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速度VS火力③

 バルベーラとドルチェットの激しい交戦が続いている。

 もはやどういう攻撃をどうやってさばいているのかも分からない動きのなか、どんどんバルベーラが押されていっているのだけは端からでも分かった。


 バルベーラに焦りの表情が浮かぶ。


 そうだろうな。いけると思ったドルチェット(相手)が戦いの中で成長していくのは恐ろしいものだ。

 しかもそれが敵ならば、なおさら怖いだろう。


 バルベーラがドルチェットの攻撃を受け流し、深く踏み込んだ。

 違和感を覚えた。なんだ?


「!」


 バルベーラの剣が消えていた。

 え、何処にいった??


 ドルチェットが何かに気付いたように防御姿勢を取った

 次の瞬間────バルベーラの姿がブレた。


 爆発でもあったのかと思うほどの爆音が鳴り響き、ドルチェットの周りに砂ぼこりが立ち上る。

 いや、その砂ぼこりまでもが砕かれ、一瞬のうちに霧散した。

 しかし晴れはせず、第二、第三と立て続けに爆音が発生し、もうもうとした砂ぼこりで視界が遮っている。


 目を凝らして探せば、砂ぼこりの中にゆっくりと影が現れ、視界が鮮明になっていく。


 細く抉られたような亀裂がたくさん走った地面に、二人が立っていた。

 バルベーラの剣と、盾にしているドルチェットの大剣からギチギチと音が鳴っている。


「…怪我は?」

「してないっぽい」


 クレイに答える。

 とりあえず傷なんかは見えなかった。


 ホッとすると同時に、あの技を全て防ぎきったのかと感心した。

 ドルチェットもだが、バルベーラにもだ。

 きっと必殺技の類いだったのだろう。

 功太の高速剣なんかよりも早かったように見えた。


「……──っ」


 信じられないという表情のバルベーラに、ドルチェットは、に、と笑う。


「お前の動きは見えた。こっからは、自分の番だ!!」


 言い放つやドルチェットはバルベーラの剣を弾き飛ばし、攻撃に転じた。

 いつものドルチェットの一太刀目がバルベーラに回避された瞬間、一気にドルチェットの動きが変わった。


「!?」


 予想外の動きにバルベーラの動きが一瞬鈍る。


 無理もない。

 ドルチェットの太刀筋がまるでアリアーニコとバルベーラを複合させたようなものに変化したのだ。


 なんでこんなにも動きが変わったんだとドルチェットを観察すると、いつも掴んでいる柄の位置が違うのに気が付いた。

 まるでアリアーニコのような、槍を待つような位置だ。

 両手の持つ感覚を大きく開け、左右の手の動きを変えながらバルベーラの動きに合わせている。


 普通、大剣でこんな動きは不可能だけど、ドルチェットの大剣は通常の大剣よりも柄が長い。

 それは剣体術を使うからと思ったが、どうやらそれ以外の理由でもあったようだ。

 皆が驚く中、ジルハだけが冷静に言った。


「あれがドルチェットの最大の武器、“見盗り”です」


 見盗り?


「見盗りはスキルではないの?」


「スキルというのはちょっと違いますね。もしかしたらスキルとして発現出来るかもしれませんけど、あれはれっきとした剣術の技術の一つであり、ドルチェットの最大の才能です」


 ジルハはバルベーラへ攻撃を叩き込むドルチェットを眺めながら続ける。


「ドルチェットは子供の頃から兄弟を見てました。稽古に参加することは許されなかったドルチェットでも、見ることだけは許されていました。

 だから、ドルチェットは見て覚え、それを細部まで再現する事が出来るようになりました。……本当にすごい人ですよ」

「…………僕なんかとは違って……」と、ぼそりとジルハが呟いた。


「……ジルハ?」


「あ」と、クレイが声をあげ、俺は慌ててドルチェットへと視線を向ける。

 ドルチェットの蹴りがバルベーラに入り、よろけながらも二撃目を避けた。


「……この、野蛮人め…っ」

「へへ、だんだん化けの皮が剥がれてきたな」


 殺す、と、バルベーラが反撃を試みるが、ドルチェットの素早い体術によって翻弄され、バルベーラが段々と追い詰められていく。


「ねぇ、あの動きって…」

「ああ」


 クレイが頷く。

 ドルチェットの今の動きはジルハにそっくりだった。

 もちろんジルハよりも速度はないし動きも読みやすくはあるけれど、あれは間違いなくジルハの動きを真似たものだった。

 その事にジルハは気が付いているのだろうか?

 相変わらず真剣な眼差しでドルチェットを見てはいるけれど。


 バルベーラの髪が乱れ、その髪の間からドルチェットを睨み付けている。

 最初の余裕は何処に行ったのか。

 凄まじい殺気ではあったけど、そんなものドルチェットは関係ないと言わんばかりに剣を奮い、弾き、追い掛けて、追い掛けて───


 銀光が走る。


 ギィンッッ!!!と、音が鳴ったのと同時にすぐそばの地面に細い刃が突き刺さった。


「うおっ!?」

「ッ!?」


 あぶねぇーー~ッッ!!!刺さっていたら洒落にならなかった。


「決着、ついたみたいです」


 ジルハの言葉に二人を見ると、バルベーラの首もとに大剣を突き付けていた。

 武器を破壊されたら強制的に負け。


「勝負あり、だな」



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