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絆勇の国ボウブレッジ 入国

ダルシュさんとミュゲさんと別れた後、僕達は絆勇(きゆう)の国ボウブレッジへと向かいまた歩き始めていた。

そして3、4時間くらい歩いていたら大きめの石垣作りの門が見えてきた。

そして門の前には衛兵らしき人が立っており検問を行っているようだった。

「あそこの検問は絶対通らなきゃだから、何か身分を示せるもの出しといてね」

僕達の順番が回ってきそうになると、綿毛がそんなことを言ってきた。

僕達はそれぞれ準備をしている中、由希の顔色が悪いことに気が付いた。

「由希?どうかした?体調でも悪い?」

体力のない由希には長時間の徒歩はきつかったかな?など考えていたら、

「いや…そうじゃなくてね………私、無いん、だよね……示すもの……」

ギリギリ聞き取れるくらいの声量で言った。

「え?……示すものって…身分をだよね?」

「今はそれしかないじゃん!」

一応確認のために訊いたら逆切れされた。こっちは心配して訊いてあげたのに!

「あ~そりゃヤバいかもね……あそこの検問、通れなかったらボウブレッジには入れないからね……特にバンガー帝国側は……」

バンガー帝国って……


「我は東の帝国バンガーの皇帝、ウサン・クサク・バンガー21世である!」


あぁ、あの帝国か。

そういえばあのオッサンそんなこと言ってたな~と振り返っていたら、僕達の番になっていた。

「身分を示すものを提示していただこう」

そう衛兵さんが言ってきた。

「これでいいですか?」

僕は冒険者ギルドのギルドカードを差し出した。

「ギルドカードか……って!ぜ、Zランク!!??嘘だろ………」

衛兵さんがいきなり大きな声で叫びながら凄く驚いていた。

「おい、今Zランクとか言ったか?」

「あぁ、間違いない…あんなに若いのに一体どんな鍛錬してきてんだよ」

「てかZランクって、今のところ世界に13人しか居ないんだよな?」

「じゃあ、あいつは14人目ってことか!?」

………なんだか後ろが凄くうるさい………

てか、Zランクってそんなに少ないんだね。僕は帝国の近衛騎士って言ったらしてもらえただけだから案外多いのかな?とか思ってたけど、全然そうじゃないみたい……。

衛兵さんに通っていいぞと言われたので門を通り抜けた直ぐの所で待つことにした。

僕の次はすずだ。

すずは商人ギルドのギルドカードを出していた。

「えっとこっちは……商人か。ランクはSか。こっちも大分凄いな…」

すずも何事もなく通ることが出来た。

そして綿毛と(つよし)は何かバッジらしき物を出していた。

「……っ!?これは…!?……失礼いたしました。どうぞお通りください!」

なんか衛兵の対応がいきなり変わってるんだけど……あの二人一体何を出したんだよ………

そして残るは由希だけだが………

「身分を示すことのできない奴は通すことが出来ない!」

「そこを何とか~~!!お願いしますよ~!!」

「泣きついても無理なものは無理なんだよ!さっさと立ち去れ!」

由希はやはり駄目だったようだ。

「「はぁ………」」

僕とすずは溜息をついた。

なんかこうなることは予想してたけど、いざ本当になると対応に困るよね。

「どうする?」

「私たちの付き添いとして通ることは出来ないのかな?」

僕とすずが相談していると………

「それが出来ないんだよね。ここは。結構前は付き添いOKだったんだけど、付き添いに紛れた暗殺者やら諜報員やらが出てきて、それから駄目になっちゃったんだよ」

なるほどね………そりゃ厳しくなるわ……。

「じゃあどうする?置いて行く?」

「置いて行った方が、問題が、起こる、気がする……」

ここで毅が口を開いた。

「っ……確かに…」

本当にどうしよう……

他にいい案がないか考えていると………

いきなり爆発音が後ろから聞こえてきた。

「「「「っえ?」」」」

僕達一同疑問の声を上げていると……

「ひえぇ~~!!すみませんすみませんすみませんすみません!全然そんなつもりなかったんですよぉ!」

………由希さん、さっそくやらかしたようでなによりです。

「ごほっごほっ……!?っくそ!あいつ通りやがった!」

「今すぐ追うぞ!」

あ~もう!いきなり逃亡ルートですか!?本当に面倒くさいんですけど!?

「これ逃げた方が良いよね!?ね!?」

もの凄い勢いで由希が訊いてきた。

「あぁ……もうそれしかないでしょこうなったら」

「いや~、長いこと生きてきたけどこうやって追われるのは初めてだよ!」

「こんな時に楽しまないでよ!?」

一斉に走り出す僕ら。

「あぁもう!なんだっけ!『ロワジュを招集』って言えば何とかなるんだっけ!?」

由希がいきなり何を言い出すかと思えば、僕に宿っていた人が言っていたことを口走った。

「確かそうだったような………」

「ロワジュ招集‼ロワジュ招集‼ロワジュ招集‼ロワジュ招集‼ロワジュ招集‼」

言い終える前に由希が叫び出した。

「ちょ!?っバカ!大声出したらダメだろ!」

僕達は全力で門を駆け抜けそのまま町の人混みに紛れたのだった。


・・・・・・


「ロワジュ招集‼ロワジュ招集‼ロワジュ招集‼ロワジュ招集‼ロワジュ招集‼」

「ちょ!?っバカ!大声出したらダメだろ!」

「っっ!?……」

門の上に居たある人物はその言葉に反応していた。

僕達は僕達が知らないうちに誰かに目を付けられていたのだ。

「おい!あいつら町に入っていったぞ!」

「不法侵入だろ?このまま追いかけねぇと問題になっちまうだろ‼」

衛兵たちがやり取りしている間に、衛兵に近づく影が一つ。

「ねえ、貴方達は門に戻ってて」

ある人物は衛兵にそう命じた。

「何言って……っ!?申し訳ありません!すぐに戻ります!」

衛兵たちが顔色を変えて一斉に門に戻っていく姿を見つめていた人物は視線を後ろに流し、鳴波達の背中を捉えた。

「ロワジュねぇ……久々に聞いたわ、その名前」

その人物は何かを懐かしむように呟いた。

「…よし!早速動きますか。こい、誓約に基づき眷属共!」

その言葉を言い放った瞬間、6体の人型の何かが現れた。

「他の皆に伝えて。招集がかかったって。場所はいつもの所ね。あと…」

その何かに命令を下していく人物は伝えるべきことを全て伝えると、

「いいわね?…行って!」

言葉を聞いた何か達は一斉に動き、街に散っていった。

「それじゃ私は追うとしますか!」

軽く体をほぐし、準備を整えるとその人物はその場から消えた。

「本当にこの時が来るとは思っていませんでしたが……どこまで見通していたのですか?お義父(とう)さん…………」

その人物は鳴波達を追いかける。自分たちに残された最後の約束を果たすために。

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