。幸いにも地面と思わしき場所が判別できるだけマシだけど。
「おーい!」
試しに声を出してみたが、どこにも響かない。
手に持っているはずの弓もなく、それどころか身一つで少し不安になる。
「…あ、そういえば…」
先ほどの出来事を思い出し、胸を確認したが、何もなっていない。
傷もなくつるりと変わりのない胸に、逆に恐くなった。
訳がわからない気持ち悪い。
本当に何もないのかと思って後ろを振り向くと、吃驚するくらい大きな木が立っていた。
真っ白な、空間に溶け込むような大樹。
その下に、誰かがいた。
「うわっ!びっくりした…」
誰もいないと思っていたのに、居たときの驚きは大きい。
でも人がいるっていうことは此処から出る術がわかるかも。
そう思い、その人の元へと向かった。
「すみませーん!ちょっとお尋ねしたいことがあるのですが!」
その人のもとへと駆け寄ると、なんとも言えない違和感に脚を止めた。
違和感しかないのだが、でも何が違和感なのかわからない。
その人は男性だった。
黒髪の日本人みたいな感じの容姿をしていたが、モデルみたいに背が高いし筋肉もしっかりついていて、いわゆるイケメンだとか男前とかの類いだった。
その男性は声を掛けたのにも関わらず、無反応だった。
それこそ返事もしなければ視線を向けもしない。
ひたすらに地平線を見つめているその人の胸を思わず見た。
呼吸はしていた。
ということは蝋人形やマネキンではなく、生きている人なのは間違いない。
もしや聞こえていなかったのか?
「あの、もしもーし?」
再び声を掛けてみるも、変わらず無言。
無視されているのだろうか。ちょっと悲しくなってきた。
これでは帰り道を教えて貰うのは難しそうだと肩を落とし、別の手懸かりがないかと探しにいこうとしたところ。
男の視線がこちらを向いた。




