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見える条件でもあるんです??




 ウサギ少女、ラピスがアリマと共にたくさんの果物を持って戻ってきた頃には、功太もルカも眠っていた。

 眠くはなくても体が動かないとなると寝るしかない。

 せっかく持ってきたのにと落ち込むラピスに、起きた時にすぐに食べれるようにリンゴを幾つか切っておいてはどうかと提案したら、俺にビビりつつも「そうする!」とナイフを取り出した。

 せっかくだからウサギ繋がりでウサギリンゴにしたらどうかと言ったらキョトンとされてしまった。なのでお手本を作ろうとしたら上手くできなくて残骸にしてしまい、それを見かねたアリマが俺の説明をもとに作ってくれた。


 完璧なウサギリンゴだった。


 そのウサギリンゴを見てラピスは目を輝かせていた。やはり女の子はこういうのが好きらしい。

 さて、これで功太達が目が覚めるまでの時間稼ぎはできるかな。


「功太が起きたら知らせて欲しいんですけど、いいですか?」

「ええ。そうします」





 ドワーフとハーフマンと共に功太の初擊で壊れた所を直す手伝いをしていると、功太達が目が覚めたという報告が来た。

 とりあえずすぐに動ける俺とクレイ、アスティベラードとノクターンが功太の元へと向かった。


「お待ちしておりました」


 アリマが扉を開けてくれ、ラピスがせっせと椅子を持ってきてくれた。

 もてなされている。

 お礼をいいながら腰を掛けて二人を見た。ずいぶんと顔色がいい。功太も目の下にうっすらとできていた隈も無くなっていた。良かった。


「それで、君達はこれからどうするんだ?」


 クレイが問い掛けると、功太は苦笑した。


「さぁ、どうしましょうかね。まさかまだ生きれるなんて思ってなかったので」

「本当に、勝手にやめてくださいね。次は…許しませんから」

「悪かった。もう絶対にしないよ」


 まだ疑いの目を向けられているが、今回ばかりは功太が悪い。


「これから、ですか。コータの聖具、いいえ、武器も壊れてしまいましたし今まで通りとはいかないでしょうね。見張りは付いているので場所は割れておりますからすぐにでも教会からの派遣は来るでしょうし」


 見張りと聞いて、思い出した。そういえば言ってなかった。


「その見張り、多分もう付いてないよ」

「?」

「俺と功太の攻撃に巻き込んで破壊したっぽいから」

「!?」


 ルカが信じられないという顔をしていた。


「もともと功太は壊す目的で戦ってたみたいだよ」

「そう、なんですか??」

「うん。だって僕あれ嫌いだったから」


 あっけらかんと言いのけた功太に唖然としているルカにアリマが肩を震わせて笑いを堪えていた。


「…………、…事情が変わりました。おそらく私たちは反逆罪で指名手配される可能性があります。貴方と同じですね」

「やったー!」

「喜ばないで下さい!」


 ムッとしているルカと対照的に功太は楽しそうだった。


「でもそれなら尚更ここで武器を拵えておいた方がよいと思います。オレからドワーフ達にはあなた方についての事情を伝えて、ある程度の対価を払えば不問でしてやると言われておりますので」


 いつの間にかクレイはそこまで交渉を進めてくれていたらしい。

 本当に凄いなこの人。


「さすがのコータも武器がなければ戦えませんので、そうさせてもらいます。良いですよね?コータ」


 そこでふと違和感を覚えた。

 武器壊れた。これじゃあ戦えないとはいうが、それなら新しく武器化すれば良いだけじゃないかと。


「ねぇ、買うのもいいんだけどさ、その前にこれを再武器化した方が早くない?」


 そう言えば皆揃って、どういう意味だ?という顔をされた。


「ディラ、さすがにこんなに粉々の武器を直すのはドワーフ達でも無理だと思うぞ。剣ってのは真っ二つでも仕立て直せないのに、ここまではもう無理だ」

「いやいや、違うって。聖具の方の武器は壊れたけどさ、中のゴッズは残ってるから再武器化すれば良いんじゃないって事だよ。

 ……あ、でもそうしたらまた聖戦参加になっちゃうのか」


 それを危惧しているのなら薦めてはダメだな。せっかく聖戦から逃げられたというのに。


「まて、お前の言っている意味が分からない。ゴッズが残っているってなんだ?残骸しかないだろ?」

「……、ん?え?残骸以外にもあるじゃん。聖戦が嫌だからこれを使わないって事でしょ?」

「んん?」

「あれ?違う??」


 クレイも功太パーティーの面々揃って困惑の表情をしていた。

 改めて功太の武器をみる。相変わらず残骸の中にゴッズが横たわっていた。


「……もしかして、互いに見えているものが違う?とか?」


 クレイが身を乗り出してくる。


「残骸以外にもなにか見えるのか?」

「う、うん。俺の認識違いじゃなかったらなんだけどさ、ゴッズが見える、んだけど…」

「ゴッズが!?…………本当に?」

「見間違いじゃないか!?」

「どこにあるんですか!?」


 一斉に詰め寄られて思わずたじろぐ。


「本当だって、エクスカリバーが初期化した時の姿覚えてるでしょ?一緒じゃん!」


 クレイとアスティベラード、そしてドルチェットは俺のエクスカリバーの棒状態を知っているから分かるはずなのに、反応は微妙なものだった。

 アスティベラードでさえ、もう一度確認のために見当違いの場所まで見ていた。目の前にあるのにも関わらず、だ。

 何でなんだろうと思っていると、すまなさそうな顔をしてクレイが俺に言う。


「すまないオレ達にはそのゴッズは見えてないみたいだ」


 衝撃の事実であった。


「え、ウソ 見えてるの俺だけ?」


 なんで皆には見えた俺のゴッズとは違い、功太のは見えないのか。

 まさか功太には見えていないのか?


「あ、あのさ!功太は??」


 慌てて訊ね、気が付いた。驚いた表情で功太はゴッズを凝視していた。そしてこう言った。


「……これが本来のゴッズなのか?」


 功太は見えてるのか?

 本当に俺のと同じモノが見えているのか気になって確認をとる。


「功太、残骸の中に何が見える?」


 すると功太はすぐに答えた。


「高級そうな鉄パイプ見える」






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