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別れ

僕達は黒崎との戦闘を終えた後、行方知らずだった(つよし)との再会を果たした。

そして、そのまま当初の目的であった絆勇(きゆう)の国ボウブレッジへと向かうことになったのだった。


黒崎の襲撃のこともあり少し警戒しながら平原を移動していた僕達だが、途中馬車道に出て(しばら)く道に沿って歩いていたら分かれ道にさしかかった時、ダルシュさんとミュゲさんが僕達とは違う道に進むと言った。

「俺はとりあえず仲間のところに戻るよ。こっちの道の先にある貿易都市アズールの宿屋に居るはずだから。今回は偵察だけのつもりだったから機動力のある俺とディラ……ワタゲ?だけで来てたんだよ。最近、魔狂の森から瘴気が漏れ出てる原因の調査だったからな。まぁ、原因はおそらくあのサメだったんだろうけど…。それの報告もギルドにしなきゃなんねぇし、なんかナルハと一緒に居たら命がいくらあっても足りない気がしてさ」

ダルシュさんは最後を茶化してそう言った。

そして、綿毛の方を見やると、

「それに、ワタゲはナルハ達と行くんだろ?」

少しトーンを落とした、それでいてやわらかい声音でそっと訊いた。

「………うん。永さんはみんなと行くよ。久しぶりに再会したんだし、もっと話したいこともあるし……」

気まずそうにそう告げた綿毛。

これからの話の結末は言わなくても分かった。だからみんな黙って聞いているのだ。

「自分勝手だとは思うけど、ダルシュのパーティーを抜けようと思う。パーティーメンバーが全員揃わないといけないクエストとかもあるし、ダルシュ達の傍に居ない私はきっと……邪魔者だから…」

綿毛なりに考えていたのだろう。僕達と出会う前までの間はずっと一緒に居た仲間たちにいきなり「さよなら」と告げる苦しさが今も綿毛の心を締め付けていることが表情から分かる。

「……ったく。別に邪魔者だとは誰も思わねぇよ。それにお前言ってなかったか?初めて会ったときに、エルフの私は君たちが死のうが、パーティーを抜けることになっても悲しんだりしない薄情な存在だ…って。だからお前は苦しまなくていいんだよ。もっと気楽に抜けてってくれ。じゃなきゃ俺が泣きついてでもお前をパーティーに繋ぎ止めるからな!」

しかし、気落ちしている綿毛とは対照的にダルシュさんは明るかった。

やはり最後は茶化してしまうのはダルシュさんなりの気遣いなんだろうか?

「……分かったよ!クヨクヨするのもうお仕舞い!元気に別れよう!ダルシュのパーティーはすごく居心地がよかったよ!またいつか一緒に冒険もしたい!だから、また会おう!」

切り替えが早いのが取り柄の綿毛らしく最後はとてもいい笑顔を浮かべていた。

「おう!戻りたくなったらいつでも戻ってこい!歓迎してやるから!もちろん!ナルハも!」

最終的にこっちにも回してくるあたり、抜かりがないというか……。

「その時は是非よろしくお願いします!」

僕も明るく返しておく。

「……それじゃ、行くわ。元気でな!ディラ……ワタゲ!」

「もうディラでいいってば!!そっちこそ何処かでくたばったりしてたら許さないぞ~!」

「縁起でもないこと言うな!?」

綿毛とダルシュさんはお互いに笑っていた。あの二人は本当に仲がいいことが改めて分かった気がする。

僕達はダルシュさんの姿が見えなくなるまで手を振っていた。

そしてミュゲさんは………

「私もこのまま付いて行くつもりが無いから、それじゃ」

とだけ言って颯爽と行ってしまった。

これで僕達はいつものメンバーになった。

「なんか別れっていきなりだね」

由希が不意にそんなことを口にした。

「………いずれ慣れるよ。これから先、何度も出会いと別れを繰り返すことになると思う。やっぱり最初は悲しいけど、いつまでも過去に囚われてるようじゃ顔向けができなくなるからね」

綿毛はすごく達観しているような物言いだった。

「はいはい!早くボウブレッジに向かうよ。永さんいい加減お風呂入りたい!ふかふかのベットで寝たい!」

レッツゴー!と元気よく進みだした綿毛に僕達は付いて行く。

綿毛の背中がこの時は少し大きく見えた気がした。

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