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俺の冒険はここからだ!

 翌朝。本当にマーリンガンが旅に必要であろう魔法具をたくさん持ってきてくれた。

 見覚えのあるものもあるし、始めてみるのも多数。

 パッと見は基本指輪みたいなのとか謎のキーホルダーにアクセサリー形状だけど、これみんなれっきとした魔法具である。


「使い方は作ってたから知っているだろ?でも一応説明書も作ってきた」

「何からなにまで本当ありがとうございます」

「これでチャラだからな。お互いな」

「わかってますよーう」


 マーリンガンから説明書と魔法具を受け取り鞄にしまう。

 魔法具を入れている袋も魔法具付きだから見た目と内容物が全く合っていない。

 本当に面白いな魔法具。


「俺からはこれだ」


 工房のオッサンからは大量の矢と矢筒を貰った。


「何だかんだと毎日来ては作品を誉めてくれる良い奴だったからな」

「おっさん…」

「へへ。頑張れよ!」


 次はロンロさんがパンを袋一杯に持ってきた。


「たくさん食べなさいよ」

「ありがとうございます」


 わらわらとプレゼントを頂き、最後におばあちゃん。


「ディラ、元気でねぇ。使命を全うしたら帰ってきて良いからねぇ」

「うん。おばあちゃんも体には気を付けてね」


 ハグをしながらボロボロと泣き出すおばあちゃん。

 その後ろでマーリンガンが口パクで「お前どんな説明をしたんだ?」と言ってきた。

 口パク返しで「記憶が戻って、やらなくてはならないことを思い出したので旅に出ます。と」って返した。

 そうしたら何だか話が大きくなって使命がどうたらってなってしまった。


「あたしゃーもう心配で心配で。自分の事も忘れるおっちょこちょいなんだから。猪とかに泣かされないか心配で」

「ちゃんと気を付けるよ。弓もあるし」


 昨日試し射ちしたら吃驚するくらい手に馴染んでいた。

 この分だと何かに追い回されたとしても多分逃げきれるだろう。逃げきりたい(願望)。


「じゃあそろそろ行くよ」

「うんうん」


 名残惜しくもおばあちゃんから離れ、荷物を担いだ。

 ずっしり重い鞄。すでに下ろしたいけど我慢だ。

 再びマーリンガンがやってきて、こそこそと耳打ちしてきた。


「……分かっているとは思うが、弓の事は言うんじゃないぞ…」

「へーい」


 気を付けますとも。

 さぁ、いよいよ冒険の始まりだと、一歩踏み出す。面白いことがたくさん待っているに違いない。

 楽しみだなと心踊らせる。


「行ってきまーす!」


 村の人たちに見送られ、俺は異世界への旅を開始したのだった。











 目の前でマーリンガンから貰った方位宝針がある方向を指し示す。

 これは一定距離の間、指定された者を避ける為、安全な行路を指し示す物だ。今回は三日間教会関係を避けるに設定したんだけど。


「細かく動くなぁ」


 数が多い証拠なのか、お陰さまで森の中を歩く羽目になっている。

 別に歩けなくはないけど、普通の道をいくよりも大変で、もちろん体力も結構消費する。

 こうなると分かってたらちゃんと筋トレしてたのにと嘆くも既に時遅しである。

 そんな感じでひたすら歩く。旅といえば冒険、冒険と言えばロマン溢れる男のロマンなのだが。


「せっかくの旅立ちが森だぜ?エクスカリバー」

「どう思うよエクスカリバー」

「見てあの鳥。尻尾超長いぜエクスカリバー」


 1人旅は存外暇だった。

 しかも暇すぎてエクスカリバーに語りかけてる痛い人になっている。


 ぶっちゃけ他にやることといったら地図見るくらい。

 ちなみにこれもマーリンガン印の特性地図筒。なんと地図をこれにセットすると、自動的に現在地を表示してくれる優れものだ。

 やっぱり異世界っていったら魔法だよなと、1人頷く。そしてみんな憧れの大冒険。


「冒険なら、仲間とか探さないと。それでもって、友情、戦い、ドラゴン…」


 ドラゴンっているのかな。


「せっかく異世界いるんだし、向こうで見られないもの見たい」


 町の近くには絶対にいないだろうドラゴンは、一体何処で見られるのか。

 蛇型なのかトカゲ型なのか異形型なのかも気になる。


「山か、谷か。どっちにしても情報がほしい」


 あと一人寂しい。さすがに一人ぼっちは辛い。楽しいことを共有したい。


「三日過ぎた辺りで町とかに入ろう。そして仲間を探そう」


 そうファンタジーらしく!

 ゲームでも町で仲間を探すのは定石だ。問題はどういうシステムで募集を掛けるかだけど。


 その時、ズズズと地面が細かく振動しているのに気が付いた。

 日本人ならば地震?と思うし、なんなら震度推測まで始めるところだけど、あいにくここは日本ではない。

 ならば考えられるのはただひとつ。


「………これは何となく想像つくぞ。隠れなきゃ」


 こそこそと近くの茂みに隠れて様子見していると、道のある方角に騎馬の集団が凄い勢いで駆けていった。

 後ろの方にある馬車は何かの模様が描かれている。

 おそらくあれがマーリンガンが言っていた教会のやつだろう。

 ディラは無意識にぶるりと身を震わせた。


「てゆーか、兵士の数おおいな」


 あんなのに見付かったら、追い回されるだけでは済まないだろう。

 くわばらくわばら。と腕を擦りながら呟いて、俺はこの場を後にした。

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― 新着の感想 ―
避けるのと、地図は便利そうですね。 逆に見つけるのもありそうですし、そういうので追われたら辛そうかもです。
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