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スキル発動!!!



 意識を集中して戦闘によく使うスキルを次々に発動させた。


 ──【身体能力向上・大】【身体強化】【動作加速】【異常状態回復速度上昇・中】【攻撃力増大】──


 なんの問題もなく発動でき、内心ほくそ笑む。

 なんでかよくわからないが、ゲームでのスキルが継続されるのならずいぶん楽になる。

 突然動きを止めた俺を心配してクレイが声をかけてきた。


「どうした?怪我でもしたか?」


 そんなクレイ達に俺は不敵な笑みを浮かべた。


「これからの俺の動きを見ても驚かないでね」


「は?」とドルチェットが言う。

 弓を空へと向けて矢をつがえ、スキルを発動させた。

【弓矢生成】【複数標的捕捉】【同時射出・中】【千里眼/見極め】

 ブンとディラの周りに矢が複数現れ、それが手にある矢と連携する。


「まずはごみ掃除だ!」


 手から矢が放たれると、周りの矢も一斉に射出された。

 それらは空高くへと飛翔し、四方八方へとバラバラな方角へと落ちていく。

 その全てがマーカーの付いた敵全てに命中した。

 周囲からタワレアルの醜い悲鳴が一斉に上がり、みんながびくりと肩を跳ねさせた。


「なになに!?」


 驚くクレイ。思わず身構えるドルチェットとジルハ。腰が抜けそうなノクターン。そしてアスティベラードと黒いのが貴様やりおると言わんばかりに見てきた。

 すみません、怖いのであまり見ないでいただけますか?


「なんだ今のは!!」


 興奮気味なドルチェットが俺の胸元掴んで揺すぶった。

 頭がシェイカー並みに揺らされながら必死に答えた。


「スキルですよただのスキル!それを発動したんです!」


 が、その答えでは納得してくれなかった。


「バカ言え、スキルなんてものはただの名称だ。なんだその発動ってのは。魔法じゃねーんだぞ」

「はい?」


 ドルチェットの言っている意味がわからない。

 だってクレイだって【挑発】スキルを使っていたじゃないかと。

 だが、そこでふとした疑問が浮上した。

 果たしてあれは本当にスキル発動だったのだろうか?

 おや?もしかしてこの世界はゲームのようでありながら、ゲームのようにスキルを“発動”として使うことができないのか?

 あれ?もしかして早とちりしてしまったか?とちょっと焦り始めた。


「まてまて、このままだとこいつの頭が落ちるだろ。落ち着けドルチェット」

「むう」


 興奮冷めやらぬドルチェットをクレイが止め、ようやく頭シェイクが終わった。

 さすがに落ちはしないが助かった。


「そのスキル発動云々はあとで聞くとして、まずは現状を何とかするのが先だろ?」

「そりゃ、そうだな」

「納得してくれて何よりです」


 ひとまずドルチェットが落ち着いてくれたことに安堵した。


「で?これからどうするんだ?あのキモいのをチマチマと討伐でもすんの?」

「いや」


 首を横に振る。

 タワレアルの元凶を何とかしない限りはいつまでも沸いてくる。


「元凶を叩かないとずーっと出てくるから」


 チラリと先程から気になる方向を見た。

 千里眼ではないが、取った覚えのない何らかの【気配察知】スキルが何かの気配をマーカーしている。

 もしかしたらこのタワレアルを産み出す存在、蠅母王(グランバエノ)かもしれないから、そこまでいって討伐してこないと。


「場所わかるのか?」

「わかる」

「よし、じゃあ案内はディラに任せるとして…。

 とりあえず、互いに何を持ってこれたか移動しながら確認しよう」


 クレイの提案で、現在所持しているものを教え合う。

 それぞれ持ってこられているものが違った。


 クレイは薬各種少量と盾、あとは双眼鏡。ドルチェットは剣と鞘、砥石のみ。ノクターンは薬各種に応急キットと食糧少量。アスティベラードはトクルと黒いのとナイフ。ディラは弓(矢筒は何故か置いてきた)。

 どうやら此処に転送──かどうかは分からないが──された時に身に付けていたものが一緒に来ているらしいのだが、何故事前に警告してくれないのかと転送させた存在Xに心の中でクレームをいれた。

 唯一ジルハだけが暗器やその他諸々を大量に持ってこられていたようだった。

 アサシン有能。


「分けられるものは少ないな。とりあえず皆気を付けていこう!」

「おー!」


 皆でタワレアルを駆除しつつ進んでる。


「……自分もスキル発動?ってのしてみたい」


 突然、ドルチェットがそんなことを言い出した。

 そういえば出来るのだろうかと、ドルチェットとジルハの方に耳を傾けた。


「やってみればいいじゃない?」


 ジルハの回答に「そりゃそうだな」とドルチェットは早速やってみたが、よく分からなかったようだ。

 眉間に皺を寄せながら首を傾けている。


「…出来そうな気はするんだけどなぁ」


 不満げにドルチェットが呻いた。

 同じくドルチェットの様子を見ていたクレイが言う。


「じゃあ、今んところディラだけ出来るんだな」

「みたいだね」


 皆もできたら楽しかったろうに、残念だ。

 ドルチェットが羨ましそうにこちらを見ていが、こればかりはしょうがないだろう。

 ジルハがさりげなくフォローに回ってくれた。


「まぁ、ほら。得意不得意とかあるし」


 というが、これは得意不得意の範囲内なのか。よくわからないが。


「やっているうちに出来るようになるんじゃない?」


 とりあえずドルチェットにそう言ってやったら。


「よーし!やったるぞ!」


 やる気を戻してくれた。

 此処で士気を落としてもらいたくなかったから良かった。


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