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小学五年生のとき、私は〈オリキャラなりきりチャット〉という忌々しいものに出会ってどハマりした。
ログインが少なくなると部屋が消えるタイプのサイトでなりきりをしていたから、今はもう何も残ってないし、どんなキャラクターを作りどんななりきりをしたかは頭痛がする程思い出したくもない。
それは、天使だとか悪魔、妖怪や幽霊、神は当然作り、神と戦うために奔走するチート能力持ちの学生とか、クラスメイトにいじめられて世界を狂わす学生とか、神の加護を受けた多重人格の学生とか、中二病真っ盛りなキャラクターしか生み出してないからだ。
設定ノートは作ろうとした残骸ならあるが、十分なキャラ数ができてから作り始めたのと、次から次へと盛り込まれる設定をいちいち書き記すのが面倒くさくなって1,2キャラしか書かれていなかった。
そんな作ったキャラを自分の世界…つまりは自創作に詰め込み、秘伝のタレというかラーメン屋の受け継がれてきたスープ……継ぎ足し方式で設定を盛り込んで、それはもう思いついては足してたので自分でも把握していないこともあり、非常にゴチャゴチャしていた。
それでも始めと終わりだけハッキリしていて、
「昔々、私たちとは別の世界で力の暴発が起きて」
「そして今、二人が存在した証は誰の記憶からも消えました。」
となっている。
道筋が継ぎ足しによって、曖昧ですっぽ抜けてるから何がどうしてそうなるのかは説明できないが、端的に言えば、
もりもりチート能力持ち作者権限キャラとその兄とその他巻き込まれた大勢による兄妹ラブストーリー
という、ただの兄妹のいざこざで世界が揺らぐという傍迷惑なお話である。ちなみにこのラブは家族愛であるがチート能力ありの思春期VS反抗期みたいな創作であるため、ちっとも愛の味はしない。
この中二病真っ盛り自創作は中3で終焉を迎えた。
―――はずだったのに。