炭鉱堀りの気分になってきた。
雨を振らせるといっても一度だけでは意味がない。
何故ならば、アドラファレル自体が高温の塊であり、雨程度の水ならばあっという間に蒸発させてしまうからだ
ならどうするのか?
「せやぁぁあああ!!!!」
【弾幕】スキル、それに【水属付与】【雨状放射】を同時に発動し、空に向かって次々に矢を放つ。
空へと飛んだ矢が上下左右へとぶれて空を多い尽くす。
本当は弓を切り替えて白雪の六花琴にした方がもっと威力を出せるんだけど、あいつはでかいし力がいるしで小回りが利かないから、うっかり反撃に遭えば避けきれる自信がない。
だから──
「射って射って射ちまくる!!!!」
アドラファレルが俺の矢によってもたらされた豪雨によって悲鳴のような声を上げた。
アドラファレルの熱で水蒸気が発生していて視界が悪いが、俺の千里眼はしっかりと確認していた。アドラファレルが雨で少しずつ硬化していっているのを。
それを功太も確認した。
「よし!効いてる!!」
「ガンガンやるぞ!!!」
功太が隣で俺と同じくスキルを発動し、構える。
そして一気に踏み込み駆け出した。
軽い衝撃波を残してあっという間に功太はアドラファレルの真下に到達し、狙いを定める。
「しっ!!」
大きく下から振り上げた剣先から青い三日月のような斬撃が飛んだ。
それはアドラファレルの下部に直撃し、下から突き上げた。
ソード職の水属性スキルの一つ、みかづきだ。
三日月型の巨大な水の塊を撃ち出すスキルで、まるで巨斧で殴られるような衝撃を与えるアドラファレルにピッタリの攻撃スキルだ。
水で硬化させるだけじゃなく、衝撃も与えて脆くする作戦だろう。
力の限り俺はひたすら上空へと矢を射ち続け、功太は下からアドラファレルに攻撃を叩き込む。
アドラファレルの反撃の隙を与えない。
俺と功太の猛攻を受け、アドラファレルの体が徐々に黒ずんでいき、動きが鈍くなっていっていた。
しかも浮遊が維持できないのか高度も下がっていっている。
しかも地面に残ったアイスエイジの氷で雨で凍りついていっているおかげなのか、気温が更に下がっていっているのが分かる。
これで奴がビームを撃ったとしても持たせられる。
「そろそろか?」とクレイが確認を取る。
アドラファレルの動きはほとんど止まり掛けていた。
「攻撃準備はしておいて」
「わかった」
クレイがドルチェット達に指示をとばした。
あとはタイミングだけだ。
あともう少しで地面に着くというところで、突然アドラファレルが絶叫を上げた。
アドラファレルの表面に赤いヒビが広がり、次の瞬間、ヒビから蒸気が吹きだす。
「わぶっ!」
熱い白煙に巻かれて理解した。
体の温度を一気に上げて、固まった部分に含まれた水分を全力で蒸発させて排出させているんだ。
現にアドラファレルのヒビ辺りからゆっくりと硬化が解けていっているのが見える。
やっぱりただやられてくれるわけは無いよな。けれど、それはこちらも同じ。
蒸発させられるのも構わずに力の限り矢を射ち続ける。
これはもう奴と俺らの根比べだ。
舐めるなよ、ゲーマーの意地をみせてやる。
功太と二人掛で再びアドラファレルを押さえ込むと、横からドルチェット達がまだかまだかとクレイの指示を待っていた。
「そろそろ自分達もいいか!?」
それにクレイが指示をだす。
「ああ!行ってこい!!」
「しゃあっ!ジルハ行くぞ!!」
解き放たれた攻撃組が動く。
ノクターンから足元を固める魔法を掛けて貰ったドルチェットとジルハは、アイスバーンになった地面を全力疾走し、アドラファレルへと攻撃を叩き込んだ。
ジルハがアドラファレルの全身に満遍なく短剣、いや、あれは太めの針、千本というらしい武器を突き刺していく。
単体では大した威力にはならない千本だけど、それが複数突き刺さることによってひび割れができ、そこにドルチェットの攻撃がやってくる。
「おらぁぁぁ!!!」
ドルチェットが大きく振りかぶる。
そこで俺は気付いた。
ドルチェットの大剣は鞘に納められたままである。
「え!?ちょっ!??」
勢いよく振ったドルチェットの大剣、鞘付き、がアドラファレルへ叩き付けられた。
バギリと嫌な音がしてアドラファレルの硬化した部分が派手に砕けた。剣は無事。
いや、よく考えたら相手は岩の塊だった。鞘で殴るのは正解だな。
「やっぱあいつら上手いな」
「ねー」
上手い具合に硬化した箇所を薄く残したままの破壊の仕方に、器用だとクレイと共に感心した。
「じゃあ、俺も負けてられないね!」
体力を削ってでもアドラファレルを削りきるぞと気合いを入れ、息を吐いて集中力を上げていく。
「しっ!!!」
上空へと矢を打ち上げ、すかさずアドラファレルへと標準を合わせて第二段を射つ。体力を犠牲に攻撃二倍だ。
ドルチェット達の攻撃によって薄くなった硬化箇所が赤くなってきている。硬化を解く気だ。
だけどそれを俺達がさせない。
二方向からの攻撃に切り替えた俺の動きに合わせて功太も方向をずらしている。
ある程度固まったところでジルハとルカがアドラファレルの表面にヒビを入れ、それをドルチェットが破壊ということを繰り返していく。
「──…[エーアン・ウコースト・オヤラーキト]」
もちろんノクターン達も後援として頑張ってくれている。
ノクターンは絶えず攻撃力向上と防御力向上、そして滑り止めの魔法を切らさないように唱え続けているし、アリマも戻ってきたルカに水属性となにやら知らない属性を付加しては攻撃力を上げている。
アスティベラードはクロイノに乗ってドルチェットとのスイッチを待っている
これは仕方がない。
クロイノの体格で一度に攻撃にあたると二人の邪魔をしてしまうのだ。
「次任せた!!」
「お願いします!!」
二人が戻ってくるとクロイノとアスティベラードが飛び出していく。
アスティベラードはクロイノの尾を鞭のように使って全身を殴打して砕いていく。打たれる度に凄い音が響いてきて怖いけど、威力は折り紙つきだ。
そうやって地道に削っているが、アドラファレルだってただやられているわけではない。
ボロボロになりつつある飾り羽を広げてはビームを近くにいる人に向かって放とうとする。
しかし放たれる前に俺の豪雨によって硬化し、砕かれる。
「あとすこし!!!」
最早、大雑把に当たりをつけられた石像と化したアドラファレルは腕ももげ、気合いで低空を浮遊している物体になっていた。
それでも目の辺りは固すぎて砕けない。
やっぱり空洞だとしても、見えないだけであの中に核があるかもしれない。
息が上がってくる。だけど手は止められない。
その時、突然アドラファレルの目がガン開きになった。
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