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レア中のレアスキル

 


 四方八方から予測不能な弾道を描く雷が迫ってくる。

 クレイの防御が間に合わないほどの同時攻撃に直撃すると覚悟したその時、こちらに向かって来ていた雷が全て吸いとられるように方向転換した。

 空を横切る白い線に雷が次々に吸い取られていく。


「え?なにあれ」


 思わず出た言葉に功太が答える。


「あれは、アリマの雷魔法だ」

「アリマって、功太のとこの魔術師だよね」


 確か攻撃魔法しか使えないとか言っていた気がするけど。


「もしかして……、完成したのか??」


 功太の呟きに「何が?」と思っていると、遠くから「コーター!」と声が微かに聞こえてくる。


 声の方向を見ると、息を切らせてアリマとラピスラズリが駆けてきていた。

 この暴風の中を生身で走ってきたのか!!?


「え??どうやって???」


 ラピスラズリなんかドルチェットなんかよりも小柄で、あっという間に吹き飛ばされるだろうに、足取りはしっかりしていて、少し強めの風にあおられているようにしか見えない。


「おーい!!こっちだ!!頑張れ!!」


 クレイの呼び声に気づいてやって来る。

 ひいひいと息を切らせつつも、二人はクレイの盾になんとか辿り着いた。

 怪我とかはない。


「よく無傷で来たね…」


 功太も驚いているようだった。


「本当に無茶をします」


 風でボサボサになっているけど、怪我をした様子はない。

 心配そうに声を掛けたルカに、ラピスは「へへ」っと小さく笑っていた。


「しかし、本当によく此処まで来れたものだ。何かの魔法か?」


 アスティベラードの問いにアリマが息を整えつつ答えた。


「まぁ、魔法と言えば魔法ですかね??正確にはラピスのスキルとの合わせ技ですが」


 合わせ技??


「そんなことできるの??──うわっ!?」

「とにかく今は使えりゃなんでも良い!!手を貸せ!!!」

 ドルチェットに押し退けられ、とにかく使えるものは全部使うことになった。




 ラピスラズリのスキルは性質変更というレア中のレナなスキルだった。

 これ単体ではなんの役にも立たないスキルだが、これを魔法と同時発動した瞬間に化ける。

 魔法の属性から得られる性質を根本から変えてしまうものであった。

 吸収・変換・反発という選択ができ、例えば先程の雷は、アリマの電撃魔法に“吸収”の性質を付属することによって、雷属性を引き寄せてくれる避雷針の役割をしてくれたらしい。

 当面の間、これで雷を防いでくれる。


 雷問題が解決し、あとは風での吹き飛び問題だけだが、それもアリマとラピスが発案した会わせ技で解決となった。


 まさか自身に風を纏わせる魔法を使うとは思ってなかったな。

 これで少なくとも自身の身体から発生させる風によって守られる。


「これしかできずにすみません…」


 と、ノクターンが謝っていたけど、魔法は全種類操れる訳じゃないから仕方がない。

 ノクターンの防御魔法には助かっているし。

 ともかくこれでまともに戦える!


「おい」


 ずっと黙っていたアリアーニコが話し掛けてきた。


「俺達にもその魔法を掛けろ」

「え?」


 思わず見てしまった。


「今なんて?」


 バルベーラが黙ってアリアーニコの頭に手刀を落とす。

 その横からサンジョヴェーゼが一歩前に出てきた。


「我らも微弱ながら手を貸す。どんなに強靭な相手であろうが、駒が多ければ勝機も増える」


 言いたいことは分かるけど。


「でも、武器とか折れてたんじゃ…?」

「予備ならある」


 サンジョヴェーゼの言葉に使い魔が折れた剣のスペアを出してきた。

 しかもネビオーロの剣なんか一本増えていた。

 もしかして本来は双剣なんだろうか。


「そのウサギ娘の能力と、魔法使いの女の魔法を組み合わせれば、例え金属であろうと電気を受け付けなくさせるのは容易だろう?」

 と、サンジョヴェーゼが剣をラピスに向けた。


「確かにそれはそうですが」


 クレイが割り込む。


「とても危険です。命の保証なんかできないですよ」


 思わず頷いた。

 現に高レベルになったはずの自分達だって死にそうになっているのだ。

 それなのに、クレイの忠告をサンジョヴェーゼは面白そうに笑って見せた。


「もとより我らレッドジュエル、命を惜しむようには育てられていない。

 万が一惜しんで死んだ場合は、彼はそこまでの力しか持ち得なかったというだけ」


 背筋がぞわりとした。

 この人は本気でそう思っている目をしていた。


 さすがにそう返さえると思ってなかったクレイは困惑していたが、ドルチェットだけはクツクツと小さく笑っていた。


「上等じゃねーかよ。クレイ、こう言ってんだ。

 要は後の命は惜しむ無かれ、だよ。好きにさせろ」

「……わかった。ディラも良いか?」

「うん、おーけー」


 本人が好きにやりたいなら、そうさせておいた方が平和だ。


 ラピスとアリマがレッドジュエルの連中にも黙々と魔法とスキルを付与していく。

 全て終えた頃にはラピスはヘトヘトになっていた。


「ありがとう。これでまともに戦える」


 功太の言葉にアリマは真剣な顔で忠告をした。


「そんなに長い間は効力はありません。みなさんも引ける時には引いて戻ってきてください」


 各々返事をしつつ、武器を構える。


「よし、それじゃあ反撃といきますか!!」





 風の中に踊り出す。

 竜巻の壁はすぐ目の前まで来ていた。

 衝撃を覚悟して突っ込むが、ドカンとした衝撃が一回来たのみで、あとは強風のみ。

 浮かされてもいない。

 作戦は成功だ。


 再び雷の雨がやってきたが、それらは全てアリマとラピスの二人が対処してくれる。

 二人にはクレイが付いているから問題ないだろう。


 功太の先制攻撃。

 ビームが直撃するが、相変わらず効いている様子はない。

 やっぱりこれってもしかして、本体が別にいる的なやるなんだろうか?


「せやっ!」


 俺も負けじと射ってはみるものの、やはり暴風と矢の相性は悪すぎる。

 ならばと鋼鉄矢に切り替えた瞬間に、とんでもない轟音を耳にした。


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